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学ぶ力を高めるリフレクション、基本の5メソッド #リフレク本

「振り返りがうまくできない」、「振り返りをしていても、次に生かせていない」と悩んだ経験はありませんか?そんなみなさんに、すべての経験を学びに変え、成長につなげるために有効な「リフレクション」という力をご紹介します。
リフレクション(Reflection)とは、自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為であり、日本語で言うところの「内省」です。経済産業省が提唱する「人生100年時代の社会人基礎力」としても重視されています。
※本記事の内容は2021年3月19日発売の『リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』より一部抜粋したものです。

はじめに

「市場規模が縮小するのに、業績目標は高くなっていく」
「他部署と連携しなければならないのに、コミュニケーションにずれがある」
「部下のモチベーションが気になるが、部下を育成する時間はない」

リーダーは常に課題に追われています。答えを見出すために、システム思考やデザイン思考などの様々な課題解決方法を取り入れてみても、思ったほどうまく使いこなせず、両手いっぱいに課題を抱えながら、環境に流されている感覚に陥ってはいないでしょうか。
このような状況において足りないのは、新しい知識でも優秀なメンバーでもありません。
「自分自身と向き合うこと」です。

先ほど挙げた課題解決のツールは、コンピュータで例えるところのアプリケーションにすぎません。どれだけ最新のアプリケーションを試そうとしても、人間のOS(学ぶ力)が古いままでは使いこなすことは難しいでしょう。最新のアプリケーションをインストールするためには、人間のOS(学ぶ力)もアップデートしつづけることが必要です。

私が代表を務める一般社団法人21世紀学び研究所では、人間のOS(学ぶ力)を高める「OS21」というプログラムを開発し、自ら定めた目的を実現するために学び続ける「自律型人材」の育成に取り組んでいます。

この中で最も重視しているのが「リフレクション」「対話」、そしてその2つの質を高める「メタ認知」です。本書では、リフレクションが誰にとっても当たり前の習慣になるように、実践方法を解説していきます。

リフレクション(Reflection)とは、自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為です。「内省」という言葉がもっとも近いでしょう。
リフレクションは、ギリシャ哲学者プラトンやソクラテスの時代から確認されている行為ですが、20世紀の終わり頃からは「未来を創る力」として、人材開発の観点から世界中で広がりを見せています。経済産業省が提唱する「人生100年時代の社会人基礎力」の中でも、あらゆるスキル習得の前提となる力として注目されています。

ところで、「振り返り」「内省」という言葉には、どのようなイメージを持っているでしょうか? うまくいかなかったことを反省したり、責任を追求されたり、どこかネガティブなイメージを抱いているかもしれません。

しかし、リフレクションの目的は、あらゆる経験から学び、未来に活かすことです。どのような経験にも、たくさんの「叡智」が詰まっています。経験を客観視することで新たな学びを得て、未来の意思決定と行動に活かしていく。これがリフレクションです。
リフレクションの基本として、本書では次のメソッドを紹介しています。

■ 自分を知る
■ ビジョンを形成する
■ 経験から学ぶ
■ 多様な世界から学ぶ
■ アンラーンする(学んだことを手放す)

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これらの基本を応用していくことで、自分自身の成長だけでなく、他者への理解を深めて成長を促進したり、組織をまとめるリーダーシップを育んだりすることができます。
だからこそ、本書はリーダーのみなさんに向けてリフレクションの活用方法を紹介しています。

私はビジネス界と教育界を行ったり来たりしながら、「誰もが、潜在的な能力を伸ばし、自分らしく活躍する」ために、人材開発の可能性を探求し、その方法を個人や組織に活用してもらうよう取り組んできました。

過去の成功体験を前提としてでしか物事を考えられない人と議論しても、未来を創る話には発展しづらく、危機感を感じることもありました。現状維持では後退するのに、リフレクションをせずに過去の成功体験だけを頼りにしていては、理想の姿を描くことも、前進することも難しいのです。

今後ますます多様化する社会で、一人ひとりが能力を発揮できるように、リフレクションの習慣が広がることを願っています。

著者プロフィール
熊平美香(くまひら・みか)

昭和女子大学キャリアカレッジ 学院長
一般社団法人21世紀学び研究所 代表理事

ハーバード大学経営大学院でMBA取得後、金融機関金庫設備の熊平製作所・取締役経営企画室長などを務めた後、日本マクドナルド創業者に師事し、新規事業開発を行う。1997年に独立し、リーダーシップおよび組織開発に従事する。2009年より日本教育大学院大学で教員養成に取り組む傍ら、未来教育会議を立ち上げ、教育ビジョンの形成に尽力。2015年に一般社団法人21世紀学び研究所を設立し、リフレクションの普及活動を行う。昭和女子大学キャリアカレッジではダイバシティおよび働き方改革の推進、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団ではシチズンシップ教育に取り組む。Learning For All等教育NPO活動にも参画。文部科学省中央教育審議会委員、内閣官房教育再生実行会議高等教育ワーキンググループ委員、国立大学法人評価委員会委員、経済産業省『未来の教室』とEdTech研究会委員などを務める。2018年には、経済産業省の社会人基礎力に、「リフレクション」を提案し、採択される。著書に 『チーム・ダーウィン「学習する組織」だけが生き残る』(英治出版)がある。


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