草加の小さな神社の小さなお祭り/新井由木子
その小路は父の生まれた草加にありながら、不思議と母方の祖父母の住んでいた伊豆諸島の新島を思わせる、懐かしさがありました。
少し湾曲した道の両側に並ぶ、古びた民家とくすんだコンクリートの塀。そこから見える空にビルディングなど都会の建物の気配がどこにもないところ。そして、その小路の脇にある古びた神社の、草ぼうぼうで地面がでこぼこで、これもいかにも新島にありそうな場所に、幼い娘と散歩がてら立ち寄るのが楽しみだったものでした。
娘は小さな祠(ほこら)の前で
「あそばせてください