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カルチャーがビジネスの成功に大きく影響する『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』【無料公開#15】

8月28日発売の『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』。マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた著者が、カルチャーを言語化し共有化するための手法をご紹介いたします。組織運営に悩む経営者、人事担当者、マネージャー、すべてのはたらく人に向けて、「新しい組織論」を無料公開にて連載いたします。

事業(ビジネスモデル)と組織(カルチャーモデル)の両輪を回す


コメント 2020-09-01 105416

このピラミッドを踏まえ、この本で提唱する「カルチャーモデル」を明らかにしていきましょう。

経営資源は「ヒト・モノ・カネ」とよく言われる通り、企業活動に不可欠な要素として「組織・事業・資金」の3つが挙げられます。

たとえばスタートアップの経営者の多くが会社を立ち上げる段階で、特に重点的に考えるのが事業と資金でしょう。

プロダクトやサービスを開発し、ビジネスモデルを決定し、戦略を立てる。

そうしてできた事業計画をもとにVCなどの投資家にプレゼンし、資金調達を行います。

けれどもスタートアップの中には資金調達ラウンドにより事業を拡大し、組織を拡大しようとするところで壁にぶつかってしまう企業もあります。

「50人の壁」とも「100人の壁」とも言われる組織づくりの壁です。

どんなに優れたプロダクトやサービスを開発しても、有利な条件で資金調達を行うことができても、あるいはどんなに優れた人を採用したとしても、組織はただなんとなく「人を集めた」だけでは機能しません。

重要なのは、事業(ビジネスモデル)と組織(カルチャーモデル)の両輪を回すことなのです。

売上や利益は事業から生み出されますが、その事業を推進しているのは人であり組織なのですから。

コメント 2020-09-02 112919

カルチャーがビジネスの成功に大きく影響する

組織がなぜ事業との両輪として重要と言えるのか、少し具体例とともに見てみましょう。

市場が成熟してくると、画期的なアイデアや一人でも多くの心をつかむようなプロダクトやサービスを生み出すことはどんどん難しくなってきます。

たとえば洋服を買う際、世の中にある無数のブランドから、あなたはどうやって自分に合う服を選んでいるでしょうか。

価格帯、シルエット、デザイン、サイズ感……。

さまざまな要素から条件を絞っていっても、なかなかすぐには見つからないでしょう。

そんなとき、「スタッフが全員心からその服を気に入っていて、納得のいく説明をしてくれる」ブランドと、「地球環境やサスティナビリティを考えた服づくりをしている」ブランド、「品切れやサイズ切れを極力減らし、ネットで注文すれば翌日にすぐ自分に合った服が届く」ブランド、どのブランドで買いたいと思うでしょうか。

おそらくここで選ばれるのは、あなたが何を大切にしているか、あなたの価値観と合致するブランドでしょう。

これらのブランドの方向性の違いは、ビジネスモデルの違いにより生まれています。

しかしそれ以上に、ビジョン・ミッション・バリューといった、企業の存在意義や組織としての価値観が色濃く反映されているのではないでしょうか。

そして何より、現場のスタッフが企業としての価値観に共感し現場で体現しているからこそ、顧客にその価値が提供できているのです。

つまり、組織におけるカルチャーを一貫して構築することが、ビジネスモデルを実行し成果につなげることに大きく影響しているということです。

このように、ビジネスとカルチャーは切っても切り離せない存在であり、相互に影響しあっています。

こうして、事業(ビジネスモデル)と組織(カルチャーモデル)の両輪を回すことが、プロダクトやサービスの差別化につながり、競争優位性を高めることにもなるのです。


著者プロフィール

唐澤俊輔(からさわ・しゅんすけ)

Almoha LLC, Co-Founder

大学卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社し、28歳にして史上最年少で部長に抜擢。経営再建中には社長室長やマーケティング部長として、社内の組織変革や、マーケティングによる売上獲得に貢献、全社のV字回復を果たす。
2017年より株式会社メルカリに身を移し、執行役員VP of People & Culture 兼 社長室長。採用・育成・制度設計・労務といった人事全般からカルチャーの浸透といった、人事・組織の責任者を務め、組織の急成長やグローバル化を推進。
2019年には、SHOWROOM株式会社でCOO(最高執行責任者)として、事業成長を牽引すると共に、コーポレート基盤を確立するなど、事業と組織の成長を推進。
2020年より、Almoha LLCを共同創業し、人・組織を支援するサービス・ツールの開発を進めつつ、スタートアップ企業を中心に組織開発やカルチャー醸成の支援に取り組む。
グロービス経営大学院 客員准教授。


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