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カルチャーを定義する『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』【無料公開#11】

8月28日発売の『カルチャーモデル 最高の組織文化のつくり方』。マクドナルド・メルカリ・SHOWROOMで事業と組織の成長を加速させてきた著者が、カルチャーを言語化し共有化するための手法をご紹介いたします。組織運営に悩む経営者、人事担当者、マネージャー、すべてのはたらく人に向けて、「新しい組織論」を無料公開にて連載いたします。

カルチャーを定義する

「カルチャー」と一言で言っても、厳密に定義することは難しいと感じるでしょう。

多くの人が企業におけるカルチャーとして考えているもの=「組織文化」は一般的に、「企業と社員が共有している価値観や文化、行動規範」だと言われています。

「うちの会社はフラットな雰囲気だよ」「あの会社って結構体育会系だよね」「元気に挨拶するところがうちの社員っぽいよね」―。

こういった言葉で語られているものが、企業におけるカルチャーです。あなたの所属する会社でも、「なんとなくうちの会社っぽい」「うちの社員ってこういうところがみんな共通している」と思うような点が何かしらあるのではないでしょうか。

志望する企業のビジョンやミッションを調べ、「この企業のやろうとしていることには共感できそうだ」「この企業なら働きやすそう」などと就職活動の参考にする人も多いでしょう。

モノやサービスを選ぶ際、企業の価値観や大切にしていることに共感して、購入を決める人もいるでしょう。

企業のカルチャーは、意識しようとしまいと、私たちの日々の意思決定に影響を与えています。

自然に醸成されたカルチャーと意図的に設計されたカルチャーがある

ここで指摘したいのは、企業のカルチャーには、

1 創業以来、経営者や歴代の社員が企業活動を行い、脈々と受け継がれてきたものが自然と独自の「カルチャー」として醸成される場合
2 企業が明確な意志や方向性を持って、ある種意図的に「カルチャー」をつくりだす場合

の2つのパターンが考えられることです。

前者に関しては、企業活動のアウトプットが結果として生み出すものですから、そのときそのときの社員やメンバー構成、あるいは外部/内部環境に左右されることが多くあります。

「なんとなくの雰囲気や空気感」で共有され、偶発性が高いため、計算してそのカルチャーを醸成することはできません。

一般的に「企業文化」と表現されているものの多くが、これにあたるでしょう。

一方、後者は、経営者や組織が目指したい方向性、あるべき姿などに基づき、ビジョン・ミッション・バリューを設定し、明文化することで、つくりだすことができます。

プロダクトやサービス、あるいは採用基準や人事評価など、あらゆる企業活動の方向性を明確にすることにより、意図したカルチャーが醸成されていくのです。

これまで「コーポレートアイデンティティ」や「コーポレートブランディング」、あるいは「組織風土改革」といった言葉で、取り組んできた企業もあるでしょう。

ただこれらは、一見すると「対外的なイメージ戦略」や「人事戦略」などと限定的に捉えてしまいがちです。

(明日に続きます)


著者プロフィール

唐澤俊輔(からさわ・しゅんすけ)

Almoha LLC, Co-Founder

大学卒業後、2005年に日本マクドナルド株式会社に入社し、28歳にして史上最年少で部長に抜擢。経営再建中には社長室長やマーケティング部長として、社内の組織変革や、マーケティングによる売上獲得に貢献、全社のV字回復を果たす。
2017年より株式会社メルカリに身を移し、執行役員VP of People & Culture 兼 社長室長。採用・育成・制度設計・労務といった人事全般からカルチャーの浸透といった、人事・組織の責任者を務め、組織の急成長やグローバル化を推進。
2019年には、SHOWROOM株式会社でCOO(最高執行責任者)として、事業成長を牽引すると共に、コーポレート基盤を確立するなど、事業と組織の成長を推進。
2020年より、Almoha LLCを共同創業し、人・組織を支援するサービス・ツールの開発を進めつつ、スタートアップ企業を中心に組織開発やカルチャー醸成の支援に取り組む。
グロービス経営大学院 客員准教授。


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