柚月裕子「蟻の菜園 ‐アントガーデン‐」感想
読書のペースが落ちた理由
これまで、履歴書や自己紹介のアンケートなどで「趣味:読書」と堂々と書いていた私だが、最近、本をほとんど読まずに毎日を過ごしていた。その、理由はおおむね2つある。
一つ目の理由は、通勤に電車や列車に乗らなくなったからである。
JRの特急で松山から宇和島に通っていたときはもちろん、松山の事務所に通勤していたときも市内電車の乗っていたため、毎日1時間程度の読書時間は自動的に確保されていた。ところが、今は単身赴任先のマンションから職場まで自転車で通っているので、読書時間が取れない。
二つ目の理由は、ダイエット目的で走っていた事が原因である。
スロージョギング程度のペースで走っているだけだが、夕食前に5km走って家に帰り、夕食の準備→夕食→食器洗いと家事をこなしてから入浴すると、すぐに眠くなるので、読書する時間が取れない。
ただ、ダイエットは5kg程度減らしたことで一段落と思い、週に一回か二回に減らしたので、本棚に積んでいる「在庫」を徐々に消化しようと思っている。
「蟻の菜園」感想
で、この本は、本屋で「何か面白そうな小説はないか?」と5冊ぐらいまとめて買ったときの一冊。柚木裕子は少し前に「慈雨」を読んで、意外に重い小説だったので印象に残っていた。
北陸の暗い風景を背景に繰り広げられる姉妹の運命。姉妹の波乱の人生対して、それほどドラマチックではない主人公の対比。姉妹の周りの人物の悪意と善意。
二時間ドラマでありそうな題材であるが、回想部分の父親の虐待がかなりハードで、フィクションと思っていても読んでいて心が痛む。
フリーライターの女性が、ふと興味を持った事件を追ううちに真相に近付き、ついには真相が公表されるまでが適度なスピード感で描かれている。
ただ一点、さすがにネタバレになるので詳細は書かないが「なぜ同じ名前を?」という点についてだけ釈然としない。
読後感がやや苦いのは前に読んだ「慈雨」と同じだが、面白かったので、またこの作者の小説を読んでみよう。
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