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自分のスキルは無用とパーティー追放されたけど、隠してるお祓いスキルの魔力は無制限です。身軽になったので自由気ままに生きたいと思います。#5

主人公:エレナ(女子)お祓いスキルは無限大、普段能力を隠している。
           結果パーティーを追い出され自由の身。
           ギルドからの依頼での悪魔祓いは完了した。
           聖女として鎮魂の儀式を行うことになる。
ドラゴン:メイ 卵から孵ったばかりの子供
騎士見習い エレナの機嫌を伺っているが、そこそこ強い

聖女として鎮魂を頼まれる。#5

 お尻が痛い座布団は引いているのだが揺れがそれに勝る。
 
 見習騎士が馬上から馬車の扉をノックした。
 お尻痛くて怒りが込み上げてくる思いを抑えてカーテンをずらし窓を開けてから淑女的に対応する。

「騎士様どうされましたか」

 見習騎士が爽やかな笑顔で応えた。

「エレナ様、周りが開けてきましたもう暫くで村に到着すると思います」

 お尻痛くて怒りが込み上げてくる思いを抑えてカーテンをずらし窓を開けてから淑女的に対応したわたしへの素晴らしい爽やかな笑顔のプレゼントだ。

 「ありがとうございます」

 ドラゴンのメイはあくびをしながらまた寝てしまった。
 
 外を見ると麦畑が見えてきた、魔物に荒らされたのだろうか部分的に穴が空いてしまっている。

 点々と建物が見えるが殆どが半壊している討伐前に村長から聞いた話だとアンデッドにやられた結果だと言っていた。

 人的被害は少なかったとは言っていたが実際この惨状を見るとあまり良い想像がつかない。

 村長が駆け寄ってきた。

「エレナ様ご無事で何よりです」

 教会を吹き飛ばしてまで手に入れたかったのは地下にある宝だった、とわかっているが一応例は言ってくれるのだから本当に食えない狸親父だ。

 仕事をもらっていてそこそこの報酬さらにこのお宝の半分は追加でくれると言うのだからありがい、凱旋の文句があるので伝えるとする。

「わざわざお出迎えありがとうございます、お変わりはありませんでしたか」

 村長はすこし戸惑った様子で答えてきた。

「エレナ様が討伐に向かわれた後、襲ってきたアンデッドたちが突然攻撃をやめて引き返していってからは魔物は来なくなりました」

 あ、メイが吹き飛ばしたアンデッドだろうな。

「そうですか、被害は建物だけでは無いように見えるのですがギルドの村役場管理部門に連絡はしましたか」

 この世界は、王都→大都市→街→村→開拓村と順にできている。

 街までは王都直営の行政機関があるのだが、村と開拓村は数が多いため街のギルドに仕事が任されている。

 村にはギルドと話すことができる魔法通信装置がありそれでやりとりをしている。

 派遣された騎士が村の復興の手伝いもしながら監督する。

 村長は行政の全てを担っているが有事の時は王都から立て直しを図るため人員が送られることになっている。

 村長はわたしを魔法通信装置のある部屋まで連れて行き報告をお願いしたいと依頼してきた。

「聖女様として鎮魂をお願いしてもよろしいでしょうか」

 ギルドと話すときにご依頼しますので聖女としての仕事を受けて欲しいとのことだった。

「エレナ様が聖女の仕事をお受けしないと聞いておりますが、そちらのものたちの魂を鎮めどうか神の元に行けるよう計らっていただか無いでしょうか」

 死体を眺めながら懇願してきたとしても断ることはできる、聖女は複数存在してギルドに依頼すれば派遣してもらえることを村長に伝えた。

「聖女様はギルドに依頼していただければ派遣していただけますよ」

 村長は残念そうな顔をしながら、何か思い付いたらしく話をしてきた。

「聖女様をすぐ派遣できないようならお願いできないでしょうか」

 村長が食い下がってくるので取り敢えずギルドに報告してそこで決めることにした。

 わたしと村長と騎士見習いの3人はギルドとの魔法通信装置の前に立ち起動させた。

 『生存せよ、探求せよ、その命を賭けよ』起動するとお決まりの言葉が浮かび上がり、ギルドとの会話はが始められる。

 話を進めるのは村長で討伐の一部始終は騎士見習いが報告を行った。

 今回は珍しく受付嬢のわきにギルド長が座っていたことだ、受付嬢は報告をまとめたものをギルド長に渡した。

 ギルド長は受付嬢にサインをした報告書を返して読み上げさせた。

「討伐の達成を確認しました、エレナさん最終確認のためその通信装置に触れてください」

 わたしは受付嬢の言う通りに触れた、受付嬢は目を丸くして思わず叫んでしまった。

