マーケターなら押さえておきたい【コミュニティ マーケ】の基礎と最新事例(前編)
ムチャブリは再びやってくる
再び頭を抱えながら失礼します。DeNAのモリシーです。
第1弾の記事で「会社員をしていると、ごくまれに「ムチャブリ」というのが降ってくることがあります」と書いたのですが、全然ごくまれじゃなかったです、ムチャブリ。
というのも、先日の会議でこの「DeNAマーケティングをマーケティングするプロジェクト」第5弾の記事のテーマとして「DeNAのコミュニティマーケティング」を取り上げることが決まりました。
決まってみて、改めて考えてみたんですけど「コミュニティマーケティング」って、何となく知ってるようで実はよく知らなかった……
ふんわりイメージはできるんですけど、わかりやすく説明しろと言われるとすごく難しくて……
ただ、DeNAには「逆転オセロニア」をはじめとするコミュニティマーケティングを成功に結びつけたゲームタイトルがいくつもあり、最新の事例や「DeNA流」とも言える手法があるとのことでした。
そんな「コミュニティマーケティング」について、今回はDeNAでの成り立ちや最新事例も交えながら紹介したいと思います。
ということで、最近、社内で「DeNAのコミュニティマーケティングとは?」というテーマの勉強会を開催したというナカムラさんに話を聞いてきました!
この記事のキーワード
#そもそもコミュニティとは ? #共通の興味関心と何らかの共同性
#SNS上のゆるやかな集団 #DeNAの最新事例
マーケターなのにコミュニティマーケ、ファンマーケ、SNSマーケ(SNS運用)の違いをちゃんと説明できない!?
ナカムラ「突然なんですけど、モリシーさんってコミュニティマーケとファンマーケ、SNSマーケ(SNS運用)の違いって説明できますか?」
モリシー「まさかの3度目のムチャブリですか!?」
ナカムラ「いやー、実は自分もコミュニティマーケとファンマーケ、SNSマーケ(SNS運用)の違いについて、あんまりハッキリ説明できなくて……」
えっ、この人に聞けば今回の記事はバッチリだと思っていたのですが、いきなりピンチがやってきたみたいです……
ここで私が的確に説明できたら良かったんですけど、私もできそうにない。
というか、そもそも説明できないから話を聞きに来たんだった。
ナカムラ「なので、とりあえず確実なものから考えてみようと思って「コミュニティとは何か?」について考えてみました。
ちなみにモリシーさんは「コミュニティ」について説明できますか?」
あれ、そもそも「コミュニティ」って何だっけ?
モリシー「私が普段意識しているコミュニティは、主にSNS上で同じ興味関心を持った人たちが集まっていて、共通の話題について語り合ったり、同じネタで盛り上がったりしている人たち、といった感じです。」
ナカムラ「そうなんですよね!」
良かった!コミュニティの定義、合ってました。
ナカムラ「でも、モリシーさんの定義だと「ファンの人の集まり」と区別がつかないじゃないですか。
そうなると、コミュニティマーケとファンマーケって何が違うの?って話になって……」
やっぱり良くなかった!あれ、そもそも「コミュニティ」って何だろう?
ナカムラ「とりあえず辞書を見たら、
となっていて、リアルな方のコミュニティの説明が出てきました」
モリシー「たしかに、この説明だと主にSNS上にあるバーチャルなコミュニティを定義することはできないですね」
ナカムラ「ただ、ヒントになる概念はちゃんとあって、
・地域性と共同性の2つの要件を中心に構成されている
・特に地縁によって自然発生的に成立
みたいなところをSNS上のバーチャルな感じに置き換えていけば、「コミュニティマーケティングにおけるコミュニティ」について、ひとまず定義できるんじゃないかなと思うんですよね」
モリシー「なるほど。「共同性」はSNS上でもあるものなので、「地域性」みたいな概念を置き換えればいいわけですね!」
ナカムラ「地域性が置き換えられると「地縁によって自然発生的に成立」の部分も見えてくるはず。
ということで、モリシーさんが最初に言った「主にSNS上で同じ興味関心を持った人たちが集まっていて」が、もうそのまま答えなんじゃないかなと」
モリシー「たしかにそうですね。
みたいな説明だったら、何となくしっくりくる気がします」
ナカムラ「はい、なのでこの記事では、コミュニティマーケティングにおける「コミュニティ」の定義にしてしまってもいいと思います。
そうやって整理できると、「ファン」の中にも「ファンコミュニティ」というものが存在すると思うので、そこから逆説的に考えて「ファンマーケティングは、コミュニティの有無に関わらず「ファンの人たち全体」に向けたマーケティング」みたいに定義することが可能になったりします」
モリシー「ファンマーケティングの中でも、ファンコミュニティに対して何か施策を打つ時は、それは狭義には「コミュニティマーケ」として捉えることもできますね」
ナカムラ「さらに、SNSマーケも同じように「コミュニティの有無に関わらず、SNSを使ったマーケティング手法」みたいな形に整理できます。
そしてSNSマーケの中でも、コミュニティに対して何かを行う時は、それは狭義には「コミュニティマーケティング」と言える、みたいな」
モリシー「SNS上のコミュニティのハッキリした定義が一般的にはないことと、いろんなマーケティングの分野の中にもコミュニティがあるので、改めて「コミュニティマーケティングって何ですか?」って聞かれると、ドキッとしたわけですね」
DeNAには「コミュニティマーケティング」の事例がたくさんありました!
