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MBOとOKRの違いは何か?『図解 人材マネジメント入門』【無料公開#8】

電子版5月28日、書籍版6月26日発売の『図解 人材マネジメント入門』では、人材マネジメントの理解と実践に役立つ100のツボが紹介されています。その中でマネジメントする側・される側双方に役立つ30のツボを、毎日1つずつご紹介していきます。

Q:MBOとOKRの違いは何か?

A:MBOの目標(O)に、主要な結果(KR)をセットしたものがOKR


インテルで進化したMBO

OKRとは 、インテル社アンディ・グローブ元社長が1970年代に構築した目標管理(MBO)の一手法です。
当時の企業がMBOの運用上で陥っていた欠点を改善しました(図表017)。

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そこには「アウトプット(成果物)重視」という強い思想があります。
アンディは「あなたが何を知っているかなど、どうでもいい。自分の知識を使って何ができるか、何を獲得できるか、具体的に何を達成できるかを重視する」「インテル・デリバーズ(インテルは結果を出す)」と言い切っています。

目標と主要な結果

目標(Objectives) に必ず主要な結果(KeyResults)をセットにする、それがOKRの特徴です。
例えば目標(O)は「ミッドレンジのマイクロコンピュータのコンポーネント市場で支配的地位を獲得」すること。
そしてその主要な結果(KR)の1つは「『8085』を使った設計を新たに10件受注」することです。アンディの説明は非常にシンプルです。

「主要な結果」は、測定可能なものでなければならない。期末にそれを見て、達成できたかできなかったか、イエスかノーか、議論の余地なく判断できなければならない。単純な話だ。そこには主観は一切挟まれない。さて、インテルはミッドレンジのマイクロコンピュータ市場を支配できたのか?それは何年か後にわかる話だ。ただ次の四半期末には、新たな設計が10件受注できたか否かはわかる。
(ジョン・ドーア、ラリー・ペイジ『MeasureWhat Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR』より)

「企業にとって真の成果とは何か」を追求する真摯な姿勢が、アンディの残した言葉から読み取れます。
「絞り込む」「目標はボトムアップで」「押しつけない」「常に柔軟な姿勢で」「失敗を恐れない」「手段であって武器ではない」「辛抱づよく決然と」……。
ドラッカーの目標管理(MBO)という哲学を進化させたのは、アンディの経営者としての実践だったのです。

次回は行動を評価する手法としてよく使用される「コンピテンシー」について確認します。

<著者プロフィール>

坪谷邦生(つぼたに・くにお)

株式会社壺中天 代表取締役、株式会社アカツキ 人材マネジメントパートナー、株式会社ウィル・シード 人事顧問、中小企業診断士、Certified ScrumMaster認定スクラムマスター。
1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。
20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。
主な著作『人材マネジメントの壺 ARCHITECTURE』(2018)、『人材マネジメントの壺DEVELOPMENT』(2018)など。

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