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本好き大学生が書店バイトを体験して思ったこと

 こんにちは。九月も半ばに差し掛かり、気付けば気温も下降の一途をたどっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて今回は、私が書店でのアルバイト体験(約半年)を通して見えてきたことをまとめようと思います。

 内容としては、初めに結論として働いてみてどうだったか、私が実際に働いて感じたギャップ、そしてよかったところ、悪かったところなどを書いていこうと思います。これを読んでいいねと感じた方はスキ、フォロー等してくださると励みになります。それでは、よろしくお願いします。

はじめに 書店バイトはお勧めしないがやる価値はある

はい。結論から申し上げると、書店バイトはお勧めしません。

 なぜそう思ったのかについてですが、その前にまず私がバイトをしていた店舗についてと、なぜ自分が書店でアルバイトをしようと思ったのかについて軽くお話します。

 店名は諸事情で明かせませんが、比較的大きな所かつ訪れる方はどちらかと言うと30~40代の女性、次点で子連れの親子、その次に60代以上の方、というような感じです。加えてニーズもそちらに向けたものが多く、若者が好きそうな商品というよりかは大衆に向けた雑誌や旅行誌、漫画等が多く販売されている店舗です。

 そして私がアルバイトをしようと思った理由ですが、大きく分けて二つあります。
 一つ目は、私が本の虫であるということです。私自身読書がとても好きな趣味で、量にして年間500冊読むほどです。実際休日には丸々一日読書に充てる日もあるほどで、そんな私が本を身近に感じることの出来る場所として書店が最適であると感じたため、書店でのアルバイトをすることにしました。
 二つ目は、将来のためです。将来のためというとなんだか大層な理由に聞こえますが、転職等で書店に就職をしようと思った時に備えて、実際に働いた体験が欲しいと感じたためです。正直こちらの理由の方が大きく、個人的に大学生のうちに体験しておきたかったので、お勧めかどうかは別として満足のいく半年間でした。

 そしてなぜお勧めしないのかという理由ですが、給料の割に覚えることや忙しさが多く、釣り合いが取れていないなと感じました。人間関係もいいとは言えず、気まずさやわだかまりもありました。そういった点については事前情報である程度分かるのでバイトを引き受けた自分にも非はありますが、実際に働いてみてやはり厳しさがありました。社割等を差し引いても、書店で働くのはあまりお勧めしないという結論に至りました。

 しかしその一方で、書店バイトをやる価値は大いにあったと感じています。これらはメリットの方でお話しようと思います。

実際に働いて感じたギャップ

 次に私が実際に書店で働いて感じたギャップについてお話しようと思います。

肉体労働は思ったより多め

 実際働いてみて、体を使った仕事が多いなと感じました。掃除や接客、返本や配架など、業務はそれなりにありますがそのどれもが体を使う仕事です。4時間程度の勤務ならあまり疲れませんが、フルタイム(実働7時間、休憩1時間)で入った翌日はかなり肉体的疲労を感じました。

クレームは割とある

 実際に書店で働くまで、私はクレームなどほとんどないのではないかと高を括っていました。ここでは働いた中で受けたクレームについて一部を紹介しようと思います。
 まず取り置きについて。私の店舗では商品(主に新刊)をその人専用のものに出来るサービスがあります。ただその商品は買って頂くことが前提かつ取り置き期間が設けられており、その期間を過ぎると電話を入れる決まりとなっています。その中でいつになっても商品を取りに来ないお客様がおり、3か月ほど期間が空いたのち来店、それを注意したところ、クレーム(言いがかり?)を受けました。
 これに関しては完全にお客様側に非があり、実質出禁のような対応になりました。書店という空間にこのようなモラルのない方もいらっしゃるのだなという、半分驚きがありました。
 その次に書店が行っているサービス、特典等に対するクレームです。漫画や雑誌に付いてくる特典や一番くじ、ラッピングなど、販売の際に気を付けなければならない事が多く、それらのミスによりお客様からクレームを受けることが。個人的にはなりますが、それらの内訳はこちらの不手際半分、お客様の横柄さ半分、といったところだと思います。特に一番くじに関しては理不尽な言われようをすることも多く、なかなか辛いところではありました。

意外と本を読んでいる書店員は少ない?

