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しくじり先生

加害者のその後、バックの教委の今後の対応、世論…。そうした色んな観点から、これからどう収束に向かい、そして再発防止にどんな手が打たれるのかということで、神戸市の教員リンチのニュースを注視しています。

パワハラ対策の専門家という、僕の平時の仕事の一面にも関わりますからね。

目立ったところだとこんな感じでしょうか。

・激辛カレー強要
・セクハラメールを送らせる
・蹴る
・蚯蚓腫れになるまで叩く
・屈辱的あだ名(ポンコツ⇒ポンちゃん)

加害者側は40代~30代の男女、被害を受けた側は大体20代。この時点で、年齢・経験の優位性に立ったパワハラとして認定してもいいでしょう。

このクラスになると、民間企業であれば懲戒解雇ものです。現在加害者側は休職?との話もありますが、本当にただの個人としては、再発防止のためにも、退職勧奨を前提に毅然とした対応が必要ではないのかな…と。パワハラの法制化も実現する中、「認定されても痛くもかゆくもないじゃん!」なんてことになれば、同じような事例が再び起きる可能性が残ったままです。

背景は?

そもそも何でこんなことが起きたのか。加害者側のモラル欠如は当然として、ごとう個人的には、やはり教員特有の労働環境というものも、あるのかな…という気がします。

例えば欧米ですと、教師の本質的なミッション「子供達の成長を支えること」とは距離のある”事務業務””にかかる時間は平均が2.7時間ですが、日本はその約2倍の5.6時間。これは毎日学校から来るプリントの山々(今時手書きってのもあるくらい)を見ていると、何となく想像がつきます。

また、課外指導(部活顧問とかですね)の時間も諸外国平均が1.9時間なのに対し、日本は7.5時間。驚異の約4倍。シャア専用機だって通常の3倍ですからね。

特に部活においては、本来「自主参加」であるにも関わらず、強制されるという不思議な現状が、僕の住む岩手にはあります。

「入りたい部活がない」「校外のスポ小で頑張りたいのに」なんて生徒個人への選択を狭めるだけでなく、半ば強制的に顧問業務も発生します。そうなると必然と課外指導の時間が増えるのも納得できます。

しかも学校の見解は(元予備校運営していたから分かるのですが)「部活と両立(=いばらの道)を選ぶこと=困難に立ち向かう素晴らしい生徒」という鉄のロジック(化石ともいう)があり、こうした生徒ほど、内申点を高く評価されがちです。

これって何かに似ていると思いません?

そう。「誰よりも長時間、滅私奉公した社員が評価される」といった、日本企業の抱える病巣そっくり。こうした教育を受け、量産された企業戦士たちが、これまでの企業文化を作ってきた…という事でしょうかね。

グローバリゼーション、ダイバーシティ…。そうした姿はどこへやら。

また、教員の過重労働に拍車をかけているもう一つの要因として、ごとうは「保護者」を推したいです。

・なんで19時過ぎに電話に出ないんだ!
・先生は私の仕事の特殊性を理解していない!
・うちの子を特別に扱いなさい!
・あの先生をクビにしなさい!
・PTAの事務仕事しなさい! ほか

まだ事例を知っている方がいれば教えてほしいくらいですが、よくもまぁ、身勝手な…という親は、正直、極稀にいます。

幼稚園での出来事

入園直後、PTAに名を連ねた際の一発目の保護者総会で出た質問。

「運動会の日、私仕事なので、日程を変えてください」

というお母さん。

日程調整は、年間行事との兼ね合いや地域との連係、業者との調整と多くの要因が重なった中での最大公約数として出さざるを得ませんという回答をしたところ、ふざけんな的な反応でした。

当時の会長さん、先生も説明はするものの「じゃあ私の都合は聞いてくれないのですね」の一点張り。

言ってやりました。

「あなたのための運動会じゃないでしょ」と。

「”保護者の方が立場が上”だから言う事聞け!ではなく、お互いに対等の立場から、何が子供達にとっていいのかを議論する場じゃないんですか?」と。

周りの多くのお父さんお母さんがうんうん、と頷いてくれ、その場は収まりました。先生方からは「言ってくれて助かりました!」と感謝されましたが、正直、ハッピーな打ち手ではなかったなぁ…という消化不良感は残ったまま。

でも、学校は何でも屋ではありません。先生にも生活があります。全てを丸投げするのではなく、粉骨砕身のサービスを一方的に求めるのではなく、「子供達の育ち」を目的語に、お互いの英知を結集する。そうした未来志向の関係を築いていくことが必要ではないのかな…とは思ってます。今でも。

いずれにせよ、先生も親も、もっと「子供」にフォーカスして、これまでの行いで変えるもの・残すものを吟味できるようになるといいなぁ…と思います。



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