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【超々短編小説】魔族と薬

薬を作る人を魔族という時代の物語。
魔族は長生きだ。魔族は耳が良い。魔族は目もいい。魔族はなんでも知っている。森の奥に住んでいる。

森の外れに住む人々いつも魔族に祈りを捧げては、薬を少し分けてもらう。彼らは森人と呼ばれる。

魔族と森人は昔一緒に仲良く暮らしてた。

魔族は元々少ない種族、知識をみんなに分け与え仲良く暮らしてた。

ある時、ひどい病気で捨てられた町人を森人が見つけて村外れの小屋に運んだ。

魔族はその姿を見て薬草沢山、持ってきて薬を作って飲ませたよ。

暫くすると町人は元気になった。

村人は何度もお礼を繰り返す。

魔族は良い行いをすることが仕事だから気にするなといった。

森人が魔族の下働きをしてはどうかと話した。

やることは、魔族の作る薬のための薬草取りや家事全般だが大丈夫かと聞くと、村人は喜んでやりますと言った。

ある時、村人は魔族に森人が村人より長生きで、魔族はもっと長生きなのは何故かと聞いた。

魔族は言われるまで気にしたことが無かったと今度機会があったら調べてみようと伝えた。

村人は無い物ねだりだとはわかっているが、長生きすることに興味があると言っていた。

魔族は一瞬考えてそのうちに研究できるといいねと話をした。

村人その夜、魔族にと森人に話がしたいとお願いしてきた。

村人はとある国のお姫様だった。御家騒動で毒薬にさらされて酷いことになっていた、運良く森人に見つかり魔族に命を救われた。

どうしても、彼女はどうしても許すことができないと訴えかけて来た。時間をかけてでも復讐したいと言ってきた。

魔族は話を静かに聞いていた。
森人は同情的であった。

魔族は静かに話し始めた。
いつか、長命に興味を持つだろうとは思っていた。
元々種族が違うので難しい。
村人族はそもそも短命な種族である。

彼女はひどくがっかりした様子ではあったが、諦めた様子であった。

少し時間が経ち村人も落ち着いたように思えた。

魔族は森人の村を離れるか考え始めた、村人、人族は欲深く良くされたことは忘れるがやられたことを忘れることはない。

時に人族は話が丸々真逆になることがある。
魔族は注意深く人族のお姫様の様子を伺っていた。

ある時、人族のお姫様が森人の村を離れると言う。
森人のところに使いがやってきてお姫様の安全が保障されることになったので、戻ってきて欲しいとのことになった。

彼女を陥れた、騙した、毒薬を混ぜた人々は処刑されたそうだ。

人族の彼女は魔族と森人に相談した。
森人が念のため本当か調べに行った。人族の町では彼女の帰りを待ちわびている人々が多いことがわかり、安全であることもわかった。

魔族も森人も彼女が良ければ戻ると良いと言った。
薬草の調合も自由に使って良いと魔族は伝えた。
彼女は喜んで自分の国に帰っていた。

彼女の国は人々を助ける薬草で大いに賑わった。
そして、人々は彼女を癒しの女王として尊敬していた。
女王は夢を捨てられなかった。どうやったら長く生きていけるのだろう。
せめて魔族のように長生きできないものか、そして彼女は思いついた。
魔族を捕まえて調べればいい。

そして、人族のお姫様が去って半年ばかり経った後、魔族が森人の村を離れることを伝えた。念のための準備と言って、数名の森人に薬草の作り方ともしかしたら起きるかもしれない万が一についての対応方法を言い残した。2名志願者が現れてきたので付き人として一緒に村を出て森の中央を目指して消えていった。

そして、数年後彼女は森人の村に軍隊を連れてやってきた。魔族を出せとやってきた。

森人は大変驚き魔族が今はいないことを伝えた。
女王はとても激怒し森人の村を焼こうとした。
森人は魔族の言ったことを思い出した。

もし、人族のお姫様が女王になって軍隊を連れてやってきたら、村を放棄しなさい。魔族の私を呼び出すことでしょう。何かされたとか言うかもしれません。焼き討ちするとか言ってくるでしょう。恩を仇で返すかも知れません。感情的になってはいけません。
そして、人族なので驚くことではありません。

森人は魔族の残した言葉どうりに行動した。

事前に森族の8割は森の奥に移動すること、女王の軍隊を招き入れること、人が少ないと言ったら墓を見せて流行病で壊滅寸前だった。その時、魔族も死んだと言ってちょっと良い墓を作りなさい。そして、私の住んでいた家と村の8割を焼いておきなさい。魔族が死ぬ前に悪い妖精が私や人々にとりついたので死んだ人は焼きなさいと言われたと言えば女王は納得するしかありません。女王は墓を暴くように命じるはずです。わざと抵抗しなさい。そして脅しに屈しなさい。残念そうに無力そうに振る舞うのです。そして、女王の最もらしい命令に従うのです。暫くすれば彼女は諦めて帰るでしょう。なぜならあなた方の寿命は彼女には興味が持てません。

そして女王は諦めて帰っていった。

魔族は女王が帰った後のことも伝えていた。
3年は村を放棄してはいけません。女王は様子を見にきます。貴方の隣人として良いフリをするでしょう。諦めたとは言え人族は人を信用しません。自分の欲望のためなら万が一をあてにします。他種族であれば尚更です。

軍隊は2週間ほど滞在していた。女王が念のために焼けてしまった魔族の家を調べさせたが全て焼き尽くされていた。

初めはひと月に1回使者がやってきて様子を伺っていた。調子はどうですか?復興は進んでいますか?薬草は間に合っていますか?などなど心配するそぶりを見せていた。

魔族さんが生きていてくれれば、こんなに大変な思いはしなかった。しかし何で死んでしまったのかと、ため息をついて使者が困ることすらあった。

女王は逐一使者から情報を取り寄せていた。
執念深い女王だったが3年経った頃、使者は森人の村を訪れることがなくなった。

女王は別の国との戦争で延命どころではなくなっていたようだ。

4年後、森人は古い町を放棄した。

魔族に何でそんことになるのでしょうと聞いた森人の若者がいた。魔族は残念そうに、人族は自分を心から愛せないんです。もしかしたら寿命が短いのはそのためかも知れません。

そして、人族の町、森人の村、森の中央に住んでいる魔族との社会が完成した。

人族は、女王以外魔族に会うことはなかった。

現代社会では隣に魔族がいるのは普通のようだ、ただあまりにも人族に溶け込んでいるため気がつくとこがない。

決して魔族と分かっても長命の秘密は聞かないこをお勧めする。

ありのままの自分を愛した方が良い。

と言われて終わるだけだから(笑)

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