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散文詩(スピリチュアルポエム、七澤銀河名義含む)

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滅多に書かない散文詩を掲載しています(時々有料あり)。 過去作品の写しも兼ねて、ポツポツと…?
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記事一覧

La Siesta Eterna

La Siesta Eterna

そこは終わりではなく
終着点に見せ掛けた 何かの始まりかもしれない

夢は永遠に続く

呼吸するように木々はうねりをあげて
発つ鳥のさえずりを
木霊のように何度も吸い込んで
そして大地へ解き放つ

次の私は 誰かになれるだろうか…

ことばを持たぬ私の
それは密かな願いだった
でも今は 与えられた天命のために
無言で生き続けるしか すべがない

愛した時 愛する人と共に子を育て
それはいつかの私が

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カカオの森で

カカオの森で

十億光年前の光が届く光の闇

僕はずっと放心状態のまま
あれから幾つもの闇を超えた

まだ答えも未来も見つからない
この静寂の中で
心を凍り付かせなければ もう
生き続けることなど出来なくて

脱力のその先のかなしみの淵に
ひとり佇んでいる

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Vespera (Evening)

Vespera (Evening)

君の体を借りる時 ようやく光に包まれる
それは望んでた世界とは違うけど
この身を抱く光に僕は ようやく目を瞑ることができる

君の声 君の背中 栗毛色の長い髪
僕にはないすべてを体験する 灰色の礼拝堂

この安らぎも 今見ている世界も
ぜんぶ 君の瞳を通して得られる温もりだけど
それでいい
君とひとつになれるなら…

モノクロームの時計台で
時が凍りつく

あの日 あの朝 僕を撃ち抜いた君の
突然

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Red Lyra - Ritornare

Red Lyra - Ritornare

緋色の宇宙の真ん中で
彼女は今も泣いている

切れ端の大地の先端から
覗き込む先にはまだ 赤い河が流れてる

枯れた木々… だけど彼らも生きている

時を超え 夢を手放し
だけどかすかな希望を緋の中に見出す夜な夜なの
悪夢の中に浮かび上がる
穏やかだった頃のわたしたち

神々は伝説の 空っぽの城の中から
全ての不幸を放置する

彼らを見た者も 彼らに触れた者も
そして彼らと言葉を交わした者もいな

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霧の数秘

霧の数秘

深い森のその向こう側を まだ誰も知らない
霧がかった森の その先の風景を
まだ 誰も知らない

地図にはない場所から届く風を
胸いっぱいに吸い込むと
愁いを秘めた 朝露の匂いが広がって行く

形のない扉と 道なき道の彼方に眠る者に
いつか 誰かが話しかけた言葉が
木霊となって心に降りて来る午後
だけどそこに
時間は流れない

あなたの名前をおしえてください
私にはあなたが 視えないのです…

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Vesper - 再会の朝

Vesper - 再会の朝

かぞえそびれた月日を集めて
一年前の君に手渡せたら
失ったものを取り戻せるだろうか…

時折夜明けの夢に現れる時
君はあんなに微笑んで
大好きだったカメラを抱いて走ってく

何もかもがありふれ過ぎてるから
むしろ夢の中で
それが夢だとひとり気づいて
泣きたくなった

もうすぐ一年目のその日が訪れる

あの日の月は どんなだった…?

君の背中を照らす月の渇いた残照が
音もなく復活する未明の部屋に

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妖精たち

妖精たち

どこからともなく声がして
そして気配が立ち込めて
掴みどころのない やわらかな温度に触れる

何かが生まれたしるしのように
そして何かが終わった合図のように
気配は気配のまま姿を見せない

ここではそれがあたりまえのこと
…日常を
 包み込む

閉ざした花芽はもう数千年も
そのままの姿を地表に晒して乾いてる

だからひとつぶの
涙を捧げます

ありふれた小さな愛など
この偉大な地の 何の力にもなれ

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雪闇にて

雪闇にて

雪闇の朝を ひた走る
どこか遠い場所へと急ぐように
僕たちは手を繋いで ひたすら
走り続けてる

かすかな希望 そして
残された時間の果てに向かって

遠い星から届く 誰かの声は
訃報を告げるみたいに 震えてる

すべてがまるでこの 枯れた森の風景に似て…

乱れた音声の欠片を拾い集め
繋ぎ合わせ 浮かび上がる文字のないメールを
 無言で読み続け 解読するふたりは
 世界で最後の生存者のように 項

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光のイニシエーション

光のイニシエーション

長い時間 眠り続けた私の頭上を
春が通り過ぎて行く
瞼とまつ毛の間に朝にひかりが降り注ぎ
目を閉じたまま 私は
おはよう…と心の中で声にする

土を被ったかわいた体はもう二度と
起き上がることはないだろう

そんな分かりきったことを心から受け入れるまで
数百年 いえ 数千年もの時を費やした

修行の如く眠りは過ぎて
次第に眠る、と言う感覚と覚醒とが一体となる
 不思議な冬の終わり

幽霊と精霊の違

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モノクローム・フォレスト

モノクローム・フォレスト

夢と夢の隙間の 渇いたクレバスに
吸い込まれるように 落ちて行く
さながら夢の中で夢を見るような

そこは酸素のない世界に似て
色彩を失った空が
瞼に 喉に 貼りついたまま 剥がせない

モノクロームの太陽と風が過ぎ
生きるためにもがくことさえ
虚しく思えて来る

微かに 微かに
森の繁みから立ち上る苔の匂いが
鼻先を通過する
かつてここは森だったのだろうか…

胸を過ぐ幾多の謎はすべて
この景色

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Forest of Sadness

Forest of Sadness



斜めに降る雨が 森を鎖して行く

苦く湿った腐葉土と土埃のしみた水滴が
つま先から撥ね上がるたびに
同じ速度で走る
いつかのフラッシュバック

私は空に向け 無言のうねりを上げながら
それまで秘めていた反発を露わにする

寄り添うように生きること
逆らいながら生きること
どちらも辿り着く先が同じならば
私は空に 風に 大地に
そしてこの森の大いなる存在に
強いインプレッションを与える途を択

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Ancient Peridot

Ancient Peridot

枯れた森に 古代の春が折り重なって
私の中に精霊たちが還って来る

遠い時代の物語

生まれたばかりの青い蔓で 妖精たちは
太陽へと続く階段を編んでいる
その指先は そよ風よりも透き通って
白くて澄んでいた

その儚げな背中を
抱きしめようにも すべてがあまり純粋で
穢れた心に湧き上がる罪悪感で
指先が凍りつく

たった一秒がここでは 大きな一秒に拡大する

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