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じゅうさんにちめ(じてんしゃ)

猪はもちろん、猿やレアキャラで鹿なんかがひょっこり出没するような地元から高松に越してきて今年で7年目になる。
ボットン便所の幽霊屋敷から、古いとはいえ一人には十分すぎる3DKのアパートに。
ジュース買いに行くのに車で数分から、チャリさえあれば買い物から銀行から病院からソープ街まで網羅する生活圏へ。
人外魔境のファッションリーダーから孤独なシティーボーイになったのだ。

今では車は気分転換のドライブか荷物の多い買い物の時くらいしか使わず、普段の移動手段は専らチャリになった。
高松に住んでいるとチャリに乗った大人というのは当たり前なんだが、地元にいた時はなんせ車が無けりゃジュースすら買いに行けないような生活圏なもんで農作業のジジババならまだしも、妙齢の大人がチャリに乗ることなんて見る事もないし自分も乗ることなんて無かった。
地元でチャリ移動のいい年した大人は割と変わった人といった印象だった。

自分より何個か上のI君は地元へ帰ると今でもママチャリに乗って凄いスピードでどこかへ向かってるのをたまに見かける。
僕がまだ地元にいた頃は年老いた母親と共にママチャリで移動しており、I君はその年老いた母親を下手すると20キロくらいのもの凄い行動範囲を同行させていた。
最近はI君が歳老いた母親と同行しているところを見る事もなくなったが、I君は今もママチャリで猪や猿や鹿が出る人外魔境から街の方に向かって凄いスピードで走っている。

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