
偽りない想い
売ることは、伝えて届けること。
10年前、モノを売る仕事についたときから心に刻んでいます。
delightful toolとしてオーダーシューズを手がけるようになった今も、この考えは変わりません。
靴の作りを伝える。素材を伝える。機能を伝える。履き方を伝える。
伝えなければいけないこと、伝えたいと思うことは次から次に出てきます。ただ、正しく伝えることは難しい。
そんな考えを巡らせ続けながら、読み返している本があります。
山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる!文章を書く』です。
小論文指導に携わってきた著者が、日常で機能する文章を書くための方法を記した本です。
・その文章が目指すゴールは?
・あなたの意見は?
・あなたが望む結果は?
・あなたの本当の想いは?
読者への問いかけ、実例を交えた構成。読みやすい実用書のように見えますが、その実は著者の文章に対する熱い想いがストレートに、ガツンと伝わってくる一冊です。
最初に読み切ったとき「伝えること、書くことにきちんと向き合ってみたい」と熱いものが込み上げてきたことを、はっきり覚えています。
文章で大切なのは、自分の根っこにある気持ちや生き方にうそをつかないことだ。
2章の最後に記された、根本思想という考え方についての一文です。
どんなに取り繕っても、自分の想いに嘘をついた文章では伝わらない。根本思想と一致した意見こそ、伝える力を持つ。
根本思想の考え方は、伝えること、書くことに対して僕が向き合う力の源になっています。
革靴の経験と知識を通して、人の役に立ちたい。
この本に触れるたび、自分の根本思想を見つめ直すことができます。この想いに偽りなく、正直に人とつながっているだろうかと。
僕にとって、この先何年も繰り返し読んでいく一冊。読んで、文章を書いて、また読んで、書いて。
delightful toolの革靴のことを正しく伝える力を養っていきたいです。それと同時にdelightful toolの革靴そのものの力も養いながら。
それが誰かの役に立つことだと信じています。
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!