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ひらがな読み書き教室、そこで子どもは何を学ぶのか?

「先生に手紙を書いて渡すんだ」

昨年秋に開講した「ひらがな読み書き教室」が全9回クラスの終盤を迎えたころ、ある生徒さんが手書きのカードを手に教室にやってきました。認識できている言葉を文字にして書くということへの意識や関心を高めるため、読み書き教室に参加していた低学年のお子さんです。

発達段階に合った指導を受けた結果、このお子さんは苦手としていたひらがなをいくつか読むことができるようになり、文字を書くことへの関心も高めていきました。そして何より、「書いて伝えたい」という自分の意思に気がつき、それを実行したのです。

伝えたい。わかってほしい。知りたい。そんな意思が発達段階と合致したとき、子どものメッセージは伝えるという行動を伴い他者に届くようになります。

ダイバーシティ工房の「ひらがな読み書き教室」は、人それぞれ異なる発達段階に合わせて文字を読む力、書く力を育むサポートをします。読み書きの力は学びの土台であることはもちろんのこと、伝える手段を獲得するということでもあります。

今回は教室開講に際し、教室に参加する短期間で何が学べるのか?どんな根拠に基づいて力がつくのか?をご紹介します。

読み書きに欠かせない2つのポイント

昨年開催した「ひらがな読み書き教室」では、9回目となるクラス最終日に読み書き検査を実施しました。「読み」「書き」それぞれの検査において、実に参加者の90%以上のお子さんが初回の読み書き検査後に立てた目標を達成するという結果になりました。どのような力を身につけることが、読み書きの力を向上させることに繋がったのでしょうか。

ひらがな読み書きの支援で最終的に目指される状態は、考えなくても読める・書ける、です。考えなくてもひらがなが読める状態に達するためには、主に次のようなスキルを身に着ける必要があります。

音韻操作:言葉を音の粒に分解する力のこと
     ⇒言葉が何音で構成されているかがわかる
     例)「はっぱ」が「は」「っ」「ぱ」の三音から成るとわかる
マッチング:文字と音を一致させる力のこと
      ⇒見た文字、単語を読むことができる
       聞こえた言葉に対し正しい文字を選択することが出来る

全9回クラスの中で、初回と最終日に読み書き検査を実施するため、この2点のポイントをベースにそのお子さんが必要としている学習内容を個別に分析し作成します。

言葉を音として捉える ー「はっぱ」は何音?ー

言葉の習得において基礎となる要素の一つが、先ほど述べた音韻操作です。音韻操作とは、言葉を音の粒として認識し分解する力のことで、読み書き教室でも力を入れて指導する内容です。

ひらがなの読み書きが苦手なお子さんによく見られる様子の一つに、単語や文章を読むときに促音(っ)や拗音(ゃゅょ)を捉えることができず「はっぱ」が「はぱ」「「きゅうり」が「きゆうり」という読み書きになるというものがあります。これは言葉を音の粒として分解できていないことが原因です。

教材①

「ひらがな読み書き教室」では、その言葉がいくつの音から成る単語かを捉える練習をしていきます。出された単語に対し、1音につき1拍手をする、1音につき1つのボールを並べるなど、その子に合った方法で一つの言葉をバラバラにする感覚を養います。

文字と音のマッチング 
ー見て読める、聞いて書けるー

ひらがな読み書きにおいてもう一つ大切なのが、視覚的に認識している文字を音とマッチングさせることです。例えば形の似ている「き」「さ」「ち」の見分けがつかない場合、文字と音のマッチングができていない可能性があります。

文字と音のマッチングができていると、「あ」の文字を見たときに口でも「あ」と言え、また逆に「あ」と聞いたときに「あ」と書かれたカードを選択することができます。

オンライン授業(上田さん)2

教室では、写真のようにフラッシュカードを使って文字と音を一致させていく練習を重ねたり、かるたをすることで遊びながら単語と音を一致させる作業を積み重ねていきます。

こちらの記事でも触れていますが、文字と音のマッチングは、単語として知っているために正しく読めている場合見逃されてしまうことがあります。「きゃべつ」は迷わず読めるけれど、「きゃ」だけが取り出されると読めない、ということがあるのです。

ひらがな読み書きに特化した指導を受けたことで、そうした見逃されていたつまずきに気づき、正しい学習法を見つけるきっかけになったケースもあります。

さいごに

ひらがな読み書き教室では、今回挙げた2つのポイントを中心に学びます。お子さんの発達段階に合った学び方を続けていくことで、読める、書けるという経験を少しずつ増やしていきます。

また、昨年度のひらがな読み書き教室では、お子さんだけでなく保護者の方々から、「つまずきのポイントがわかり、子どもへの理解が増した」「子どもは自分なりに頑張っていたのだと気づいた」という反応がありました。

読み書きのつまずきによって困るのは、当事者であるお子さんなのはもちろんですが、その保護者も、子どもが苦戦している原因や教え方がわからず不安になると思います。発達の仕組みがわかると、どんな学習方法が合うのかがわかり、できるようになったことを見つける視点も増えていきます。

ひらがな読み書き教室の8月開講に向けて、現在無料体験会の申込を受付けています。

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※個別相談&体験授業も受付けています!

ひらがな読み書き教室画像



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