［奇談綴り］雨

だいぶ昔の話。
ある友人と遊びに行くと、必ず雨が降ることに気づいた。
最初は通り雨とかそのぐらいの軽い雨で「なんか良く雨に当たるよねぇ」ぐらいの感じだった。
それがいつからか豪雨になった。
晴れの予報が出ているのにその友人と会う時間だけ豪雨になる。
月に1回程度だったが、会う度に雨が降るのはさすがにおかしいのではないか、と思うようになった。
友人も「なんか変だよね」と言うようになった。

もう一人誰かがいると雨は降らない。むしろ雨の予報が快晴である。
私とその友人が二人で出かけると、合流するあたりから豪雨になる。

なんだか気味が悪いということで話が一致して、この先どうしようかと相談していたあたりで友人が地元に戻ってしまった。
地元はものすごく遠いので、年末年始やお盆の帰省ぐらいでしか会う機会がない。
場所も変わったし大丈夫だろうとお盆の帰省で久しぶりに会うことになった。

「また雨が降ったら怖いよねｗ」なんてフラグを立てたのがいけなかったのだろうか。
なんと突然台風が発生して、会う予定のエリアを直撃して暴風＆豪雨になった。

単純に雨が降るだけならいいのだが、通り雨からゲリラ豪雨、そして今回は台風と、なんだか進化しているようなのが気になった。
「なんだか気味が悪いから、なるべくもう一人入ってもらうようにしようか」ということになった。

何回かは上手く人が集まって何事もなく、むしろいい天気で楽しく遊びに行くことができたので、やっぱり気のせいだったんじゃないかな、と思い始めた頃。
人が集まらず、久々に二人で会うことになった。
正月なので台風が来ることもないし、降っても雨ではなくて雪である。
まあ大丈夫だろう、とのんびりと当日を楽しみにしていたら。

震度５の地震が起きて集合予定の街にそこそこの被害が出てしまった。

台風の次が地震ってどういう事？？？？？
私も友人も大混乱である。
元々地震の多い地域なのでいつもならそのまま集合でもよかったのだけど、この時は建物に被害が出るレベルだったので、食事は結局中止になった。

冷静に考えたらごく普通の人間が会うだけで雨が降る訳がないし、台風や地震が起きるというのはありえない上におこがましい話である。
そもそも震度５の地震の上となったら日本が壊滅してしまう。
そんなわけ無い無い。

それでもなんだか怖くて、数年ほど間を置いてからやっと二人で会うことにした。
もう雨も降らないしなんならいい天気だった。
あんなに雨が降っていたのは何だったんだろうな、と思う。

オカルト的には雨は獣退治の象徴であるらしい。
この友人は「サソリ」で食べられかかっていると言われた友人なのだが、まさか何か関係があったりしたのだろうか。