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432 令和の金の卵


はじめに

18歳人口の減少や大学への進学率の増加などから、高卒者に対する就職現場の売り手市場が加速しています。
社会的な状況だけではなく、高校生の意識の変化も進んでいます。それは、働きながら学ぶこと、実践的に学ぶことを重要と考える生徒たちが増えてきているということです。
今日の教育コラムでは、令和の金の卵と呼ばれている高校生の就職状況からこれからの教育の姿について少し考えてみたいと思います。

高校選択の時点でやりたいことがある

大学を卒業するということ自体が資格として必要な仕事があるので、大学に進学し、専門的な学びを重ねたいという高校生もいるでしょう。
また、専門的な分野に特化した高校に進学し学んだことを活かして、現場でさらにその技術や知識を高めたいという就職を念頭に置いている高校生もいるでしょう。
いずれにしても、進学進路の選択に自分のビジョンがあることが大切だということです。
このことを踏まえた上で、高校卒業で就職を希望する際の状況が2003年あたりの状況と比べて相当に好転していることは高校卒業から就職を考えている生徒たちにとって、自分の意思決定を後押ししてくれる素晴らしい状況かと思います。
高校卒業、大学卒業という学歴差別が歴然と存在しているような社会が長い時代続いてきていましたが、能力や技術に視点が重く置かれるようになってきたことは大きな変化を与えています。そうしたことで学歴による収入の差というものもさほど大きく感じない、むしろほとんどない状況になっている職種も多く存在します。今後も様々な働き方や多様なタイミングでの大学進学の選択方法が可能となっていきますので、その差もさらに埋まりつつあるわけです。

現場で学ぶ

現在、高校卒での就職率は20%近くなっています。圧倒的に高等教育機関への進学が多いものの、決して就職希望者は少ないわけではないです。また、高校卒での就職者の内、正規職員としての就職率はほぼ就職率と同等の割合となっています。就職を望む高卒者のほとんどが正社員として採用されているのです。
現在は、IT業界など様々な業種からの企業紹介が高校に届いています。就職状況が厳しかった時代は高校の先生が企業を回り就職先を探したりしていましたが、今は企業から続々と来ている状況です。
こうした選択肢が多くなることは望ましい状況で、企業も高校生の能力を認めていることになりますし、現場で育てていく環境もそろっています。
また待遇なども比較して、就職先を選択する自由が増えました。こうした人材確保の市場が活性化していることは、大学進学一本の人生設計が就職しながら進学するとか、就職して現場で学びながら学ぶ必要を感じた時に進学を考える等といった、学びの多様化ですら促進しています。

生涯学習

つまり、必要なことを学ぶという学びの基本的な原理が戻りつつあるのです。学びたいことを学ぶことで自分のスキルを高め、仕事に役立て、社会に貢献するというある種の望ましい姿と言えます。
経済的に困窮しているので大学に行かない、といった状況を高校卒業して、自分で関心のある世界について仕事をしながら学び、お金を貯めてさらに次のステージに向けて学ぶといった学びの新しいような、本来のスタイルに戻っていくような気がしています。今後、生涯学習の普及がさらに促進されていくということかもしれません。


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