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僕はミステイク001

男の子は弟と一緒に晩ごはんを食べています。
二人だけの晩ごはんはいつものこと。

お母さんは隣のお店でパーマ屋さんをしています。

ブロロロロン!

クルマがバックする音です!
男の子のお父さんが仕事から帰ってきました。


男の子と弟は、
逃げるように押し入れに隠れました。

夕ごはんの途中ですが、

お父さんに見つかったら大変。

弟と慌ててお茶碗とお箸を持って

台所に置きに行って

すぐに押し入れに隠れます。

なので

お母さんがいないときは

畳に座らないでしゃがんで食べています。

すぐに逃げられるように。

男の子は考えます。

今日はお父さん、機嫌がいいのかな?

昨日はお父さんが仕事から帰って来たとき

男の子のランドセルが玄関に

置きっぱなしになっていたので

それを見たお父さんは

男の子の頬を何度も叩きました。

でも

男の子が悪いので

仕方がありません。

いつも感じる頬っぺたが熱くなるような

ヒリヒリした痛みと

耳鳴りみたいなキーンとする感じ。

叩かれている時って

呼吸が出来なくて苦しいんだ

早く終わらないかな。

男の子は押し入れの中で

昨日の事を思い出しながら

今日こそは叩かれませんようにと

お祈りするだけです。

まだ口の中が切れているので

血の味がします。

この事はお母さんにも秘密です。

お父さんはお風呂に入って

テレビを見ながらお酒を飲み始めます。

このまま酔っ払って寝てくれ

しばらくすると

お父さんが

おとうとの名前を呼びます。

男の子は安心しました。

男の子は卑怯なお兄さんです。

弟が呼ばれて、

自分が呼ばれない事にホッとするくらいですから。

弟のお尻を蹴って

早く押し入れから追い出さないと

男の子まで見つかってしまいます。

早く行けよ!

弟は泣きべそをかきながら

押し入れから出て

お父さんのいる部屋に向かいます。

男の子の心の中では

いつもこの言葉を呟いています。












































お父さん、はやく死ね

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