マガジンのカバー画像

1人で気ままにブックトーク【テーマ】

13
テーマごとに、自分の読んだ本をまとめていきます。他にも関連する本があれば、ご教授いただきたいです。
運営しているクリエイター

記事一覧

一人で気ブックトークトーク【テーマ:ハンセン病】

一人で気ブックトークトーク【テーマ:ハンセン病】

『北条民雄全集』(岩波書店)川端康成に認められた「いのちの初夜」をはじめとした物語、童話、手紙などが掲載された一冊。戦前におけるハンセン病の扱われ方、療養所での生活に触れることができる。療養所内で、社会からの差別と日々の生活の苦しさに、読んでいて苦しくなる。
 特に、療養所で過ごす子供の様子が描かれた「望郷歌」と、童話「すみれ」が印象深い。閉ざされた世界の中で生きていくしかないという覚悟。「すみれ

もっとみる
1人で気ままにブックトーク【信じること】

1人で気ままにブックトーク【信じること】

『雨上がりの川』 信仰の異常性に気付かせる存在は、家族だとよく言われるが、家族だけではどうにもならない。頼れる誰かが必要だ。本作のその「誰か」は、とても暖かく冷静に、家族を見守ろうとしている。
 そして、作者の森沢明夫は、信仰の対象となる人物にまで優しい。なぜ、その立場に縋らなくてはいけなかったのか、他に道はなかったのか、周囲は助けられなかったのか。
 昨今のニュースの影響もあって、宗教の負の面が

もっとみる
一人で気ままにブックトーク【SDGs】

一人で気ままにブックトーク【SDGs】

昨今、良く聞くようになったSDGsについて、なんとなく知っているけれど、子どもたちに説明しようと思うと、どうやって説明しようか悩んでしまった。個々の目標に注目するのではなく、SDGsの全体像をつかむために参照した本。

小学生向け:SDGsって何?『未来を変えるメッセージ みんなのSDGs』
(作水谷孝次&MERRY PROJECT/絵 てづかあけみ/リベラル社)

 「笑顔は世界共通のコミュニケ

もっとみる
一人で気ままにブックトーク【テーマ:日本古典の現代語訳】

一人で気ままにブックトーク【テーマ:日本古典の現代語訳】

『おちくぼ姫』(田辺聖子)

 古典ってこんなに面白いんだ!と感動したきっかけの一冊。学校で触れる作品は、どうしても古文だし、小出しだし、もしくは短く完結する作品だし…と、物語としての面白さに触れることができなかったように思う。
 しかし、この一冊は、現代の言葉に訳されているし、教科書には載っていなかった、でも内容はシンデレラのようで分かりやすい。
 古典の導入としては最適な一冊であると感じる。

もっとみる
1人で気ままにブックトーク(テーマ:ロボットと暮らす)

1人で気ままにブックトーク(テーマ:ロボットと暮らす)

 現在、ロボットやAIの技術は、あくまで、人間がより良く生きるために、必要とされている。一方で、ロボットやAIという存在を、本当にそれだけの存在としてよいのだろうか。

『クララとお日さま』 クララは、病弱のジョジーを支える存在として迎え入れられる。クララは、その役割をクララの意志として、献身的に果たしていく。
 しかし、ジョジーとクララのそれぞれに待ち受ける現実は残酷だ。ジョジーの母は、命残り僅

もっとみる
一人で気ままにブックトーク【テーマ:変身】

一人で気ままにブックトーク【テーマ:変身】

幼稚園や小学校では、「変身」というと、「おジャ魔女どれみ」「セーラームーン」「仮面ライダー」など、魔法のアイテムだった。中学生では、「中学生デビュー」「高校デビュー」など、メイクなどの努力によって理想に近づく手段だった。

