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専門的なことをわかりやすく伝える/専門家同士が共創する土壌を創る〜科学技術コミュニケーションと話の見える化

学生時代、環境科学院に進みました。本気で「地球を救うんだ!」と意気込み、2ヶ月の北極海航海にも2回乗船しましたが、次第に、私は研究には向いていないと感じるようになりました。

同時に「研究をする」より、「研究の話を聴く」のが好きで、朝まででも何時間も研究者の卵の友人の話を聴けたし(笑)、段々と、専門的な取り組みや研究を多くの人に知ってほしい!と伝えることに関心があることに気づきましたが、それが何の役にたつのか、どんな仕事に繋がるのかまでは想像が及びませんでした。

(そんな中での北極海航海の共同生活では、研究者ってかっこいいし語れるし、好きなことを仕事にしてキラキラしてるけど…
人の話は聞こえない人が多いんだな…という原体験は強烈でした。笑)

当時の私は、なんだか研究職につけなかった自分を出来損ないのように思ったこともありました。今、ビジュアルプラクティスに出会い、「話を見える化」することで「専門的なことをわかりやすく伝える」一つの手段を手に入れました。

研究者や専門をお持ちの多くの方は、"語ることに長けている"けれど"人の話に耳を傾けるのが苦手な人"(こんな言い方したら怒られるかもですが、私もその一人だったのでご容赦下さい^^;) が多いように感じてきました。

言い換えると、Aが正しいかBが正しいかの議論はするんだけれど、AでもなくBでもない新しい価値Cを生み出すような他者との対話はあまり慣れていないように感じていました。

ビジュアライズを研究現場、異なる複数の専門家の中で活用するようになってから、グラフィックファシリテーションがあることで、「聴いていなくても、情報が視覚的に受け取れる」ということが起きて、元々専門性を持った方々が、「お互いを承認」しあったり、「相手の専門性に関心を持つ」きっかけを生み出して、専門性を越えて共創していく土壌を創っていくことができるようになっているように感じました。

昨日、メインのファシリテーターとして運用をさせていただいているオンラインワークショップで、自分の尊敬する方々と一緒に未来を創れていることを体感する経験をしました。

50人以上の専門性を持った方々の中に、グラフィッカー7名という贅沢すぎる場がひらけるようになったのも、共創しよう!と仲間になってくれる人がいるから。

まだ、公開できない企画なので内容は後日ご報告したいのですが、この他にも医療系や研究系のお仕事は年々増えていて、自分自身が身につけてきて、化学に限らず科学の知識が生きてできるお仕事が6割を占めてきていて、ありがたいなぁと感じます。

専門性が高いワークショップや会議の進行は、実施時間の10倍くらい事前に準備を要するし、難しい内容のときは、大学受験並みに勉強するのだけれど、やりがいは生きがいになっています❗️ファシリテーターは専門知識がなくてもできる。と聞いたことがありますが、個人的には、参加者と同じまではいかなくても、最低限の専門知識を事前にインプットしておくことで、目線を合わせながら、本質的な話し合いに早くたどり着けるし、新しい価値や意味が立ち上がるようなプロセスデザインだったり問いかけができると感じています。

理系に進んだ人が全員研究者になるわけではありません。人によっては、「高い学費を払って理系に進学させたのに…」という親の声が聞こえてしまう人もいるかもしれないし、「理系に進みたかったけど叶わなかったんだ」という人もいるかもしれない。

今の私が感じているのは、人生100年時代、自分の歩んできた人生の点と点が、どこで掛け合わさって新しい価値を生み出すかわからないということ。検索して手に入る情報が増えた今、分野と分野を結んだり、業界を跨いだ知識や経験を持っていることで切り拓けることがあるし、それが、ユニークな編集力になると思うのです。それは、大雪が降ったあとの新雪に足跡をつけるようなワクワクと、腰まで埋まってしまったらどうしよう、という緊張の間を揺れ動きながら歩んでゆくような感覚です。まだ誰も生み出していない価値は生まれるのか?生まれないかもしれない。生まれなければ、また、進むだけ。進めなくなったら、きた道を戻って、また歩めばいい。

そのために、自分がどんな点を持ってる人間なのか、スキルだけでなく、どんなキャラクターなのか、趣味は何なのか、どんな人に出会ってきたのかを定期的に振り返って棚卸しすることが大切だと思います。

一方で、年間200人くらいの方の人生のストーリーを描くようになって思うのは、忙しい毎日に追われて、自分の歩んだ人生を振り返ることをしない人の方がびっくりするぐらい多いこと。振り返ることで、自分でも気づいていなかった点が見えてきたりして、自然と線になるのだけれど…

何かを始めるのに「今が一番若くて早いタイミング」。「わたしには何にもない」と悲しくなっていた時期の自分に伝えたい。何にもないのではなく、なんでも吸収できるスペースがそこにあったんだ、と。

ご縁をくださる方と、ご一緒してくださる方に感謝して。


■ビジュアルプラクティスに関心のある方へ
共創型ビジュアルプラクティショナーの舞台裏〜実験・実践・探究のはなし〜
2020/12/19sat. 19:00〜
https://peatix.com/event/1742097/view

■研究と実践が融合した研究室に関心のある方へ
北海道大学大学院 環境科学同窓会通信に寄稿する機会をいただきました。藤井先生ありがとうございます^^
https://www.ees.hokudai.ac.jp/alumni/main/liaison.html#v11d

■一年の振返り/棚卸し
毎年、個人的にお声掛けくださってる方の「一年の見える化/振り返り」をお受けしてきましたが、今年は時間がたくさん取れないので人数を10人までと限定して、オンラインでのみお受けしようと思っています。気になった方はこちらからどうぞ。
(参考: 個人 2万円/回,法人 8万円〜/回)
https://www.tagayasulab.com/contact

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