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小説(短編・超短編)・詩・散文詩・日記等、文芸(風)の作品を集めました。
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2019年8月の記事一覧

短編小説「バレリーナたちの青春―前編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

短編小説「バレリーナたちの青春―前編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

東京神田にTYGというバレリーナ養成学校がある。

今日もわたしはそこへ通う。

わたしがそれを望んだというより、よくあるはなしだが親にその道を歩まされてるにすぎない。

それほど才能があるというわけでもないということにだんだん気づきはじめたわたしにはこうして学校に通うことにもちろん少し迷いが生じている。

しかし幼少の頃から続けているバレエとその練習がどうやらそんなに嫌いでもないらしい。

練習

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短編小説「バレリーナたちの青春―中編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

短編小説「バレリーナたちの青春―中編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

(前回までのあらすじ)東京神田のバレリーナ養成学校に通う理沙は一番できる練習生裕美を励みにしていたが、辞めたい気持ちも半分くらいある。練習後、理沙は控え室で美亜たちとぶっちゃけばなしで盛り上がる。
(リンクはこちら)

(本文)
3日経ったある日、マネージャーの春日部が駆け込んでくる。

「大変だ、今度の公演が中止になったんだ。前売りの売れ行きが悪すぎるんだ」
突然…(というわけでも実はないのだが

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短編小説「バレリーナたちの青春―後編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

短編小説「バレリーナたちの青春―後編」(使い捨てコンテンツと芸術の狭間で)

(前回までのあらすじ)理沙は神田にあるバレリーナ養成学校に通う練習生で、優秀な裕美を励みにしている。ある日、マネージャーの春日部が次回公演が中止になる報告のため控え室に飛び込んでくる。突然大雨が降り出し、理沙とその仲間はマネージャーと雨宿りをするため控え室で盛り上がる。
(前編リンクはこちら)
(中編リンクはこちら)

(本文)
何日か経ったある日の午後のこと、買い物に行く途中で裕美にばったり出会

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夏祭り(神輿祭り)の思い出…

夏祭り(神輿祭り)の思い出…

扇風機しかない私の部屋に賑やかな囃子の音が聞こえてくる。

どんどこ、どんどこ、どんひゃらら、トンっ、

どんどこ、どんどこ、どんひゃらら、トンっ、

神輿祭りをやっているようだ。

夏っぽい風情のその定型文っぽいいつもの感じが不思議な安堵を催す。

もっとも、ストレスいっぱいの個人がいれば、ひょっとすると今日ではこういった夏の風物詩もただうるさいと感じる個人がいても不思議ではない。

団地の部屋

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