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 今回は手術の体験談です。20年近く前に、私の背中にこぶらしき出っ張りがあることに、妻が気付きました。ちょっと気になって病院でも見てもらいましたが、「たぶん、脂肪腫でしょう。気になるようなら、切除しますよ」と言われました。脂肪腫というのは、脂肪が固まって瘤のようになる良性の腫瘍のことです。

 その時は瘤のサイズも小さかったし、背中の違和感もあまりなかったので放置しました。しかし、年々その瘤は大きくなってきました。私は、その瘤をコブ平と名付けて、かわいがっていましたが、とうとう服を着ても目立つぐらいの大きさになりました。さらには、コブ平の近くに、その子供の小コブ平までできました。

 10年前、ついにコブ平と決別する決心をしました。手術は簡単なものでしたが、コブが大きく育ったのと、2個あるため、全身麻酔での手術になりました。生死にかかわる手術ではないのですが、手術自体が初めてなので、とても緊張しました。手術の当日、移動用のベッドに寝かされて、手術室に入りました。手術室は、TVドラマで見るような様々な測定装置が並んでいる光景を想像しましたが、コンクリート打ちっぱなしのガランとした殺風景な手術室でした。

 この時の私は、まさにまな板の上の鯉の状態でした。手術台に移されて、麻酔の説明がありました。まずは、麻酔用の針を静脈に入れました。「これから麻酔を入れますが、10秒くらいで眠くなります。最初は少しだけ痛いかもしれません」と言われて、麻酔を入れ始めました。確かに入れ始めは、腕に少し痛みを感じましたが、5秒くらいで寝落ちしました。

 目が覚めた時には、病室のベッドの上でした。腕には点滴の管が付いていて、尿管には排尿のために細い管が挿入されていました。瘤の手術跡は、麻酔が覚めた後も殆ど痛くありませんでしたが、姿勢を固定されていたため、腰が痛いのが大変でした。最初の夜はあまりの腰の痛さに、夜中なのに看護婦さんを呼んで、腰の下にクッションを入れてもらいました。

 色々とありましたが、1週間で無事に退院できました。コブ平と小コブ平とは決別しましたが、貴重な体験でした。現在は、背中に違和感もなく、至って快調です。

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