「エレナさん、ドラゴンの使役したんですか⁈」

 わたしは営業スマイル全開で受付嬢に話をした。

「たまたま、そのに卵があって抱きしめたら羽化しちゃったんです、確かギルドの規定だと討伐時に起こる不意な事故として処理されるはずですけど違いましたか」

 ギルド長が割って入ってきた。

「エレナ、君の話は正しいので問題ない、ドラゴンの使役登録についてはこちらでやっておく費用は報酬から引く形になるがそれで良いか」

 わたしはそれで構わないと話をした、お宝の分配などは事前に決められているので問題なく処理は完了した。

 村長がギルドに新たな依頼として、今回モンスターに倒された人々の鎮魂のために聖女の派遣を依頼したところ、丁度良い聖女がいないことがわかった。

「ギルド側からの派遣が無理と言うことなので、改めてエレナ様に鎮魂な依頼をお願いしたいのですが、このまま亡骸を埋葬したとしてもモンスターとして目覚めてしまいますので、宜しいでしょうか」

 ギルド長が受付嬢を促した。

「村長さんそれはエレナさんに聖女の鎮魂を使って欲しいとの依頼で宜しいですか」

 村長はわたしを見て頷いた。

 会議室は沈黙に包まれた、わたしは聖女の力は持っているしそれを使うことができる、今回は対魔師、拝み屋として聖女が使えない能力を使い魔を払った、それは教会に対する叛逆と受け取られても仕方がない訳で、わたしは破門状態なのである、正式に破門されていないので問題なと言えばそうなのだが、あとはギルドがどう仕切るかにかかっている。

「エレナに聖女の鎮魂の技を使うことを許可します」

 ギルド長の顔が青くなった、なるほどねそりゃそうだよね。

 これはこれは、聖女長様がわざわざご連絡してからるとは、街に帰ったらギルド長を詰めることにしましょう。
 教会はこんな感じの組織になっている、教会→大聖女→各街の聖女長→聖女の順だ。
 大人の態度で接しないと面倒くさいので挨拶はしておこう。

「お久しぶりです、聖女長、謹んでお受けいたします」

 結局受けることになったのだが、鎮魂したら火葬が決まりであるので、村の遺族の説得は村長が行うこととなり、遺族全員の同意が取れたことを告げられた。

 村長は体を清める場所と着替えをする場所を教えてくれた。

「衣装もご準備させていただいてあります。」

 わたしは用意周到な村長があまり好きではないが、段取りもしっかりしていて教会に詳しい様子なので過去に関わったことがあるのかを聞いたところ、神官をしていたと伝えてきた。

「準備が順調にできているのはそのためなのですね、清めと着替えが終わったら儀式を実行します」

 村長は頭を深々と下げて儀式が終わった後の火入れの儀式は自分にやらせて欲しいと告げてその場から離れた。

 準備をしているときに警護の騎士見習いが質問をしてきた。

「エレナ様なぜ鎮魂の儀式が必要なのですか、そのまま火葬してはダメなのですか、瘴気も一緒に燃えてしまうと思うのですが」

 騎士見習いの発想は一般的なことなのだが、説明をしておくことにした。

「騎士様、人には魂がありますよね、その魂に瘴気が付くと魂は天に登ることができず、地上を彷徨ってしまうのです」

 騎士見習いは勘が良いらしく答えてきた。

「エレナ様が浄化された教会の黒い影が魂と瘴気のくっついたものですか」

 わたしは騎士見習いと会話を続けた。

「騎士様の仰るとおりです、そのため魂を天に返すために瘴気と分ける必要があります」

 騎士見習いは納得したらしく満足し、わたしの聖女姿を見て呟いてしまった。

「エレナ様お美しいです」

 騎士見習いには少々刺激が強かったかもしれないが、笑顔で答えることにした、まぁ聖女衣装なんてどこも似たり寄ったりなんだけどね。

 わたしは舞台に立つと舞を披露して鎮魂の儀式を開始した。

「慈愛の女神サリナよここにありし汝の子供たちを浄化し天に返したまえ、聖神慈愛!」

 村長は思いっきり驚いた様子で言葉が漏れてしまったようだった。

「六連浄化の魔法陣ですか、これは聖女の中でも3人しか使えない高等術式ですね、殲滅の魔女ではなく慈愛の聖女を名乗方がいいと思うのですが」

 村を中心に30キロは浄化できたと思う、村長が犠牲者たちの火葬に取り掛かり、もと神官様は聖火の術式を使い死者たちの魂は遺族に挨拶をして天に向かった。

 肉体が滅んだ魂は再び地上に戻ることはできないルールになっている。
 
 そのため上級神官は生者と死者の別れをはっきりさせる為にこの儀式を行うとゆう、まさか目の前でこの儀式を見ることができるとは思わなかった。

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