メディアの指標はPVからブランドへ

ウェブメディア『WIRED』が「PVの次に来る指標が必要ではないか」との記事を出し、メディア関係者のあいだで話題です。

ボクもこの意見には賛成です。なぜならPVというものは、稼ごうと思えばいくらでも稼げるものだからです。

例えばメディアの価値を考えないのであれば、可愛い女の子の写真を載せるだけでPVが取れます。その写真をギャラリー風にして、1枚見るごとに1PVカウントされるようにすればその数字はさらに跳ね上がります。

また、メディアが取り扱っている情報の種類によっても取れるPVは変わります。日本では芸能人を取り扱ったエンタメ系のネタは見る人が多く、逆に海外ニュースは読まれません。

ヤフーで読まれている記事のジャンル別シェアを知るとよく分かります。

 2009年5月の統計では、エンターテインメントが31%、国内ニュースが17%、スポーツが16%。この三つのジャンルで60%を占める。奥村氏は「海外ニュースは7%」だと嘆いた。海外ニュースがいかに読まれないかとの例で、「ヤフーニュースでは、コソボは独立しなかった」と社内では言っているのだという。コソボの独立は2008年の2月。独立の日、一番読まれた記事はお笑いのR-1ぐらんぷりで「なだぎ武が2連覇」だった。コソボ独立記事のアクセス数はR-1ぐらんぷり記事の50分の1だった。

『ネットの炎上力』より

メディアがクライアントに営業する際、その指標となるのはPVです。しかし、まともなPVを稼いでいるメディアの1PVが、お手軽に稼がれた1PVと同じでしょうか。

WIREDは、「エンタメ系の1PVと海外ニュースの1PVの価値は同じなのか? 可愛い女の子のギャラリーによる1PVにどれだけの価値があるのか?」と問うているのです。

代わりの指標は……今のところない

とは言え、PVの代わりとなる指標が今はありません。最近では平均滞在時間、平均読了率といったものが出てきていますが、すべてのサイトがその数値を出しているわけではありません。

また、肝心の計測方法もそれぞれのメディアによって異なります。

WIREDは「違う指標のことも考えてくれ」と言っています。しかし、実際のところPVよりもクライアントを説得できる指標はそう多くありません。

メディア関係者として、WIREDの訴えは最もだと感じます。けれど、PVは外せないものだとも感じています。

メディアは現在のPVを維持、もしくはやや増加させながらブランドを作り上げるのが良いのではないでしょうか。

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