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コンサル就活対策における本質とは?-「トップ就活チャンネル」で話したことの補足、コンサル就活界隈における違和感

先日、Youtubeの「トップ就活チンャネル」を運営するYouseful(株)のおささんからお誘い頂いて、「外資戦略コンサルの面接を攻略するには?」といった趣旨のお話をさせて頂きました。

個人的には、ADL(アーサー・ディ・リトル)で新卒採用リードとして相当数の学生の面接等を行ってきた中で、色々と感じていた言いたいことを好きに言わせて頂いたと思います。一方で、まだまだ言いたいことは色々ありまして、「面接テクニック」ではないが、「もっと本質的に大事なこと」を、一部の就活生にでも参考になれば良いな、と思い書きます。



「正しいこと」と「意味あること」--論点思考の本当の意味合い

誰しもが、面接(に限らず何でもそうですが)の場にて「それは間違っているんじゃないの?」という指摘を受けるのは嫌なので、極力「正しいこと」を言おうとすると思います。それ自体は至極真っ当なのですが、ここで言いたいのは「絶対正しいことって、意味ないことじゃない?」という話です

例えば、今自分が宇宙飛行士で、地球を宇宙から見ていて、地上から「何か地球に対して分かったことがありますか?」と問われたとします。そこで「地球は丸いです」と答えるのは、絶対的に正しいわけですが(もちろん正確には楕円体だとかそういう話はおいておいて)、その回答に意味があるかというと、わざわざ宇宙に行かなくても最初から分かっていたことであり、極めて「意味ない回答」ではないかと思います。そこで「意味ある回答」というのは、例えば、「海氷の形が、地上にいた時の印象とは少し異なっております。もしかしたらこの1年間の間に海水温度の分布が変化しているのかもしれません」といった「宇宙から見たわからこそ分かること」だと思います。もしかしたら、実は記憶違いで、「正しくなかった」可能性もありますが、それでも「地球は丸いです」といった話よりも、よほど意味のある話だと思うわけです。

少し端的な例を挙げましたが、採用活動をしていると「地球は丸い」みたいな「正しいけど、あまり意味をなしてない話」にはよく出くわします。例えば、
・日本は少子高齢化なので、高齢者向けの事業に注力すべき
・顧客は初期投資を抑えられるメリットがあるので、ビジネスモデルはサブスク型にすべき
・新型コロナウイルス対策と経済の両立が大事です
etc.

どれも「正しい話」だと思いますが、上の文章を見て「なるほど!」と思った人はどれほどいるでしょうか。恐らくは、「それはそうだけど・・・」という感想が大半なのではと思います。この違和感に対する対処の仕方が「論点思考」の本当の意味合い、と私は考えます。

図で表すと以下の様なイメージかと思います。

210409_正しいことと意味あること

・論点思考の本当の意味合い

「論点思考」というのは、有名な本も出ていますし、聞いたことのある方も多いと思います。端的に言えば、「大きな解くべき問を設定し、サブ論点に分解して大きな問を解いていく方法」といった所ですかね。例えば、
「当社の売上を2倍にするには?」という大きな問に対して、
「市場は魅力的か?」×「競争環境はどの様なものか?」×「自社の強みは活かせるか?」といったサブ論点に分けていく、といった具合です。

私見ですが、恐らく多くの人は論点思考を上記の様なものと捉えていると考えていますし、これはこれで正しいと考えています。
一方で、上記の様なふわっとした論点設定で、調査・検討を進めても大して意味ある解は出ないだろうと考えます。例えば:
・市場は魅力的か?→当社の所属する市場は〇〇市場である。〇〇市場は、xxxx億円もの規模を誇り、近年の〇〇トレンドのおかげで、成長率xx%を達成し、魅力的な市場である

この様な話は、もちろん基礎情報として調査・整理すべき話ではありますが、所謂「So What?」(だから何なのか。それによって当社の売上を2倍にするための方向性は打ち出されるのか)の曖昧な話かと思います。

論点思考の本当の意味合い(あるべき姿)としては、「なんとなくMECEっぽいサブ論点に分解すること」ではなく、「問題の構造、起きている事象とにらめっこして、"ツボ"(何の問を解けば、大きな問に答えられるのか)を考えること」だと考えます。
例えば、「売上2倍にするには?」の問を3Cで分けるのは良いとしても、もし"当社"が「成長市場にいながらも売上伸び悩んでいる会社」だったら、"ツボ"は、以下の様なものかと思います。
・一見当社は成長市場に属しているように見えるが、より細分化して見た際に、我々は成長しているセグメントにリーチしているのか?(例えば、一見DX市場は伸びているけど、業種別に見た時に、自分がリーチしている業種が正しいか、といった話)
・競合と比較した際に、個別の提案で負けているのか?それとも提案する案件の筋が悪いのか?
・..

