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テスト用紙を見直したい:学習のデザイン01

こんにちは。昨年と比べて、noteのペースがすっかり落ちてしまいました。

今は、行動経済学とデザインの書籍化に向けて、コツコツと文章を書いているところです。定期的に進捗を更新しようと思っていましたが、出版の目処がたつまでは少し待とう、とアドバイスをいただきました。5月ごろを目処に更新できれば、と思います。

代わりに、というわけではないのですが、noteディレクターの平野さんと、clubhouseでお話しする機会がありました。行動経済学や読書のコツなど、僕のとりとめのない説明を、わかりやすくまとめていただきました。

というわけで、今回は、今年のもう1つのテーマ『勉強のデザイン』について、書いていこうと思います。

なぜ勉強にデザインが必要か?

学習、という大きなテーマを掲げていますが、ここで書く対象は、小学校から中学校にかけての、学校や塾で習う内容についてです。きっかけは、僕の娘が勉強しているのを見ていたときです。そこで、

デザインが勉強を阻害している」

と思いました。どういうことかというと、本人の努力や先生の教え方が、どんなに良かったとしても、勉強で扱うツールやコンテンツが悪ければ、学習理解のパフォーマンスはガクッと落ちてしまいます。

仕事のことで置き換えてみれば、よくわかるはずです。例えば、市役所に提出する書類。説明文章がまわりくどい表現だったり、記入方法がわかりにくいことが原因で、申請ミスがいっぱい出たとします。

この状況に対して「書き方や理解度が悪いから」と市民を責めたり、「ちゃんと書けた人はえらい」と人を評価することは、要因の分析が間違っていると、わかるはずです。

これはユーザーの問題ではなく、デザインの問題です。

勉強のデザインとは何か

では、「デザインでできることは何か?」を考えてみます。デザイナーは教育者ではないので、できる範囲は限られます。教師の教え方そのものに、口をはさむつもりはありません。例えば、このようなことです。

・黒板の書き方
・教科書の内容
・ノートの取り方のコツ
・複雑なことを整理する方法
・考えるクセが身につく伝え方

上3つは、視覚的な表現に関することですが、下2つは、見えることだけに限らない、構造化や体系化など、仕組みをデザインするようなアプローチです。このあたりは、今後も継続して考えてみたいと思います。

というわけで、今回はまず1つ、わかりやすい例から、デザインの必要性を取り上げてみたいと思います。

テストのデザイン

僕の娘はいま、塾に通っているのですが、テストの問題用紙と解答用紙をみて、これは直した方がいいと思うことが3つほどあります。

1. ページをまたがないで

テスト用紙のデザイン02

1つの内容を1ページに収めないレイアウトが散見されます。問題文がページをまたいだり、問題文と対応する図が別ページになっていたり。当然、子ども達は行ったり来たりするので、集中力が削がれてしまいます。

会社なら、こんなことないですよね。パワポの文章がページをまたいでるとか、質問内容と図が一緒になっていないメールとか。

テストの問題用紙が、何のソフトを使ってつくられているかわかりませんが、レイアウトはちゃんと考えるべきです。

2. 階層化しないで

テスト用紙のデザイン03

「四角1」の「あ」の「まる1」の「かっこ1」、のように、階層化した問題、よくありますよね。ここにはいくつかのツッコミポイントがあります。

・他と似ていて、解答欄がどこか見失いそう
・3つ以上の階層になると複雑に感じる
・どれが上位階層なのかわからない
・そもそも回答者に構造を理解させる必要性がない

これは、出題を出す人側の論理で、問題を解くユーザーの視点に立って、デザインされていません。会社のパワポでも、たまに見出しに長い通し番号が振られている資料がありますが、記憶に残っている人はいないでしょう。

3. ガイダンスと問題文は分けて

テスト用紙のデザイン04

ガイダンスと問題文が同じトーンで書かれていると、パッと見、違いに気づきにくいです。これに1のページをまたぐ、が組み合わせると、何の問題なのかが分からなくなってしまいそうです。

テキストの表現を変えるとか、問題文にはそれとわかるように、印をつけるとか、ちょっとした配慮で、迷うことを回避できるようになれるはずです。

TOEICのデザインから学べること

世の中を見渡してみると、よくデザインされたテスト用紙もあります。僕が思いついたのはTOEICです。何が良いのか、上にあげた3点に対応する内容で、紹介したいと思います。

まず、ページを絶対にまたぎません。少し空いていても埋めずに、次のページにしています。長文のPART7でも、見開き1ページに収まっています。

そして、階層にはなっていません。大きな分類はPART1-7の7項目。かっこや四角などの抽象表現ではなく、PARTという具体的な言葉を使っていることも、明確です。そして解答欄は1-200の通し番号で、PART1-7との階層構造にはなっていません。

最後に、ガイダンスは四角の枠で囲って、問題文と違う文章であることを明確に示していて、問題文は統一された書式で、読まなくてもパッと見で、どこが対象かがわかるようになっています。

テスト用紙のデザイン05

英語やマークシート形式なので、そのまま適応は難しい点もありますが、学べることは多くあるはずです。

デザインできることはたくさんある

いかがでしたでしょうか?僕も、TOEICのテストを受けた時は、気にしていませんでした。でも、こう考察してみると、問題を解くユーザーの能力を妨げないデザイン、であることに気づくはずです。

テストは本来、内容の理解度を測定するためのツールであって、それ以外のことは、回答者になるべく意識させないことが大事なはずです。

このようなカタチで、今後も思いついたことを、定期的(月1回くらい?)に書いていこうかなと思います。テーマは変わりましたが、引き続き興味を持っていただけると、うれしく思います。

デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。