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「カンナビノイドの科学」まとめと感想

3冊目、「カンナビノイドの科学」読了。今回も3行にしてみます。

  • 大麻には104種類の「植物性カンナビノイド」が含まれており、痛みの緩和や抗てんかんなど様々な効果がある。

  • 治療目的でカンナビノイドを用いたとき、生命にかかわるような重篤な有害事象はほとんどなく、有害な副作用も少ない。他の医薬品と比べてもリスクの低い優秀な化学物質といえるが、青少年の大麻使用は、依存など悪影響が出る可能性がある。

  • カンナビノイドに関する情報は、患者と医療従事者に広く伝わっていない。そして、合法化されても社会的理解を得るには長い時間がかかる。カンナビノイドの利用は患者の権利であるとともに、生活する一人一人の問題という自覚が必要である。

 以上です。医療用大麻は、欧米で合法化や非犯罪化が進んでおり、本書の発刊時と比べ、医学的なデータの蓄積も進んでいるだろうと思います。海外でリスク評価がなされ、処方すべき患者さんがいるということであれば、日本でも速やかに使えるようにしてもらいたい、と考えるのは自然なことと思います。
 2023年12月、大麻取締法が改正され、そこには「大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とするための規定の整備」が盛り込まれています。これにより、大麻に含まれる主要なカンナビノイドのひとつ「CBD」を有効成分とする医薬品(エピディオレックス)が使えることになりそうです。これは本書の主張にも沿った改正である一方で、もうひとつの主要カンナビノイド「THC」にはより厳しい規制がかかる方向のようです。
 本書では、大麻草そのものの処方によるメリットも書かれていたほか、THCが含まれる医薬品や適応疾患もあるようですので、CBDだけ使えればよいのかどうかは、継続した議論が必要と思いました。
 それでは次の本に取り掛かります。

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「カンナビノイドの科学」要約リンク
要約① カンナビノイドの基礎、植物性カンナビノイド 
要約② 人体のエンド・カンナビノイド・システム、適応疾患
要約③ カンナビノイド医薬品の研究開発、安全性と副作用
要約④ 法律の壁、薬物教育

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