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ジークンドーと物理学的考察

 ラジオから聞こえてきたジークンドーという聞き慣れない武術(格闘技?)に興味を惹かれました。格闘技にはそれほど興味はありませんが、石井東吾先生のワンインチパンチが凄い、というラジオの話でした。調べてみたら、自分なりに面白い発見がありました。格闘技の経験が全くないド素人ですが、ジークンドーについて科学的に分析してみたいと思います。

 ジークンドーは漢字で書くと截拳道となるらしいですが、これは俳優・武道家のブルース・リーが開発した武術らしいです。また、ジークンドーは武道だけではなく、人間としての生き方を表す哲学・思想も含むそうです。英語ではJeet Kune DoまたはJeet Kwun Daoと書きます。なおブルース・リーは、この頭文字をとったJKDがカッコいいとお気に入りのようでした。

 ラジオで「凄い!」と聞いていたので、石井東吾先生は厳つい巨体の格闘家と勝手に思っていましたが、動画を見ると”小柄で表情が柔和な若者”という印象を受けました。喋り方も穏やかで、武道家なのに威圧感は全くありません。むしろ、この人がそんなに凄いの?、というのが第一印象でした。

 技の動画を見て、印象が一変しました。実際のワンインチパンチやワンインチパンチによる瓦割りの動画を見て、衝撃を受けました。「この人は本物だ」と直感しました。石井東吾先生は、どちらかというと謙虚なタイプで、いわゆるオラオラ系とは全然違います。本当に強い人はこうなんだろうと、改めて思いました。

 ここからが、格闘技ド素人によるジークンドーの科学的な考察です。そのつもりでお読みください。ジークンドーの極意は、「体重移動」と「スピード」だと考えました。格闘技でのパンチやキックは、腕や脚で作ったエネルギーを使った攻撃です。物理的なエネルギーは、質量(重さ)と速度(スピード)の二乗に比例します。つまり相手に与えるダメージは、腕や脚が重い方が大きくて、スピードは2乗で効いてくるので、パンチやキックのスピードが速いほど大きなダメージを与えられます。

 石井東吾先生の動画を見ていて、”とにかく技の動作が早い”ことに気付きました。エネルギーの最大化にはスピードは欠かせません。また、動画の中で自身で解説されていますが、パンチに全体重を乗せることが重要なようです。腕や脚の重さは、高々体重全体の十分の一程度にしかなりません。ジークンドーでは、パンチに全体重が乗り、しかもその動作が高速なので、腕や脚が単独が作るより、はるかに大きなエネルギーを作り出せます。

 具体的に計算してみましょう。体重50キロの人の脚を仮に5キロとします。この人がキックする速さをVとすると、エネルギーは2.5*V*Vとなります。また、全体重の半分をパンチに乗せることが出来て、同じ速さVでパンチが繰り出せたとすると、エネルギーは12.5*V*Vとなります。つまり、キックの5倍ほどのエネルギーをパンチで生み出すことが、計算上出来ることになります。このエネルギーをある一点に集中させれば、ワンインチパンチによる瓦割りも簡単です。

 ”気のエネルギー”は科学的には説明できませんが、ワンインチパンチは科学的に説明可能です。ジークンドーは、科学的に合理的な武道だと思いました。


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