「いかにも」じゃないペイズリー、あります
didiです。ファンの皆様、「サリーの柄といえば?」と聞かれて、まず思いつく柄ってなんですか?
「花柄」「象とか孔雀とか」「名前は知らないけど、幾何学模様」そうですよね。もうひとつ、ほとんどの皆様が名前をご存じの柄があるじゃないですか。そう、「ペイズリー」です。今回はペイズリーのお話です。
まずはこちらのイラストをご覧ください。これ全部ペイズリーです。
「ペイズリー 由来」で検索すると、実にいろいろなモチーフが出てきます。
マンゴー、松ぼっくり、糸杉やナツメヤシなど草花・樹木とする説が有力ですが、胎児、ミドリムシ、ミトコンドリアなど動物性のものを基にしているという説もあります(でも昔は微生物や細胞の中身なんて見えなかっただろうなあ)。
まだこの紋様にペイズリーという名前が与えられていなかった時代から、様々な文化が混ざり合ってできたものです。古くは、ペルシャからインド北部に文化が渡ってきた時代の手描きのペイズリー柄の更紗が残っています。
更紗はサリーの生地として頻繁に使われてきました。更紗の柄の入れ方(染め方)はさまざまありますので、違う記事にて。
ペイズリー柄は中東や南アジアで広く使われていた柄でしたが、特に「カシミール柄」と呼ばれることがあります。インドのカシミールで作られていたジャガード織のショールに多用されていた柄は、織るのにとても手間がかかるものでした。
19世紀ごろにインドからイギリスに伝わり、スコットランドで綿織物の量産が始まったころに、その地名からとって「ペイズリー(paisley)」と名付けられました。ペイズリーのユニークなデザインはイギリス王朝にも伝わり、現在に至るまで受け継がれています。エリザベス女王がペイズリー型のブローチを付けている写真を見たことがある方もいるかもしれませんね。
その後、1960年ごろにアメリカで定番のデザインとして定着し、日本にも輸入されました。ちなみにペイズリーといえばバンダナ、という方も多いでしょうが、バンダナも語源を辿るとインドの言葉(ヒンディー語)から来ているようです。
さて、こんなに歴史が奥深いペイズリーですが、「いかにもアジアン過ぎる」「色や配置によっては好きじゃない」ということで敬遠される方もいらっしゃるでしょうか。didiの店頭から、いい意味で「あんまりペイズリーっぽくない」ペイズリーをいくつかご紹介いたします。
他にも、クジラの尾のように先が分かれたもの、家紋のように立派なもの、草花の蔓と一体化して花だかペイズリーだか区別の付かないもの……といろいろなバリエーションがあります。
デザイナーの個性や年代、作られた地域によってこれだけパターンがあります。今や世界中に広まった柄ですが、一口にペイズリーと括って食わず嫌いしてしまうのはもったいない。ぜひ、あなただけのペイズリーを見つけてみてください。
参考文献・URL
『更紗 美しいテキスタイルデザインとその染色技法』田中敦子編著(誠文堂新光社、2015年)
レファレンス共同データベース「ペイズリーのモチーフの由来を知りたい」
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000176720 2022年1月22日閲覧
ロイズ・アンティークス「ペイズリー柄を辿って」
https://www.lloyds.co.jp/blogs/journal/83604 2022年1月22日閲覧
JACK in the NET「【連載】いまさら聞けない ~バンダナの歴史~」
https://jackinthenet.jp/2021/02/04/13290/ 2022年1月22日閲覧
グレートアーティザン「カシミールとペイズリー その歴史とカシミヤ」
https://great-artisan.jp/useful/article057513/ 2022年1月22日閲覧
イラスト提供
山田まなご様
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