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どうすれば自律的なチームは作れるのか?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#29】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:どうすれば自律的なチームは作れるのか?

A:適切な人数、所属が明確、連帯感を高める、任せて邪魔をしない


自律的に動き、成果を出し続ける生き生きしたチームはどうやったら作れるのでしょうか? 
そもそもチームとは「同じ目的を共有しそれぞれが役割を担った集団」のことです。
「グループではなくチームを目指す」とは、ただの集まりではなく「目的に向けて機能する集団になる」ということ。チームには自律的な意味合いが元来含まれているのです。
自律的なチームの条件は次の4つです(図表088)。

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順に確認しましょう。

チームのメンバー数が適切であること(対面小集団)

メンバーがお互いの個性を直接認識しあえる範囲の人数(対面小集団)であることが重要です。
それぞれが意志を持って相互に介入して自律的に動くことができる単位は5~7名、1人のマネジャーが見ることができる範囲(コントロールスパン)も5~7名と言われており、この数を守ってチームを編成できるかどうかは重要なポイントです。
「伍」というのは古代中国の周の時代に用いられていた最小の組織単位で、文字通り5人単位の集まりのことです。その頭は「伍長」と呼ばれる古代のマネジャーでした。3000年前から5人が最適なメンバー数であったというのはとても興味深いところです。日本でも平安時代の「五保制」や江戸時代の「五人組」があります。

メンバーがどのチームに所属しているか明確であること(集団規範)

人は自分が心理的に所属するチームの暗黙的な規範に行動を左右されます(集団規範)。
しかし労働組合への参加や、マトリクス組織、プロジェクト型の横断組織など、2つ以上のチームに心理的に属し自分はどのチームに所属しているかわからなくなると、振る舞いに迷いが生じ、自律的な行動が生まれ難くなります。
二重忠誠は感情の行き違いという情緒のレベルで不健全な風土を生みやすくなります。

チーム内の連帯感が高いこと(集団凝集性)

チーム内の連帯感(集団凝集性)を高める要因は「チームの目標は魅力的だ」「チームの目標は自分の目標だ」「メンバー間の対人関係が良く安心だ」「チームが周囲から高い評価を受けている」とメンバーが思っていることです。

チームに任せて邪魔しないこと(自律性)

チーム自体にどこまで自律性が認められているかが、メンバーの自発的活動の程度を決めます。権限委譲の行き届いたチームほど自律性の程度は高くなりメンバーの参加や自由度が保護され、組織活性度も高くなる傾向があります。

次回は自律的なチームを促進するフレームワーク、スクラムを紹介します。


<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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