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クリスマスを少し過ぎた時期にポケットの中の戦争を観た

クリスマスに腎盂腎炎の疑いがかかり(うまく採尿できなかったせいできちっとした検査が出来ず、はっきりと病名はもらえなかった)、数日間高熱と頭痛と関節痛で寝込みっぱなし、やっと日中起きてられるまで回復するも、大好きなイエローモンキーのナゴヤドームライブ行く体力はなく。

そんな悲しみの中、クリスマスを少し過ぎた時期に
【機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争】を観るなどした。

前々から周りの有識者(ガノタ)たちにすすめられていた作品ではあったが、今回が初視聴である。

ちなみに私はガンダムは基本的にライト視聴者だ。
今回の話の舞台である宇宙世紀に関しては、ファースト、Z、逆シャア、THE ORIGINシリーズは視聴済みであることは一応記しておこう。

話としては、連邦軍とジオン軍によるいわゆる1年戦争と呼ばれる戦争の末期。中立に立場を置くコロニー内に住む少年アルが、ジオン軍の青年バーナード(バーニィ)との出会いにより、戦争に関わり・加担していき、やがて大きな経験をするというある意味、ジュブナイル系の作品である。

有識者たちの言っていた通り、良い作品であった。

ガンダムって、ロボットが出てるからロボットアニメだと思われてるけど基本普通にエグい戦争アニメ。マクロスだって戦争ロボットアニメではあるけれど、あれは恋愛(の三角)関係を重きに置いているから少し違う。
これはさらにガンダムが(比較的)出ないからよりガンダム感は少ない。ファーストを見ていなくとも単体で楽しめると思うので、ガンダムが苦手な人でも比較的見やすいのではないのだろうか。

オープニングの映像は長い壁とそれに描かれた落書きたちで、それはベルリンの壁を彷彿させる。調べてみると、この作品がOVAとしてリリースされたのは89年の春〜夏。ベルリンの壁崩壊は同年11月。なにかこう、縁のようなものを感じる。
戦争を外側からエンターテインメントとして眺め楽しんでいた主人公のアルが、戦争をヒーローゲームかのように、楽しみながら加担していくさまの描き方がすごく良かった。うまく、戦争の「外側」の人間と、「内側」の人間の対比が描写されていたと思う。

全6話構成のうち、後半は特にとにかく憎い演出が多く、話も辛かった。
5話の最後、主人公アルとジオン軍の青年バーナード(バーニィ)が電話で会話するシーン。同じようにコロニーを救うための話をしているはずの2人なのに、見据えるその先が違う。明るい室内にいるはずのアルには影が差し、夜の公衆電話にいるバーニィの頭上からは外灯が差し込む。地獄とはここか? 思わず悲鳴をあげてしまった。

後に最終話に関しては、5話のサブタイトルである「嘘だと言ってよ、バーニィ」(ただし主人公と使い方は異なる)を思わず口に出して連発してしまった。あまりにもしんどい、あまりにもつらい。どうして、バーニィ…そんな悲劇にならなければならないのだ。バーニィは幸せだったのだろうか。自分の無力さを知るアルもまた悲しい。

それから、なによりも、美樹本晴彦先生の絵が美しい。
美樹本先生の描く美女はどうしてこうも「美女」なのだろうなあ。

【ポケットの中の戦争】というタイトルもまた言い得て妙である。憎いタイトルだなあとも思う。スターウォーズシリーズの【ローグ・ワン】もまたポケットの中の戦争であったよななんて少し思いだすのだった。

年齢によって楽しみ方もきっと様々な作品だと思う。
見る年齢がもう少し若ければアルの気持ちにもう少し寄り添いながら純粋にワクワクしながら見れたかもしれない。全体的には大人向きな作品であったとは思うが、その分多角的に長く楽しめるのではないだろうか。

ただ、もう一度見直すにはちょっと時間がいるな…笑

久しぶりに始める創作活動費用に充てさせていただきたいと思います。