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グルジアの夏、山編(その一) 【グルジア酔いどれ夜話/Siontak】

第十一夜

2015年4月に呼称をグルジアからジョージアへと変更した、南コーカサスの国。日本ではあまり馴染みのないこのジョージアへ、シルクロード旅行中にたどりついたSiontakさんのコラムです。ジョージアとはいったいどんな国で、どんな生活をしているのか!?

第2、4火曜日更新
<著者:Siontak>

案外知られてないが、グルジアへトレッキングに来る旅行者は多い。ポーランドやウクライナの中東欧や、イスラエルからのトレッカーによく会う。彼らに話を聞くとグルジアには手頃な山が多く、その上アウトドアレジャーが未発達のため山が混み合ってない。さらには物価が低いということで、グルジアがトレッカーに人気なのだそうだ。

そういえばキルギスやタジキスタンでも同様にヨーロッパのトレッカーを多く見た。ただグルジアの方が飛行機ですぐ行けるという地の利もあるのだろう。

グルジア観光では一般的にカズベキ、メスティアなどが山の景勝地として有名だけれども、実は(というか当然ながら)その周辺には多くのトレッキングコースがあるのだった。

2014年の夏、初めてグルジアに来た時、イギリス人の山男に連れられ一週間のトレッキングを体験して、自分もグルジアのトレッキングに病みつきになってしまった。

↑北東部のトゥシェティ地方。石造りの塔を山中に見ることができる

↑トゥシェティは夏のみ村人が戻る遊牧地域。突如羊の群(中)と牧羊犬(右)が現れて一緒に野営したことも

↑メスへティ地方。リンゴの木が残る中世の村跡地から眺める廃砦 「兵どもが夢の跡」とつぶやきたくなる

↑メスへティやアゼルバイジャン国境地帯では名もなき石窟もしょっちゅうみかける 今では牛の雨宿りポイント

グルジアでのトレッキングは日本のそれと雰囲気がかなり違う。歩く先の見渡す限りに草原が広がり、そのうちに石造りの廃村や砦に行きあたったり、村から大分離れた野営地で羊飼いに出会ったりする。

トレイルはお世辞にも整備されてないので道に迷うこともあるが、逆に冒険心をあおられる。村にたどり着いて食料を買ったり行く先の情報を得ていると、気分はRPG。それでいて山頂へアタックする登山でもない限り、日頃運動不足の身体でもしのげるコースも多いのだ。

旅行者の身分だった2014年はあちこち出まかせにヒッチハイクとトレッキングで回ることができたが仕事のある身の現在はそうはいかない。

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