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「世の中を良くする不快のデザイン展を終えて」 #10 プロデューサー・鈴木創太のつぶやき

こんにちは。鈴木創太と申します。ありがたいことに、本展示のプロデュースを担当させていただきました。

普段は、電通クリテーティブXが運営母体となるDentsu Craft Tokyoで、デジタルコンテンツ、映像、Web、インスタレーションやライブ演出など、テクノロジーを使った体験コンテンツのプロデュースをしています。

全体の進行をしていたこともあり、正直書くことが多すぎて、まとまらない文章もあるかと思いますがご容赦ください…!

なんとか論点を絞って…

「展示の体験デザイン」
■拡散させる仕掛け
■とにかく早く作る
■デザイン展を文字で説明する

上記をテーマに、備忘録的に記していこうと思います。

今回、初心に立ち返ることも多くあったので、自分への戒めとして基本的なことも改めて書いていきます。若い人たちの参考にもなったら! という視点で書きますので、ぜひCheck it now!!でお願いいたします。


「展示の体験デザイン」-拡散させる仕掛け-

まず展示制作をするにあたって、たくさんの困難がありました。その理由に「広告との目的の違い」があります。

普段の広告のお仕事は、ビジネスとして最終的にはブランドの売上やイメージを上げるために取り組んでいます。大きな矢印としては、クライアントさんに向いているのがほとんどです。しかし、今回は来場したお客様から直接、作品の評価を得るという点が、今までと大きく違いました。

「評価を得て、可視化する。」

普段の仕事以上に、作品そのものにフィードバックをしてもらい、それを分析するということが非常に重要でした。また、PRに割くほどの制作予算はなく、拡散ツールとしてもSNSをメインにしなければならなかった事情もあります。

となれば、「展示を見て満足してもらう」だけではなく、「拡散したくなるコンテンツ」を作る必要がありました。いつもと状況が若干違うので、「拡散したくなるコンテンツ」のためにどのようなアクションをし、何を制作するのか、というのがチームとして非常に難しかったところです。

何をSNSに投稿したい?

そういった状況の中で、どの事例をコンテンツとして採用するのかという話を進めながらも、私は「それぞれの事例をどのように展示したら拡散されるのか」ということを特に重視して、企画に参加しました。

いわゆる、カスタマージャーニーから逆算してコンテンツに落とし込みます。一旦、ささっとSNSに投稿したくなるポイントを整理します。

「来場者から拡散」の導線を考える

①会場に入りたくなる
ヴィジュアルのタペストリーとジオラマ

②写真映えするもの
モノクロに統一した世界観。イラストや体験コンテンツ

③「世の中を良くする不快のデザイン」への理解を促進
展示意図の分かりやすい説明

④読後感(楽しい、タメになる)
コンテンツ量、知識となるコンテンツ説明

☆人に話したくなる、SNSで共有したくなる

これらを前提に、展示会場全体のデザインとコンテンツ制作を進めていきました。

ジオラマの役割

コンテンツの配置方法が非常に難しかったです。後半になればなるほど「この事例のどこが不快のデザインと言えるのか」と理解するのが難しい構成になっており、読後感として「最後はちょっと難しかった…」と、後味が悪くなってしまう可能性もありました。

また、「最後は覚えているけど、最初に何があったか忘れた…」なんてことは、展示に限らず良くあることで。14つの事例もあれば全部覚えるのは不可能だとしても、「不快のデザイン展とはなんだったのか」という全体感だけでも持って帰って欲しかった。

そして、より興味を持ってもらえるために、これらが自分達の身近にあるということを提示したいと考え、解決する手段として思いついたのが、会場に「『日常の中にある不快のデザイン』のジオラマを置く」というアイデアでした。

ジオラマの役割
ジオラマアイデアの初案

最初は、ジオラマと体験コンテンツの連動も考えていました。

完成形の図面(中沢CDが綺麗に図面にしてくれました…!)
展示したジオラマ①
展示したジオラマ②
中央に置いた時の存在感!

また、ジオラマは会場外にアピールするのにも適していました。会場のど真ん中に置くことで、道ゆく人にも目に留まるものになったと思います。

タペストリー型のキーヴィジュアルで遠目からでも目に付き、近くで覗き込めば大型のジオラマが目に入るという二段構え。このように外からの導線も作っていきました(真っ白なジオラマにプロジェクションマッピングをしてアテンションにすることも考えましたが、採光が強い展示だったので断念しました…)。

このジオラマが結果的にどれだけ本展示に寄与できたかはわかりませんが、アンケートでのポジティブなリアクションを見る限り、きっと役割を果たしてくれたはず!