しかし、文学に描かれる「変身」は、私にとって辛いイメージを伴うものでもあった。

『変身』(カフカ)
 グレゴールは、自分の意思とは無関係に、突然に虫としての運命を受け入れなく

もっとみる
1人で気ままにブックトーク【テーマ:認知症】

1人で気ままにブックトーク【テーマ:認知症】

はじめに昨今、老老介護や5080問題など、様々な介護に関する問題が報道されている。その中でも、私が心配するのは、認知症である。

 そもそも認知症とは、「脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態」のことある。65歳以上の認知症患者数は、約600万人(2020年現在)と言われており、2025年には高齢者の5人に1人が認知症を患うとされている。加えて、認知

もっとみる
本のメモ【テーマ:人の話を聴くということ】

本のメモ【テーマ:人の話を聴くということ】

読んだ本を自分の中でグループごとに関連づけてまとめておくために、活用してみようと思います。読んで深めていきたいので、「この本も関連している」というご紹介がいただけるとうれしいです。

『「聞く」技術』(根本裕幸/日本文芸社) コミュニケーションの場において、「話し上手」であることが大切だと思われているが、本当にそのなのか。「聞き上手」である必要もあるのではないか、という考えのもと、プロのカウンセリ

もっとみる
本のメモ【テーマ:音楽を描く】

本のメモ【テーマ:音楽を描く】

読んだ本を自分の中でグループごとに関連づけてまとめておくために、活用してみようと思います。読んで深めていきたいので、「この本も関連している」というご紹介がいただけるとうれしいです。

『羊と鋼の森』(宮下奈緒/文春文庫) 大学生で塾講師として働いていた時、問題として出会った本です。「音ってこんな風に表現できるんだ!」と感動しました。

あらすじ
 ある日、学校で聴いたピアノの音。その調律に少しでも

もっとみる
本のメモ【テーマ:認知バイアス】

本のメモ【テーマ:認知バイアス】

読んだ本を自分の中でグループごとに関連づけてまとめておくために、活用してみようと思います。読んで深めていきたいので、「この本も関連している」というご紹介がいただけるとうれしいです。

認知バイアスについて

『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』(鈴木宏明/BLUEBACKS) 「注意と記憶のバイアス」「リスク認知に潜むバイアス」「概念に潜むバイアス」「思考に潜むバイアス」「自己決定というバイアス

もっとみる
一人で気ままにブックトーク【テーマ:不登校等】

一人で気ままにブックトーク【テーマ:不登校等】

 現在、不登校と呼ばれる小中学生は19万人をこえている(令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果より)。様々な理由から、学校に行けない小中学生がいる。
 問題は、大人がどのように不登校という形で出されたメッセージを受け取り、一緒に歩んでいくかである。しかし、なかなかうまくはいかない。そんな思いに寄り添ってくれる本があるのはありがたいことである。
 また、不登校として

もっとみる
本のメモ【テーマ:ヤングケアラー】

本のメモ【テーマ:ヤングケアラー】

読んだ本を自分の中でグループごとに関連づけてまとめておくために、活用してみようと思います。読んで深めていきたいので、「この本も関連している」というご紹介がいただけるとうれしいです。

ヤングケアラーに関連する本。

『ヤングケアラー 介護を担う子ども若者の現実』(澁谷智子/中公新書) 
 ヤングケアラーの調査を行ってきたイギリスの経験を生かしながら、日本においてどのようにヤングケアラーと向き合って

もっとみる
一人で気ままにブックトーク【テーマ:哲学対話】

一人で気ままにブックトーク【テーマ:哲学対話】

『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』(梶谷信司/幻冬舎新書)

対話の対象
 子どもだけではなく、みんな(大人も含む)
 学校だけでなく、地域コミュニティや会社も含む。

 「哲学対話とは、知識としての「哲学」ではなく、「哲学する」(=体験する)こと。」という言葉はとても印象に残った。この一冊が、私が「哲学対話」というものに興味をもつきっかけとなった本である。

『問う方法

もっとみる