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世界のビジョナリー・カンパニーの特徴は?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#26】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:世界のビジョナリー・カンパニーの特徴は?

A:劇的な変革ではなく地道に大きな車輪を回す「弾み車」のモデル


組織開発のヒントとして、世界のビジョナリー・カンパニーを見ていきましょう。
ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』によれば、先見の明があり時代や業界を超えて存続し続けているグレートな企業は、そうではない優良企業と比べて、以下の特徴がありました。
明暗を分ける大きな意思決定や、劇的な改革ではなく、準備期間もあり地道な動きだが、大きな車輪が回り出す「弾み車」のモデルです(図表085)。

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規律ある人材

グレートな企業を指導したリーダーは、強烈な個性を持つ派手なリーダーではなく、むしろ内気でもの静かで恥ずかしがり屋でした。謙虚さと意志の強さを持ち、そして野心は個人ではなく会社のために向けられています。
そして成功した時は窓の外を見て成功の要因を見つけ出し、うまくいかないときは鏡に映る自分に責任があると考える「窓と鏡」の思考様式を持っています(第五水準のリーダーシップと呼ばれています)。

グレートな企業は、はじめからビジョンと戦略を描いたわけではないこともわかりました。「事ではなく、人からはじまる」のです。
最初に適切な人をバスに乗せ(採用)、不適切な人をバスから降ろし(代謝)、適切な人がふさわしい席(配属)に座ってからどこに向かうかを決めています。専門スキルではなく、性格や基礎能力を重視しています。採用も配置も冷酷ではなく「超厳格」です。少しでも疑問があれば採用しません。

規律ある考え

「どんな困難にも必ず勝てると確信する」こと、しかし「極めて厳しい現実も直視する」こと。この両極を葛藤しながらも両立させることがグレートな企業に共通した考え方です(ストックデールの逆説と呼ばれます)。
そして「情熱を持って取り組めるもの」「自社が世界一になれる部分」「経済的原動力になるもの」その3つの円が重なるフィールドを見定めるために、とても多くの時間を費やしています(針鼠の概念と呼ばれます)。

規律ある行動

規律ある行動がとられていれば、過剰な管理は不要になります。
自ら規律を守り、規律ある行動をとり、3つの円が重なる部分を熱狂的に重視する人たちが集まる企業文化が鍵です。管理とは規律の欠如と無能力を補うものでしかないとコリンズは断言しています。

次回は、日本版ビジョナリー・カンパニーと言われている野中郁次郎・リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所『日本の持続的成長企業』について確認します。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。 1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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