「ワンアイデアでバラバラのものが整理された」成功事例になりました。

実現するにあたり、担当していただいたプロデューサーの井口、制作会社の西日本模型さんには大変助けられました!限られた予算の中で知恵を絞って実現していただき、本当に感謝しています。

「展示の体験デザイン」-とにかく早く作る-

当初、体験コンテンツは5つ候補があり、出来るだけ実施する方向で動いていました。しかし、体験コンテンツチームはかなり少人数。複数の体験コンテンツをお願いするのはムチャとも思えたので、プロデュースという役割ながらも、とにかく自分でも手を動かして作ることに決めました(SNSコンテンツ事例は私がプランニング&映像を、クリエーティブディレクター中沢が企画&デザインを担当しました)。

モスキート音のDEMO

モスキート音の体験コンテンツを担当するディレクター松元エンジニア石川が忙しかったので、代わりに土台の準備をし、引き継いでもらいました。

コンテンツの方向性を決めていく

DEMO動画を作成(とても気持ち悪い動画が出来た…完成形と全然違う…)。
この動画を公開するか悩みましたが、あえて晒させてください(笑)。ラフな動画でも議論のタネにはなるし、プロジェクトの第一歩となったので、とにかく作って共有するのは非常に大事だなぁと思いました。

体験コンテンツにしたかった踏切

踏切の事例も、本当は体験コンテンツにしたいと考えてました。踏切の①色 ②高さ ③音 の3つの不快のデザインを体験できたら、かなり面白くなりそうだなと思っていました。

ゲーム性のある踏切コンテンツのアイデア

踏切コンテンツの体験企画を出したり、段取りを進めていましたが、制作のキャパが足りず…。いや!! なんとかそれでも!! と、「本物の踏切を置いてやる!!」と鼻息を荒くし、踏切をオークションで探したり(いくつか候補は見つけた)、最後まで粘りましたが条件が合わずに断念…。本物の踏切置けたら、クレイジーな展示になったなぁ…(笑)。

結論としては、クオリティを上げるためにはとにかく早く作ることが大事だと思います。担当の人が忙しいなら自分で出来るところまでやって、共有し議論を深めておく。早ければ失敗も許される! ので、役割を気にせずどんどん作るべきだなと思いました。

「展示の体験デザイン」-デザイン展を文字で説明する-

今回、自分が最も反省したのは展示全体の「説明文章」をとにかく減らそうとした点です。

デザインの展示なのだから、「一目で見て分かる」「楽しかったという読後感」が必要だと、そう思っていました。ただ、「不快のデザイン」という難解なものを理解してもらうためには、しっかりとした文章が必要でした。その難解なものをデザインとアイデアで解決できないかと考えていましたが、うーん思い浮かばず…。

ただ、文章が多いとWebでの読み物と変わらないのでは? 読ませることがストレスになるのでは? と読後感に懸念を持っていました。

知的好奇心を満たす展示

しかし結果的に、私たちは想像以上の反応を見ることができました。一生懸命にテキストを読み込むお客様が多数いました。アンケートを読むと、驚いたことに「楽しかった」という声だけでなく、「学びがあった」という感想もたくさんいただきました。

まさに、知的好奇心を満たす展示となりました。

読み応えのある文章を作ったコピーライター佐々木には、本当にリスペクトですし、読める文字組みやイラストでテンポをつけたりと、デザインチームも多くの工夫をしてくれました。本当にみなさんに感謝です。

今まで経験してきた展示の中で、これほどまでに「説明文章」に力を入れた展示は見たことがありません。それは、「視覚的に見せる」という大前提の中で展示というのが実施されてきたからだと思います。

展示の需要を誤って認識していたと、人々がこんなに知的好奇心を求めているんだと知って、非常に反省をしました。改めて、今後は色んなコンテンツに触れて、あらゆる観点から研究していきたいと思います。

最後に

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。知らない間に長いnoteになってしまいました…(これでも半分ぐらい削ったんです)。

こんなにも多くのお客様に展示に触れていただいて本当に嬉しいです。夜な夜な一人でプランニングを考えたり、映像を作ったりしていた甲斐がありました。もっとあーすれば良かった、こーすれば良かったと思う点はいくらでもあるのですが、また次の機会に活かしていければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次こそは本物の踏切を置けるように頑張ります💪

鈴木 創太(すずき そうた)
電通クリエーティブX/Dentsu Craft Tokyo所属。デジタルクリエイティブや大型インスタレーションのプロデュースなど多方面に通じ、社会に根差したプロジェクトが得意。

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