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アイドル誌制作風景

こんにちは、グラフィックデザイナーの森田です。
今回は地下アイドルグループのオリジナル雑誌の制作風景を綴っていこうと思います。

遡ること昨年の11月、僕が自ら企画・制作しているフリーマガジン(これについてもいずれ記したいと思います)を見たアイドル事務所の方から、突如連絡をもらったことから始まりました。

デビューを控えたアイドルがいて、デビューと同時にオリジナルの雑誌をつくって宣伝していきたいとのこと。地下アイドルでオリジナルの雑誌を作っているところはなかなかないので、企画編集〜デザインまでトータル制作の以来でした。
対象のアイドルは「LOVEReS」という女の子4人組のデビューを控えたグループ。元々アイドル活動していた子や、今回初めてデビューする子もいてキャラクターも4者4様。

正直僕はこれまでアイドルにあまり興味はなくて、強いて言えばたまに欅坂46をSpotifyで仕事中BGMとして聞く程度でした。なのでまずはアイドルの勉強からせにゃならんと思い、アイドル雑誌を買ったり色んなアイドルの歌を聞いたり、ライブに足を運んだり吉田豪さんのツイッターをフォローしたりしました。

そして諸事情により少し期間が空き、今年の8月から制作は始まりました。

今回の仕事は雑誌丸々一冊を0から作るので、まずはデザイン云々の前に企画を立てなければいけません。そのためにマネージャーさんや女の子たちと面談を繰り返します。そして1号はとにかく「新生アイドル」ということを推していこうということに。理由は「ファンになりやすいタイミング」だから。グループの古参のファンもいませんし、生まれたばかりのグループを「最初から育てる」という意識を持って応援できます。

ですので今回の特集はグループとして、個人としての自己紹介をしっかりとして、「ここからスタート!」という想いを雑誌にぶつけていこう、とコンセプトを立てます。

上は撮影ラフです。デザインの現場であるあるなのが、ネットに散らばるイメージ写真を引っ張ってクライアントやカメラマンに「こんな感じで」と伝えるということ。もちろん共有する方法としては良いのですが、やっぱりそのイメージ写真以上のものが上がりづらいし、具体的すぎて参考画像と同じようなものになりがち。そしてカメラマンに対しても「これと同じ感じで」って少し失礼なんじゃないかと個人的に思っています。だったらそれを撮ったカメラマンに発注すればいいじゃない。僕は敬意を払ってカメラマンのモチベーションをあげ、100%以上のクオリティを引き出すのもディレクターの仕事だと思っています。。なので僕は表情やアングル、衣装などの細かな部分はイメージ画像で共有を図りますが、構図や全体イメージは手書きスケッチ、残りは現場判断でカメラマンやクライアントと話しながら撮影をしていきます(もちろん事前に入念な打ち合わせは行いますが)。そうすれば結構「おお!良いね!」と思いも寄らなかった作用をするものです。

撮影風景は今回掲載できませんが、アイドルの彼女たちも良い表情を出してくれて良い雰囲気で3hほどで終えることができました。カメラマンからレタッチ済写真を納品してもらいます。その後は僕の方でラフ案に沿ってデザインを進めていきます。

ちなみに雑誌名は「LR」。アイドル名のLOVEReSの中からアルファベットをとりました。右に左に動いていく、という意味を込めています。

撮影、デザインと並行して特集の中身のメンバーへのインタビューも行なっていきます。彼女たちの決意や意気込みを詳しく本音を探り、それを記事にしてきます。

そして特集とは別に、彼女達には一人一本連載を持ってもらうことにしました。ここで僕が一番大切にしたかったのは彼女たちが「楽しく続けられる」ということ。本誌は今後定期的に刊行していく予定で、キャラクターのために無理やり企画をさせることはとってもよくない。そんな様相は絶対にクオリティに表れます。クオリティを求めるからこそ、自然体で出来たりやる気が出る企画を立てようと、彼女たちのパーソナルな情報や挑戦したいことをヒアリングしました。

例えばリーダーの葉月美愛さん。話を重ねてくと彼女はかなりの偏食家だということが判明しました。実はハンバーガーも食べたことがないと。。。だったらこれから食べたことのないものに挑戦していくという企画はどうだろう。ここで大事なのは「食べられるようになるということではない」こと。克服を企画の中心に持っていっては今後彼女のモチベーションが不安です。なので、挑戦して好きか嫌いか判断していく、その様子をファンに楽しんでもらおうということになりました。

他にも撮り下ろしの写真ページも。シュチュエーションを変えて2組に分かれて撮影を敢行しました。こちらは特集写真を取ってもらった方とは別のカメラマンに完全お任せ。こういった写真はこちらが変にディレクションをするよりも、カメラマンと被写体の2者だけの世界になってもらった方がいい写真が撮れる傾向が強いです。

そうしてアイドル(事務所)とキャッチボールを重ねながら、約2ヶ月の制作期間を経て完成したのがこちらです。

全32ページ、今後も定期的に特集を変えつつ敢行予定です。もしご興味あればこちらからどうぞ。


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