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「考えるのが面倒」という今の時代に「あえて考える」意味はあるのか?

今年はNPOメディアのganasが立ち上がって10年です。ganasの前身も含めると、実に十数年にわたってganas編集長は、伝わる書き方(記事の書き方)を10~60代のさまざまな人に教えてきました。その数は優に1000人以上。

ここまで続けてきて特に最近感じるのは、考えたり、調べたりするのを面倒くさがる人の割合が小さくないこと。「考えるの、面倒くさいから!」と堂々と宣言する人は皆無ですが、ganasの講座でせっかく学んだはずのライティングのコツをスルーして(まったく使わずに)書いた原稿を出してくる人は増えています。

書くことは考えることです。言い換えれば、考えずに、伝わるように書くのは、天才でもない限り至難の業。ただ逆にいうと、考えながら取り組めば、ある程度のレベルには到達できる、というのがライティングの良いところなのです。このへんが音楽や絵、スポーツ、外国語などと大きく違います。才能は不要。とはいえ当然、最低限の努力は必要です。

ではなぜ、考えるのを面倒くさがる人が増えたのか。その理由を考えるのが面倒だなと思いつつ(自分も同じですね)、思考を巡らせてみました。

・SNSの影響で短文や絵文字のやりとりが増えた(きちんとした文章を書く&読む機会が減った)

・無料の情報があふれかえっているので、昔みたいに「お金を払ったからにはしっかり読まないと損」という感覚がなくなった

・今の世の中は「わかりやすさ至上主義」のため、複雑なことを考えるのを避けるようになった(物事を単純化する傾向が強まった)

・自分と価値観が大きく異なる人とのつきあいはある程度避けられるため(ハラスメント社会だから、嫌な上司からの誘いも断れる?)、同質のコミュニケーションしかとらなくなった(自分が理解したくない文章は理解しようとすらしない人も)

・考えないでも楽しめる手軽な娯楽が増えたから、日ごろからあまり考えなくなった(読書はもはや娯楽ではない?)

・アイデアを考えてもそれを生かす場が減った(契約社員や派遣社員、フリーターなど、自分で考え、それを実行できる仕事に就けない人の割合が増えた)

いろんな説がありますよね。上記のほかにもおそらくたくさん。正解は私にはわかりませんし、おそらくひとつではないでしょう。

ただ重要なのは、考えなくなったのはなにも若者とは限らないこと。世間では「近ごろの若者は~~~」と嘆く声がありますが、少なくとも私がかかわってきた人たちは世代の差はそこまで大きくありません。いつの時代も社会は若者に苦言を呈しますから。

むしろ気がかりなのが、考えないことによる「影響」です。

途上国ウォッチャーの間では昔から定番の議論のテーマのひとつに「途上国はなぜ、先進国のように発展できなかった(しなかった)のか」というものがあります。

正解はだれにもわかりませんが、発展できなかった理由を「気候」に求めると腑に落ちる人が多いように思います。たとえば

・途上国の大半は季節の変動があまりないし、自然に恵まれているから、冬に向けて食料をどうやって備えておこうとか、を考える必要がなかった(もっといえば灼熱のなかで長時間働くのは命の危険すらある)

・四季がないので、厳しい冬もいつかは終わって春がやってくるといった感覚が薄い。つまり今のうちにこれをやっておけば、いつかは報われるという「考えて行動する行動様式」が根付かなかった

など。キーワードを抜き出すと「考えない(考える必要がなかった)」です。

ですが、失われた30年が終わる気配を見せない日本もいまや、見方によっては報われない社会です。少なくない数の日本人にとっては、日々の暮らしを心配するのが優先。将来の展望は描けません。描けないから、ひょっとすると防衛本能的に考えることをやめてしまったのかもしれません。期待して夢が破れると、精神的に追い込まれることも。まさに途上国のような状況。

ただし悲観的になる必要はありません。組織に頼らず、「個として生きる力」を少しつければ良いのです。幸いにして今の(おそらくこれからも?)日本は、物価も安く、インフラも整っています。数十年前なら、日本円をもって途上国で暮らすのが「得だ!」との声も大きかったですが、その時代は終焉を迎えつつあります。

「個の力」のベースとなるのが、考えることであり、ライティングスキル(伝わる書き方)。ganasはアジア、ラテンアメリカ、アフリカのいくつかの国でさまざまなプロジェクトを進めてきましたが、現地のカウンターパートはみんなライティングスキルを備えています。自ら考えて、自ら動く力をもっています(何をするか明確に、具体的に書けるから行動にもつながる)。

だから一緒に仕事ができるわけです。彼らにとっては、たとえ生まれた国が貧しくても、個の力があるから逆境を跳ね返せるのですね。

国力が落ちたときにこそ、より効果を発揮するのが「個の力」。考えること、ライティングスキル。

というわけで、考える力も鍛えられるライティングスキルをこの夏(8週間)、体系的にみっちり学んでみませんか。5000円お得な「早割」は7月8日(金)まで!

なんとなくコツがわかった、ではなく、ライティングスキルの向上を本気で目指します(ただし本人の努力も必要)。ganas編集長からも本気のサポートを受けられます。

また、途上国を題材として取り上げるので、アフリカやアジア、中東、ラテンアメリカに動きも同時に学べます。いろんなエリアの基礎知識を得ることは自分が関心のある国を相対的にとらえるのにも有効。

これまでに学生から国連職員、協力隊員まで累計750人(グローバルライター講座のみ)が受講。ネットワークが広がるのも嬉しいですよね。

【早割7/8】最後のコロナの夏「伝わる書き方」と「途上国」を学ぼう! グローバルライター講座(21期)の受講者募集https://www.ganas.or.jp/news/20220617gwc/

本気度が高い方にはこちらをおススメします。プロの記者とほぼ同じ動きをします。

【〆切7/20】途上国を発信するganas記者になろう!『77日記者研修』(18期)の参加者募集
https://www.ganas.or.jp/news/20220618wt18/