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映画「DUNE/デューン 砂の惑星」感想

公開前から気になってたものの、自粛ムードでためらっているうちに上映が終わりそうになり、慌てて観に行った。

言わずと知れたSF小説の映像化。この小説は1965年の作品で、「スターウォーズ」や「風の谷のナウシカ」をはじめとして、多くのSF作品に影響を与えたと言われている古典的名作である。

極論すれば、現在のSFは、クラークの「銀河帝国シリーズ」、アシモフの「われはロボット」、ハインラインの「夏への扉」と「宇宙の戦士」そして「デューン」のどれかに影響を受けていると言える。

それぐらいの作品なので、これまで、幾度も映像化されており、特に1984年公開のデイヴィッド・リンチ版は、玄人筋にはいまいち高く評価されていないらしいが、独特の世界観がちゃんと描かれていて、個人的には好きな映画だ。スティングのキャラクターを活かした演技も良かった。胎児というか何かの幼虫のような形態の宇宙飛行士のデザインは、この映画のオリジナルだが、ある意味原作を超えた設定だったと思う。

ストーリー自体は、いわゆる「貴種流離譚をSFでやりました」に尽きるが、テクノロジーに対するエコロジーの思想が色濃く出ていて、書かれた時代を考えると非常に先進的だと思う。

さて、今回の映画についてだが、オープニングクレジットが「Dune:Part One」となっていたように、もともと前後編として企画されている。
そのため、原作の第一作の前半で話が終わっており、怒濤の展開を見せるはずの山場は、ほとんど後編(2023年10月公開予定)に持ち越されている。

そのため、ストーリーについての評価はしづらいが、異世界の雰囲気や巨大で異質なメカニックのデザインや特撮は良くできていた。

見せ場と言える砂虫の巨大さや恐さも美味く表現されていた。大きすぎて全体像が見えないのか、後編で描かれるのかわからない。

ただ、この作品の場合、原作がそうだから仕方ないのだが、やや観念的な描写が多く、主人公の未来視の場面が頻繁にインサートされるところをはじめとして冗長で、話がスムーズに進まない。もともと2時間30分を超える長い映画だが、もう少しテンポ良く進めて欲しかった。

もっとも、原作の忠実な映画化としては、高いレベルの作品で、2年後の後編も観に行くつもりでいる。



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