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二日酔いの原因、アセトアルデヒドについての小話

 当醸造所の記事を初めてご覧になっていただく方もいらっしゃるかと思いますので、良ければ自己紹介記事もご覧ください。
ビール一本飲みながら読むにはちょうど良い記事の量かと思います。

では、本日のテーマについていってみましょう!

知「おー、昨日はありがとうな。お前二日酔い大丈夫か?」

私「私は大丈夫です!〇〇さんは大丈夫ですか?」

知「俺はちょっとあかんわ笑」

飲みすぎた翌日の、よくあるワンシーンです。

二日酔い。

できれば誰しもなりたくないものですが、会話が楽しく、ついついお酒が進みすぎてしまうと気が付けば眠ってしまい、何も対処をしないまま翌朝頭痛が…吐き気が…なんてことはよくあるかと思います。

ここでもよく言われるのは

・お酒を飲む量を抑える
・しっかりとおつまみをはさみながら飲む
・お酒の合間に和らぎ水を飲む

というテンプレート。ですがこれでは少し面白くないので、醸造家らしくもう少し突っ込んで。アセトアルデヒドとはなんぞや?ということについて少しばかり講釈をたれてみようと思います。

まず、そもそもアセトアルデヒドとは?
ビールの製造工程の際に発生する中間生成物です。ビールの赤ちゃんである麦汁。ここに酵母を添加してアルコール発酵が行われる際には必ず生成されてしまうものです。

青りんご様の香りがあり、とてもフルーティ。日本酒で言う「吟醸香」のような香りとも形容されることがあります。

発酵が順調に進めば、普通はこのアセトアルデヒドは酵母に再度吸収され、ほとんど我々が検知できない、無害な量にまで減少します。

発酵初期→アセトアルデヒドできる→発酵後期→アセトアルデヒドなくなる

みたいな感じです。

しかしながら、発酵がうまくいかなかった場合はそうはいきません。
アセトアルデヒドが代謝されないままビールを完成としてしまうと、香りこそ青りんごのような香りがして「フルーティ!」と感じられることがあるやもしれませんが、基本的にそのような香りはNG(オフフレーバーと言いますが、こちらはまた別の機会にでも)

※もちろん狙って青りんごのような香りを出している商品もあります。その場合はアセトアルデヒドによるものではなく、ホップや副原料を活用されているものがほとんどです。誤解のなきよう。

アセトアルデヒドは香りに作用するだけでなく、我々人間の不調を引き起こす原因ともなります。更に製品の劣化を引き起こしやすい物質でもありますので、基本的には百害あって一利なし。

もしかするとそのような商品を口にしたことがあるかもしれませんが、大体翌日か、飲んでいる最中に頭が痛くなる、吐き気をもよおしてしまうことがほとんどでしょう。
筆者はアセトアルデヒドに対して非常に過敏なので、ある一定量を超えた量のアセトアルデヒドを摂取すると、途端に頭が痛くなってしまいます。

シックハウス症候群の方の中にはアセトアルデヒドに敏感な方もいらっしゃるそうで、そういった方も飲む前の臭いや、少し口に含んだだけで気分が悪くなってしまうということもあるとか。

もちろん、ほとんどの醸造所はこのような商品を市場に出すことはなく、そもそも正常に製品を製造していれば基本的に問題ありません。商品としてリリースする前に検査やチェックもされているでしょう。

ですが、
「まだ未成熟であったり、発酵にエラーがあるとこのような事にもなるよ」


ということを少し知っているだけで、お酒が楽しくなるかもしれませんね。

そうそう、皆さんが二日酔いになられる場合は商品のせいということはないでしょう。漏れなく飲みすぎです。

・お酒を飲む量を抑える
・しっかりとおつまみをはさみながら飲む
・お酒の合間に和らぎ水を飲む

等、ご自身の体調と限界と相談しながら、お酒をお楽しみくださいませ。
ではでは。

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