ナカムラ「ここまで「コミュニティの定義」についていろいろ考えてきました。
それに加えて自分の方で「コミュニティマーケティングとは」で、事前にいろいろ検索もしたんですよ」
モリシー「私も事前にいくつか調べてみました!
でも、DeNAでみんなが認識しているコミュニティマーケティングと、調べたサイトで説明していたコミュニティマーケティングが微妙にニュアンスが違ったというか……」
ナカムラ「そうなんですよね。マーケティング業界内で世間一般的に説明されているコミュニティマーケティングは、ざっくり言うと
みたいな感じだったと思います」
モリシー「はい、そんな感じの説明が書いてありました。
でも、DeNAで捉えられてるコミュニティマーケティングって、もっと自然発生的に成立しているコミュニティに働きかけるニュアンスが強いように感じます」
ナカムラ「それは、DeNAのコミュニティマーケティングが「運用型のゲームにおけるコミュニティマーケティング」をベースにしているからなんだと考えてます。
運用型のゲームのコミュニティって、ちょっと成立とか性質が特殊な感じで、それに適合する形で発展してきたので、マーケティング業界の一般的な定義と微妙にズレてしまう」
モリシー「なるほど、ゲームのマーケティングがベースにあるから、DeNAのコミュニティマーケティングがちょっと特殊な立ち位置にあるんですね」
ナカムラ「おそらくゲーム業界の中でも、DeNAは特殊なコミュニティマーケティングをやってると思うんですけど、その成り立ちについては後編で説明したいと思います。
前編の最後に、DeNAのゲーム分野におけるコミュニティマーケティングの特徴を表す実績があるので、それを紹介しますね」
※ゲームを「サービス」として見た時に、どのような「価値」をプレイヤーに届けているのか説明されています。
その中でも「コミュニティ」を最も大事にしていて、コミュニティと一緒にサービスやコンテンツをどのように作り上げているか、そのベースとなる考え方が紹介されています。
※リリースしてすぐに「サービス終了の危機」に陥ったタイトルが、SNSの特性を活かしてコミュニティを盛り上げて大規模なプロモーションを行わずにV字回復させた方法について説明されています。
※大規模な炎上を経験した上述の「逆転オセロニア」が、その後、コミュニティとどのように向き合い、どのようにコミュニティに対してコミュニケーションを行なったのか、そしてどのように状況を好転させていったのかの具体事例が詳細に説明されています。
※「メギド72」というゲームのコミュニティにおいて最も重要視されている「キャラクターの魅力」を最大化し、コミュニティの満足度を最大限に高めるためにどのようなゲームデザインを行なっているか、前半部分で説明されています。
後半ではユーザー参加型の企画を通してコミュニティをどのように盛り上げたかの事例が紹介されています。
※上述の「天華百剣 -斬-」は、コミュニティに対して「未来に対する期待を提供する」という方針で運営を行なっており、その基本的な考え方や具体的な事例が紹介されています。
モリシー「CEDECって、毎年8~9月あたりに開催されているゲーム業界のカンファレンスですよね? そのCEDECと、このgamebizさん5つの記事はどういう関連があるのですか?」
ナカムラ「実は、DeNAはCEDECというゲーム業界のカンファレンスで2018〜2022年の間、5年連続で「コミュニティ(マーケティング)」をテーマに講演をしています。
しかも、4つとも「公募」の講演なので、事前に応募した講演内容がCEDEC運営の人たちから採択されての講演、という形になります」
モリシー「公募で選ばれているということは「DeNAのコミュニティマーケティングの情報がゲーム業界全体にとって何らかのプラスになる」と判断されたってことですよね」
ナカムラ「そういうことになると思います。
なので、後編では、DeNAのコミュニティマーケティングの具体的な中身と成り立ちについて詳しく説明したいと思います!」
ということで、前編はここまでになります。後編の
マーケターなら押さえておきたい【コミュニティ マーケ】の基礎と最新事例(後編)
をお楽しみに!