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手薄のところを攻めるウクライナ 8月16日 Exploiting Innovative Ideas 4つの起業家戦略

 台風7号の接近が気になる8月16日、金曜日です。
先日は、岸田首相が秋の総裁選出馬断念を発表し、卓球日本代表でパリ五輪メダリストの早田ひな選手が「怪我をしたことによって、誰のために頑張れるのかを感じることができた。自分が生きていること、卓球ができていることは当たり前のことじゃない。特攻記念館に行って感じてみたい」と語ったことが話題になっています。
 ケガをおして団体戦を戦った経験から、彼女自身、感じるところがあったようです。早田選手の活躍を願うばかりです。


お盆休暇も後3日となりましたが、良い休暇となっておられますでしょうか。
今日の #ドラッカー365の金言 テキストは、1985年初版の『イノベーションと起業家精神』16章「総力をもって攻撃すること」353〜354ページより。


今日のテーマ:
#Exploiting_Innovative_Ideas#革新的なアイデアの追求 )
#4つの起業家戦略

今日の金言:
#創造性は格好がよい
#問題は死亡率が高いことである

今日のACTION POINT:
#とるべき戦略を念頭におきつつイノベーションの種を探してください

今日から数日間は、戦略のお話。起業が失敗するのは、戦略を知らないから。戦略さえ適切であれば、成功率は格段に上がる。

起業家戦略は4つある。総力戦略、二番手戦略、価格戦略、ニッチ戦略である。

とありますが、1985年初版の『イノベーションと起業家精神』には、次のように記されている。

起業家的な戦略は4つある。
(1)総力をもって攻撃すること
(2)手薄なところを攻撃すること
(3)生態学的地位を確保すること
(4)製品や市場の性格を変えること
 これらは互いに相容れないものではない。2つあるいは3つの戦略を組み合わせたりする。これら4つの戦略は、また、必ずしも画然と区別されるものでもない。例えば、同じ戦略が「手薄なところを攻撃すること」と分類されたり、あるいは「生態学的地位を確保すること」と分類されたりする。
 しかし、この4つの戦略には、それぞれに独自の要件がある。それぞれが、適合するイノベーションと適合しないイノベーションを持つ。

同書、354ページより

 ここでは、経営戦略を議論しているわけですが、実際の「戦争」における「戦略」においても、上記4つの戦略が活用されていることに注意すべきと考えます。

 ウクライナが防衛一辺倒で「東部領土をロシアへの割譲を受け入れるべき」といった論調が強くなりつつあったロシア・ウクライナ戦争ですが、ウクライナが戦略転換して、8月6日、ロシア領へ進軍。

しかも、順調に占領地拡大に成功しつつあることで、「ウクライナはロシアに東側を領土割譲して、和平の道を見つけるべき」との国際論調が低くなっていることは注目に値します。ウクライナは、隣接する東部のロシア領・クルスク州へ進軍し、この手薄なロシア領土に進軍し、占領地を1000平方キロまで拡大したとのこと。

この攻撃が成功したのは、ドラッカーのいう(2)手薄なところを攻撃する戦略です。

ウクライナ軍はロシアには侵軍しない、というロシア側の油断、ロシア防衛力の手薄な領土への攻撃によるものと思われます。


https://metro.co.uk/2024/08/12/panicked-putin-orders-evacuations-ukraines-stunning-incursion-21406509/ より

攻撃し、領土割譲できると思っていたら、逆に領土が占領されつつあり、クルスクの原発もSudzhaのガスプロムも占領されたと知ったロシア政府は一時パニックになったとも伝わります。

手薄なところを攻撃する戦略は、かくもこれほど簡単に上手くいくものかということを我々は目にしています。

ロシア軍、ウクライナ各地から部隊をクルスクに移動 カリーニングラードからも

 攻撃は最大の防御。
 敵が縦深陣地つくって守りを固めている占領地を奪還するよりも、敵がまったく防御をしていない敵領土に攻め入って、想定外の逆侵攻に慌てた敵が逐次占領地から移動してくる部隊を長距離兵器で各個撃破するほうがよい。
 ポーランド国境の飛び地のカリーニングラードからまで部隊を移動しているとなると、ワグネルの反乱のときと同じでロシアにはモスクワまでの間にまとまった予備兵力がなくなった状態なのだと思う


ところで、地震や台風に備える防災だけでなく、核保有国に取り囲まれ、石油も天然ガスも燃料を海上輸送に頼るわが国においては、戦前より海上防衛が欠かせません。特に、石油は、

  • (1)アラブ首長国連邦(410万kl、前年同月比100.8%)

  • (2)サウジアラビア(410万kl、同91.0%)

  • (3)クウェート(83万kl、同75.5%)

  • (4)カタール(39万kl、同73.7%)

の中東依存率96%と中東頼みです。

https://www.idemitsu.com/jp/tanker/know/report/no005/001.html より

ペルシャ湾からスリランカを経てマラッカ海峡、バシク海峡、台湾東を経て運ばれる「オイルロード」の安全確保は、わが国の生命線です。インド洋・太平洋諸国との良好な関係維持とともに、この海路の防衛もいずれ必要となるでしょう。

国防戦略と経営戦略とは別物ですが、どうありたいか、それが起点となって起業するわけですから、起業家、経営者にとって考えるべき発信点と感じています。良いお盆休暇となりますように。


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