上記の様な"本当の意味での"論点設定を行うと、調査の内容も変わってきますし、そこから得られるメッセージも意味あるものになってきます。
例えば、
・当社は、成長市場に属しているものの、これまでリーチしてきた先はもはや成熟市場で当社がリーチしてもあまり市場成長を享受できるものではなかった。 従って、売上2倍にするには、成長しているセグメントにリーチしていて、かつ当社と補完関係にある企業とパートナリングを組んで攻略するのが最優先である。加えて、、、

等といった方向性の議論が出来るであろうと考えます。

逆に、特にインターン等でチーム内で議論をしていると、感情論もあって、どんどんツボから離れた論点の議論になっていくことも見受けられます。例えば、
・最初はチーム全員で、「売上2倍にするには?」ということを考えようとしていた
・「外部環境(市場/競合)」と「内部環境(自社の強み等)」で作業を分担した
・外部環境チームが、「もっと成長市場にあわせて、活かせる強みがないのか?」と内部環境チームに投げかけた
・内部環境チームが、「いやいや、もっとちゃんと良い市場見つけてよ?」と反論した
・「外部環境と内部環境のどちらが大事か?」ということを議論し始めた
元々同じ論点を解こうとしていたはずなのに、「自分は正しい!」「相手が悪い!」といったことを言わんとばかりに、論点がずれていって、結局チームとして解きたい問に答えられない、といったことはまあまあある様に思います。非常にもったいない。

「トップ就活チャンネル」で伝えきれなかった"コンサル就活界隈"に対する違和感

さて、表題の話に戻りたいと思います。

上述のチャネルでは、どちらかという面接対策ということに重きを置いて話させて頂きました。具体的には、「フレームワークばかり一生懸命覚えても仕方なくて、ちゃんと自分の頭で仮説を考えて、それを念頭に議論の枠組みを設計しよう」といった趣旨の話です。

一方で、ここでお伝えしたかったのは、面接対策の域を超えての"地の考える力"(所謂「地頭」)の伸ばし方、です。そして、"コンサル就活界隈に対する違和感"というのは、(地の考える力の議論を脇において)面接対策テクニック偏重になっていないか?(就活生の求めるものと、就活団体の提供するものが)という点です。

こういうことを言うと、「やれやれ老害が、、」と思われるのかなと思いつつ書いていますがw
一方で、個人的には元々自分が学生時代に就活を行っていた際に感じていた違和感でした(当時はあまり言語化出来ていませんでしたが)

もちろん「面接対策テクニック」の議論が意味ないというつもりはなく、極めて重要な話ですし、私自身そういうものを学生時代に求めていた部分はあります。
ただ、私は学生時代、2回ほど?就活対策セミナーのようなものに、行きましたが、内容が極めて表層的に感じてしまい、「これってなんか意味あるのかな?」と思い、行くのを辞めました。それはたまたま行ったセミナーが悪かったのかも知れないですし、私の理解力の問題だったかもしれません。ただ改めて、コンサルファームで新卒採用活動の中で、就活対策セミナーを見ても表層的だと思うことは多かったです。

なお、念の為ですが、Youthfulの「トップ就活チャンネル」は、私自身全部見ているわけではないですが、少し見る限り、よりちゃんと本質に迫っていて凄いな、と思います。

「アンテナを張る」のやり方

で、結局どうするか?というと、要は「身の回りの事象や世の中の動きにアンテナを張る」ことと「それに対して自分なりの思考を言語化する」ことだと思います。動画でも話しましたが、別に学生時代にビジネス感覚を身につける必要はないと思っています。ただ、普通に生きているだけ/ちょっとニュースを読むだけで、少し思考を巡らせさえすれば身につけられる力はいくらでもあるように思います(例えば、スタバ2店舗に行くと、プラストロー出す所と、紙ストロー出すところがあって、そんなことからも、今世の中が脱炭素と実用性のハザマで揺れている=豊田章男社長の「電動化=EV化に懸念」発言にも通ずる=なんてことが感じ取れるかも知れません)

「そうはいっても難しい」という話もあると思うので、もう少し具体的なやり方の話をすると、「メディアの記事だけじゃなく、個人のブログやNoteを見て、自分なりに『確かに!』と思うものを、ネタ帳みたいに記録していく」というのは有効な手段と思います。

ちょっと古いですが、私は学生時代に2チャンネルからネタを拾っていたこともありますw(あえて極端な例を出していますが)
コンサルになってからは、上司の発言で「なるほど!」と思ったことは相当数メモしていたと思います。














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