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安曇野アートライン「安曇野ジャンセン美術館」「安曇野山岳美術館」

二日目。安曇野市の中心街を離れ、西の山際にある2つの美術館に足を運ぶ。台風の影響で西日本は悪天候のようだが、アルプスの山並みの東側はうだるような夏が戻ってきている。

「安曇野ジャンセン美術館」

ジャン・ジャンセン。恥ずかしながら聞いたことがあるようなないような。1920年アルメニア生まれ、2013年に永眠。戦禍を逃れフランスでその才能を開花させ、アルメニア及びフランスの国家勲章を受章している。

森の中にあるジャンセン美術館。

ジャンセンが見つめているのは厳しく過酷な運命を懸命に全うしようとする人の姿だ。生きることのやり切れなさをダイレクトに伝えるザラザラとした筆致、それでもわずかばかりの光が「どこか」に見える、そんな印象。思いがけず10数人の団体さんに遭遇、展示室から人気がなくなるのを見計らって中央におかれたソファに座り200×500㎝の大作「オペラ座の大舞台」と向き合う。華やかな世界に隠された影。

「休息するバレリーナ」
「あざみのある静物」

ジャンセン以外の企画展も随時行われている。この日は「ピカソ・セラミックリトグラフ展」を開催していた。ポスターと絵葉書を購入。

「安曇野山岳美術館」

山岳絵画専門の小さな美術館。山岳絵画の先駆者と呼ばれる足立源一郎という人の作品を中心に様々な画家の作品が展示されている。頂上あるいは険しい尾根筋にイーゼルを立て、危険と隣り合わせになりながら山と対峙して完成させる作品たちは、「車から降りて、その場で描ける風景画」とは明確に一線を画すらしい。

安曇野山岳美術館

解説によると足立源一郎という人は師事した先生に「山を下りてから完成させる絵は作り物だから」のような事を言われ、現場主義に徹するようになったとか。言葉の前後が不明なので安易な切り取りはすべきではないが、どこで完成させようが、ヒトの目を通せばすべて「作り物」だ。作品の優劣がそこにあるとしたら残念な気持ちになる。もちろん展示品はその如何に関わらず好きな絵もあればそうでない絵もある。
一室を使って70年代に雑誌「岳人」の表紙を飾った辻まことの特別展が開かれていた。辻まことが思想家・辻潤と伊藤野衣の子供であることは知らなかった。本屋で見かけたことのあるユーモアがあり親しみやすいイラスト。やっぱりこちらの方が断然好みだ。写真を撮れないのが残念。

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