負債総額2兆円から再興したまち(ミシガン州デトロイト市)
【まちnote #1 】デトロイト市
世界中のまちづくり事例のメモ書きシリーズ。
卒論が「スポーツを活かしたまちづくり」だったくらい大好物なテーマですが、最近お仕事でも地域に関わることが増えてきたので「改めて学んでみよう!」と思い立ちました。
世界中のまちづくり事例を蓄積する形で、日本の地域を元気にする活動のヒントになるメモを残していきます。
そんなシリーズ第1弾はデトロイト市。
まちづくりのヒントになる記事を中心に、メモメモ。
破産から再生へ
デトロイトは自動車産業を中心に栄えた都市ですが、自動車生産がコストの低い新興国へシフトしたことにより財政が悪化し、2013年に「破綻」しています。
負債総額は1.8兆円超で、米自治体の破綻としては史上最大で、世界的にも注目されるニュースとなりました。
しかし、その後のデトロイトの復興は著しく、いまでは「都市再生/Urban Renewal」のモデルとも言われています。
コロナの影響で2021年のモーターショーが中止になるなど、直近の逆風下における現状は別途調べる必要はありそうですが、2013年の破綻から再生への軌跡には、町づくりに関する多くのヒントがあります。
再生に向けた活動
再生の起点となったのは、当時のマイク・ダガン市長の傾聴の姿勢でした。
デトロイト市長のマイク・ダガンが、地域コミュニティのハブである教会を訪れてタウンホール・ミーティングを開き、一方的に話をするだけでなく、質問を受ける。どれだけ長い列になろうと最後の人まで対話を続けてきた。それにより、各コミュニティが自分たちで創造していくという実感を持って復興に携わっていることこそが本質ではないかと話していました。
この姿勢は、デトロイト市都市計画局のキーパーソンSteven Lewis氏の発言にも「インクルーシブ」という言葉で明確に表れています。
デトロイト都市計画局では7つの戦略を持打ち出していますが、その最も大きな柱が「地域住民を巻き込んだ発展」です。
<デトロイト都市計画局の戦略>
①一世帯住宅の安定性の獲得
②多世帯住居とテナント付き物件の開発
③地域の小売業、スモールビジネスの促進
④自動車に依存しない交通手段の促進
➄アートと文化活動の促進
⑥地域住民をつなぎ合わせる土地活用
⑦地域住民を巻き込んだ発展
Steven Lewis氏は、都市計画局が主導するのではなく、デトロイトの基礎を作った方々との対話を何よりも大切にし、歴史的に分断されてきたさ様々な民族集団を排除せず、意見を取り入れて計画を進めていきました。その姿勢は下記のような言葉にも表現されています。
大人になって生まれ育った場所を思い出すと、当時あった店や友達などの記憶と相まって、そこはとてもロマンティックな場所に見えるものです。デトロイトで生まれ育った人たちも、多くのものを失ってしまったけれど、美しい思い出は持っています。私たちはその思い出を掘り起こし、探し求め、理解し、尊重しようとしています。デトロイト市が経済的成長を始めると、新しい人たちが入ってきます。私たちもデトロイトの外から来て仕事をしています。しかし、私たちは誰がこのデトロイトの基礎を作ったかを決して忘れません。
また、デトロイト市の再生においては、民間企業による投資も大きな役割を果たしました。例えば、米大手金融機関であるJPモルガンは100億円超を投資し、再生にコミットしています。
また、Quicken Loan社という金融機関が本社を移転し、創業者であるDan・Gilbert氏が、総合不動産デベロッパーBEDROCKを創設し2,000億円を投資し、約100の不動産を取得し都市再生を実施。結果として14,000人以上の雇用を創出しています。
このように、デトロイトの再生に向けた初動は、ある種のパトロンに支えられていました。
しかし、それだけが再生した理由ではありません。地域と住民の対話によって育まれた、住民の「自分たちが創造する」という意識によって様々な活動が生まれ、それが再生を実現せたのだと思います。
アートでの再生や、大学との連携など、参考になる記事リンクを掲載する。
このように、リーダシップをとる都市計画局が、住民への丁寧な傾聴を通じて民間企業・住民の自発的な活動を促したことが、デトロイト再生につながっているのだと感じます。
今後の課題も
とはいえ、再生都市のモデルとなったデトロイトも、まだまだ課題は山積み。
デトロイトの今後にも注目していきたいと思います。
気ままに更新をしています。マーケティング、フィンテック、スポーツビジネスあたりを勉強中で、関心があう方々と情報交換するためにnoteはじめました。サポートいただけると力がでます。どうぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m