 これはもしかしたら私の所だけなのかもしれませんが、私より多く本を読んでいる方はいない印象を受けました。新刊の宣伝のために読んでいる方などはいましたが、私のように一日を読書に費やすような本の虫はいないようでした。趣味と仕事は住み分けられているのかな、と感じた半年間でした。

よかったところ

 次は書店で働いてよかったところをまとめていきます。

本探しが圧倒的に早くなる

 一番よかったと思うのは、自分が本を探す時にとても効率が上がったところです。本好きの方なら図書館や書店に足繁く通うと思うのですが、初見の店だろうがまるでその場所に精通しているかのように本を探すことが出来ます。そんな気がします。多分。

 これに関しては一緒に図書館や書店に行った人からも言われたことなので、本当に早くなったんだろうなあと実感しています。具体的にはジャンルの絞り方や出版社の見分け、著者名などで探していますが、それらが書店バイトによって洗練されたように感じますね。私が働いていたところは本の自動検索機が存在しておらず、書店員がPCで本の在庫を確認して取りに行くという手順を取っていました。(正直どうしてセルフ検索機を実装しないのだろうとは思っていました)そのせいもあり、お客様から本の在庫を確認する段階で検索をスムーズにこなせるようになり、結果的に本を早く探すことが出来るようになりました。

基本的な接客、レジ対応等は学べる

 世間知らずなもので、今まで生きてきた中でレジという機械に触れたことがほとんどなかった私ですが、そんな私にとって書店でのバイトはレジを含めた基本的な接客業を学ぶのにはもってこいの場所でした。
 大学生のうちに一度レジ打ちは経験しておきたいと思っていたし、接客や問い合わせなどの業務もこなしてみたかったので、最低限の体験は出来たかなと感じています。

プルーフ本が読める

 プルーフ(=proof)とは「証拠」の意を持つ英語ですが、ここでは「校正刷り」、すなわちまだ世に出ていない、校正時点での本の事です。

 なぜこれを書店員が読めるのかについてですが、皆様はこういったものを書店などで見つけたことはないでしょうか。

こういう手書きのポップってなぜか読んでしまうんですよね。なんででしょうか。

 そうです、ポップですね。これらは本の販売促進に使われるもので、私なんかはこれを見て本を買うこともしばしばあります。

 書店員が発売前のプルーフ本を読むことが出来るのは、このポップを作成するためが大きな理由の一つだと思います。なのでまだ刊行前の本が読みたい方、書店でポップ作りをしてみたい方には楽しむことの出来るバイトです。

悪かったところ

 ここでは書店で働いて悪かった所をお話します。ただ、これはあくまで自分の体験談を踏まえたものであり、すべての書店がこういった悪い点を抱えているわけではないので、そこの点だけご了承ください。

書店員は基本的にやりがい搾取である

 2000年から比較するとなんと3分の1の書店が店を畳み、年々下火になっている書店業界。それらは覆しようのない事実であり、それは書店員の給料にも明確に表れています。

 人件費は私が働いていた時に目に見える形で削られ、最低賃金、業務は増える一方、そんな印象でした。

 これだけ聞くと本当に未来がないのか、と思う方がほとんどだと思いますが、私は書店の形態が変化する前兆なのかなと感じています。
 おそらくこれからも書店の数は減少、書店員の仕事の多くはAIに任される時代が到来すると思います。それはセルフレジや自動検索機などといったシステムの導入によって既に始まっています。

 さらに私は電子媒体による書店業界の発展がこれからやってくるのではないかと考えていて、その証拠に紙媒体と比べて電子媒体の書籍は売り上げが上昇し続けています。もしかしたら今後kindleなどのサービスがより使いやすい形になって、クラウド上で意見交換しながら本が読めるアプリみたいなものが出てくるのかもしれませんね。

 話を戻すと、将来のことは分かりませんが現状書店員の給料形態や環境というのは中々に難しいものがあり、正直やりがいを求めている方以外にはお勧めしづらいなと感じました。

人間関係に左右される

 これは割とどの職場でもあり得ることだと思います。書店は基本書店員同士の連携で成り立っている職場なので、人間関係が悪いとその日の業務や連携に乱れが生じてしまいます。
 私のところは朝番と夜番に分かれているのですが、朝番の中でも対立があり、朝番と夜番でも対立があるといった印象でした。この関係が億劫になったというのも、私がこのバイトを辞めた原因の一つでもありました。

本を読む時間が減る

 本末転倒とはこのことで、書店で働いたことによって本を読む時間が減ってしまったんですよね。なぜ。

 理由は単純で、最低賃金のためです。生活費を稼ぐために始めたバイトによって身体的疲労がたまり、結果読書時間が減ってしまったのです。要は最低賃金なことが悪いという点に集約されるんですよね。

おわりに

 ということで、いかがでしたでしょうか。結論としてはお勧めしないというものでしたが、これもあくまで主観的な意見かつ私の生活環境によるものも大きいと思います。決して現在書店員として働いている方の事を悪く言うつもりもないし、私は書店員という仕事を体験出来て非常に良かったと思っています。
 もし「私の職場はこんな感じだった」などの意見があれば是非コメント等で教えてくださると幸いです。では今回はこの辺で。良い一日を。



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