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町民の10%が移住者なまち(島根県隠岐郡海士町)

【まちnote #27】島根県隠岐郡海士町

人口約2,000人の島ながら、その1割超(200名超)が移住者であるという特異なまち、海士町。

移住者率では、もしかしたら全国トップ?なまちをメモします。

海士町未来共創基金

海士町は、今年も「ふるさとチョイスアワード2021」未来につながるまちづくり部門の最高賞を受賞するなど、その新しい挑戦が注目されています。

この最高賞受賞の大きな要因となったのは、ふるさと納税を原資とした基金「海士町未来共創基金( https://ama-future.org/ )」の設立でした。この基金は、「島の未来をつくる熱量に投資し新たな挑戦を支援することで、魅力・活力ある仕事や役割が創出され人材が島に還流し続ける」というビジョンの実現に向け、島民や海士町外の人たちと共に挑戦する仕組みをつくることを目的としています。

ふるさと納税の年間全納付額の約25〜30%を原資として運用され、有識者により構成される投資委員会が、投資先を決定する仕組み。2021年も2事業に投資が行われています。

面白いのがその投資基準です。

一つは、海士町の未来につながること。そしてもう一つが、下限500万円であること。

地域の活動に拠出される助成金・補助金では「上限」の設定が常ですが、むしろプロジェクトの本気度を測るために、「下限」を設けているのでしょう。

新しい挑戦を続ける海士町らしい仕組みです。

「ないものはない」宣言

このような海士町の新しい挑戦の土台には、前町長である山内氏が掲げた「ないものはない」という言葉があるように感じます。

山内氏が町長に就任したのは2002年。その際には「借金101億円の破たん寸前と言われていた離島の町」だったそうです。

どう借金を返すためには様々な施策を打ち出す必要があります。その施策を住民に理解してもらうため、山内氏は、自分自身の本気度を示すために身を切るような判断をしました。

住民サービスが今後低下する恐れがある。住民の理解を得るには、私自身がまず本気にならねばならない。給料50%カット、町長が乗る公用車もやめました。ただ、職員には、給料の引き下げを求めませんでした。

このような本気度を見せたうえで、山内氏は、自らを中小企業の社長と位置づけ、毎週「経営会議」を実施し、海士町という企業の価値を高めるには具体的に何ができるかを考え、様々な施策を実践していったそうです。

例えば、2004年から始まった「隠岐牛のブランド化」。公共事業が減った町内の建設会社が牧場経営に乗り出し、町有農地を民間企業に開放するため島全域を農業特区として国に申請。島育ちの隠岐牛のブランド化に成功し、牛飼いになるため島に移住した若者もいるそうです。また、2005年には、春香や特産のイカの味を損なわずに冷凍する「CAS凍結センター」を建設しこれで市場から遠いという弱点を克服したそうです。このように、町を会社に見立てて稼ぐ仕組みをつくる取り組みに寄って、海士町が運営する第三セクターは8期連続の黒字を達成しているそうです(2017年時点)。

このような、町を企業に見立てた取り組みの中で、2011年掲げられたのが「ないものはない」というコピー。この言葉に込められた意味は「①無くてもよい」「②大事なことはすべてここにある」という2つ。「都会のように便利でなければモノも豊富にないが、都会には無い自然や食べ物、資源などの郷土の恵みがたくさんあり、日常生活していくために必要なものは充分にあるし、今あるモノの良さを上手に活かしていいこう」という想いが込められています。

町長の覚悟を示す姿勢と、「ないものはない」というコピーのもと、様々なまちづくり施策が実行されていきました。その施策については「島根県隠岐・海士町の取り組みを学ぶ「ないものはない」から魅力創造の街へ」という記事に詳しく纏められていますので、ご参考まで。

「合併しない」と決め、「ないものはない」宣言をした、そんな土台が海士町の土台を支えているのだと感じます。

今も生きる「ないものはない」

この「ないものはない」というコピーが築いた海士町の新しい挑戦をするDNAは、いまも熱量を帯びて紡がれています。

冒頭で紹介した「海士町未来共創基金」も一つの例ですが、「ないものはない」という考え方を軸にした様々な取り組みが島民によって実施されています。

例えば、「ないものはない 海士町公式note」。

地域が運営するnoteでこれほどアクティブなものはあまり見たことがありません(【伊勢市公式】クリエイターズ・ワーケーション2020くらいでしょうか)。

こちらのnoteを見ていて思うのは、記事クリエイターの方々の熱量です。例えば海士町独自の仕組み「大人の島留学」に参加された嘉根さんの記事。

熱い。(笑)

人は人に共感する。これはファンベースにおける重要なポイントでもありますが、嘉根さんの記事を読んでそのリアルな生活を垣間見ると、海士町に足を運びたくなります。

また、もう一つの面白い取り組みが、日本初のオンライン集落をコンセプトにした「ないものはないラボ」。
(僕自身も参加していて、とても楽しませてもらっています)

町外の人を第二町民とし、第二町民から集めた会費を、まちのプロジェクトに投資するという仕組みです。第二町民は月額980円を拠出し、コミュニティでの様々なイベントに参加したらい、プールされた資金の使い道を決める会議にも参加できます。

この面白い仕組みの仕掛人が、ないものはないラボの理事を務める大野さん。とてもエネルギッシュでいつも元気をもらっています。

ないものはないラボ(略称:ないラボ)では、OSHIRO社が提供するコミュティサービスを使っていて、これもこれで新しい挑戦だなぁと思って興味深く、楽しみながら参加させてもらっています。毎週の朝会、毎月の投資会議等、関東に住みながら、遠く離れた島の意思決定に関われる感覚は、とても斬新です。

このように「ないものはない」という精神は海士町の土台になっており、「いまある」ものの魅力を最大化する取り組みが色々と行われています。

この挑戦する人たちの姿勢が、町を訪れた人たちを魅了し、結果的に移住者が増えているのでしょう。そんな移住者の気持ちが良く表れている記事があったので共有します。

肩書きやスキルではなく、根底にある想いの部分で人として向き合ってくれる、この人たちといっしょにやっていけたらおもしろそうだと思ったんです。(中略)そんな中で出会った小さな島、海士町の人たちは、自分たちにできないことを認めて弱さをさらけ出したうえで、自分たちが大事なものを「守るための強さ」を持っている。

この記事では到底書ききれない挑戦で溢れる海士町に、今後も注目していきたいと思いますし、少しでも役に立てたらなぁと思います。

はー早くいってみたい!!

★ご参考:取り上げきれなかったおもしろーい取り組み
(今後深掘りするためにメモ)


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