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集団が不快だと感じた時の身のこなし方に関する変遷

身のこなし方は3つある。

1.集団の思想を受け入れ(反発せず)、自分の思想をなるべく集団に染め上げる。

2.集団の思想に反抗し、自身の信念を貫くべく集団の考え方に抗議する。

3.不快な集団を去り、快適な集団に属する。又は新たな集団を創る。

戦後から現在までの日本におけるトレンドは以下の通りではないだろうか。

2(現在の70代前後)→1(現在の50代前後)→3(現在の30代前後)

解説しよう。

2は高度経済成長や安保闘争があったまさに血気盛んな時代にあらゆるところで見られた事象であると推察される。経営者であろうと従業員であろうと自身の信念に反する場面に立ち会った際には、罵声や怒号、狂気で持って自身の信念を相手にぶつけ、相手も自分の信念をぶつけ合う喧嘩が頻発していたのであろう。現在から振り返れば、荒々しさを感じるが、社会で求められることややるべきことが明確であったため、自分の信念を容易に形成しやすかったこと、荒々しい者に対しても仲間意識があったことである種の寛容さがあったことがこうした事象を起こしていたのであろう。

続いて1。これはバブル経済時に下積み時代を送り、気付けばバブル崩壊という喪失感を味わった者(現在の権力者/経営者層にいる年代に近い者)の行動気質であると考えられる。自分達の上司や上層部の荒々しさ、体育会系気質、反骨精神に不快感を覚えたこの年代の者は、彼らを反面教師としつつも、集団に長く在籍していることが価値である状況を変えるところまでは頭が回らず、上手く自分をその集団に適用させる戦術を選択した。また、高度経済成長による物質的な豊かさの恩恵を受けた彼らは、次第に自身の信念にを貫く代償を支払うよりも自分を適用させた方が【効率的・合理的】だと判断することになる。この世代は上の年代には欠けていた効率性や合理性を主に海外からMBAを介して輸入し、日本に根付かせようとした世代でもある。耐え難きをを耐えることが美徳という価値に重きを置いている。

そして、現在のトレンド3である。これは平成生まれ以降の者が取る戦術であろう。上記の【効率性・合理性】が社会に根付いた結果、これらの思想に影響を受けたこの世代は、自分を適用させることすら、コストがかかってしまうため面倒臭いと考える。加えて、【ありのまま】という言葉が世間で持て囃された結果、自分の好きなもの・人を追求する権利を獲得すると同時に、不快な物・人を徹底的に避けることとなる。更には、SNSの登場が全世界の集団を可視化し、自分の居場所を求めて、出身地や血縁に固執することなく、自由に移動する(もはや移動もせずにバーチャル空間で心地よい集団に属することが当たり前と考えている。)。先端を行く者は、自分で集団を創る(起業などを含む)ツールも誰もが自由に使用できることになったことで、自分帝国を創ったり、集団ごとに所属の仕方やコミット度を変える手法を採用する。多数の者が「転職が当たり前」という標語を口ずさむのはこれらが背景にあるのであろう。耐え難きに耐えず、嫌ならさっさと去る。他の年代から見れば、ドライさを感じるであろうが、これが現在のトレンドである。

次の世代の集団が不快だと感じた時の身のこなし方が何か楽しみである。



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