
自動車をデジタルデバイスとしたら、何ができるだろう。デジタルイノベーション推進部。
車にデジタルで付加価値をつけていくために立ち上がった新しい部署がデジタルイノベーション推進部。
2018年の立ち上げ時から部長を努めている坂倉 克文さんに話を聞きました。
業界の変革期に立ち上がった新しい部署
―デジタルイノベーション推進部は比較的若い部署ですが、設立のいきさつを教えて下さい。
坂倉:
デジタルイノベーション推進部(以降、「DI部」)の設立は2018年の4月です。立ち上げから5年が経ったところです。IT技術を使って、サービスの提供や業務のデジタル化、その他DX推進を支援することがミッションの「グローバルIT本部」の中に立ち上げた部署です。
今、車業界は本当に大変な変革期にいます。車の販売台数は、インドや中国など伸びている国はあるのですが、世界全体でみていくと、減少傾向にあります。日本も減少している国のうちのひとつです。理由はたくさんあるのですが、例えば「車を移動体と考えた時に、自分で所有しなくても必要な時に借りればいい」というカーシェアリングというモデルの出現などがあります。個別に一台の車を所有するという、今までの考え方とは真逆のものです。
販売台数が年々減少していく中で、車を企画、開発、製造して、それをお客様に届けるという従来のビジネスだけしていても、今後絶対に生き残ることができない、なにか新しいことにチャレンジしていかなくてはならない、という機運が高まりました。
そのような潮流の中で、社内でも新しいテクノロジーをリサーチし、それを会社の中でどう生かしてサービス開発をしていくのかというデジタルトランスフォーメーションと、ネットに繋がる車、いわゆるコネクテッドカーの開発というふたつの課題がでてきた中での設立でした。
「DI部」の中にグローバル部門も内包しているのは、グループでの販売台数の90%ほどが海外で販売されたものだからです。各国に海外法人のディストリビューターもあり、いってみればビジネスの大部分は海外で行われているわけです。DI部のように新しいことをしていく部署ですと、会社全体に関わっていくことも多くありますので、国内だけをみていても意味がありません。海外もひっくるめて関わっていくのが当然のことなんです。その他にも、三菱自動車が日産とルノーとのアライアンスに入っていますので、グローバルな視野が必要になってきます。いま実行中のカスタマーエクスペリエンスやその他のプロジェクトでも、関わる人間は国内だけには留まりません。
ビジネス成果に繋がるプロジェクトに発展中

―設立から数年、立ち上げの頃にはいろいろな苦労もあったと思いますが、現在はどうでしょうか?
坂倉:
はじめの3年、いろいろなことに手を出して、アプローチしてと、試行錯誤の連続でした。失敗も随分してきています。その後、この2年ほど前ですが、ようやく外に出せる成果が出てきました。特に、ASEAN拠点のGlobal-CX活動では、顧客データベースの立ち上げから始め、デジタル施策を一気通貫で改善したことや企画実施ができたことによる収益貢献。また、そのノウハウをグローバル拠点が横断で共有できるデータベースを構築したことは、成功事例としてあげられると思います。
このような形で、DI部の仕事が会社の収益に直結するようなアウトプットが出せるようになってきました。成果ということではまだまだではありますが、そこをいかに広げていくかというのが今後のDI部の課題であり、チャレンジであるというような時点にあります。
―社内からの見方も随分変わってきました。
坂倉:
設立当初は社内でも「なんだか楽しそうなことをやっているだけの部署だな」と思われているなというのはひしひしと感じていましたので(笑)、ようやくここまで来た、という感じではあります。
今までの自動車会社というのは、良い車を設計して、いかに製造コストを下げて、いかにたくさん車を販売するのか、という考え方で長らくやってきました。例えば、性能を向上させつつ、製造コストを下げるということを考えるならば、それこそ車の内部をみて、このパーツは外気に触れないのだからメッキをしなくてもいい、これで数円下がるぞという世界なんです。そこに私たちがいきなり、デジタル技術で車の付加価値を向上させていくんですといっても、頭では理解してもらえても、なかなか実感を持ってもらえなかったところがあります。
そういう中で少しづつ、実際にプロジェクトが収益を挙げていくようになって、経営陣にも注目されるようになってきました。会社や社会に貢献していくという具体的な姿が見えてこそ部の存在する意義ですし、そこがなければ存続もしません。社内での認知が高まれば、会社全体での連携も取りやすくなりますし、できる仕事も増えていきます。
車+デジタルで何ができるか?
―ますます仕事が増えていきそうですが、どんな方と今後働いていきたいと考えていますか?
坂倉:
車が好きなことは必須ではありません。車も携帯や他の電子機器と同じようにソフトウエアがインストールされるデバイスだと捉えて「車と何をかけ合わせると面白いことが出来るだろう?」ということを、興味を持って考えられる方だといいですね。そういった意味では、異業種で働いてきた方も存分に活躍できる場所だと思っています。個人的には車を好きでいてくれるのは嬉しいんですけれどね。
―働くときの姿勢という意味ではどうでしょうか。
坂倉:
新しいことをやっていかなくてはいけない、課題を自分で考えて仕事をしていかなくてはならないという仕事ですので、自主性は大切です。また、正直なところ、発展途上の部署で、役割や仕事内容がかっちりと明確になっているわけではありません。プロジェクトを進めていく時に思いもかけない仕事と向き合わなければならない場合もあります。そういう状況になった時に、面白がってやってみようという柔軟さも持ち合わせているとありがたいです。
きっと挑戦しがいもありますし、仕事を楽しめるのではないかと思います。逆に自分の仕事を自分でこれだと決めこんで「思ってたのと違うな」となってしまうと、ここでは苦しくなってしまうかもしれません。
部内でも積極的にコミュニケーションを取って、お互いに助け合いながら仕事をしていってほしいと思います。
「誰とやるか」を大事に、楽しんで仕事を

―楽しんで仕事をする、ということがキーになりそうです。
坂倉:
仕事ですから厳しい部分ももちろんあります。私は以前に設計部のほうにも在籍したことがあるのですが、それこそ締切に1日遅れただけで、サプライヤーさんたちに多大なご迷惑をかけてしまうということも経験してきています。この部ではそこまで厳しいことはないのですが、基本的なビジネス感覚を持ってマイルストーンを置きながら目標を実現していく、ということは必要です。
ただ、それでも仕事は楽しんでほしいと思います。そうでないと、会社に来るのもいやになってしまいますから。私がよく言うのは、Why (我々がやる意義)、What(ゴール)、How(最短且つ効率化に)の順番で考えるのは勿論なんだけど、by Whom、つまり「誰とやるか」が一番大切だよ、ということなんです。自分に持ってないものを人から学びあって、お互いに成長していける仲間と一緒に仕事をしていくのはすごく大事なことです。それができるようになれば、仕事が楽しくもなりますし、勝手に成果もついて来るようになります。
渋谷の「WeWork」というシェアオフィス内に部署を構えているのもその一環です。一緒に成長していける仲間は社外にもたくさんいますし、ここには私たちの会社にはないカルチャーを持つスタートアップの会社もたくさん入居されています。そこで働く方々と積極的に交流を持ち、彼らから学んで成長していってほしいと思います。
私が作った言葉ではないんですが、タイのバンコクオフィスのエレベーターに「Work? is just serious play!」と張り紙がしてあるんです。「仕事は一生懸命遊ぶこと」、これを私たちは真剣にやっています。
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