指す将順位戦6th A級2組1回戦 VSたそがれジャムさん(対局編)
こんにちは、自炊生活を再開したいもののカップ麺生活が楽すぎてやめられない、こまちです。
今回は、指す将順位戦の一回戦、VSたそがれジャムさん戦の自戦記をお送りします。
この投稿は対局編です。準備編からの続きですが、見なくても基本問題なく読めます。ですが、準備編も読んでくれたらとても嬉しいのでリンクを貼っておきます。
対局当日
この日…いや、前日あたりからかなり緊張していました。ドキがムネムネってやつです。頭の中でも、口に出しても、ツイートでも「勝ちてえ…」「勝ちたい…」とずっと言ってた気がします。
こういう緊張はどちらかといえば慣れっこではあるのですが、これを100%力に変えられればなあ…
いざ対局
帰宅したのが22時前、そこから対局開始時間の23時までにできることはやはり棋譜を眺めることとソフトとにらめっこすることでした。
軽くエネルギー摂取をしながら当日の棋譜を眺めていたところ、事件が発生しました。なんと、たそがれジャムさんのお相手が角換わり早繰り銀をしているじゃないですか!「えーーーー…まじ???うそー?」と声に出してしまったのを覚えています。
こればっかりは仕方ない…しっかり自分の考えていたことをぶつけようと決意し、いざ対局。
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7六歩
△3二金 ▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △7七角成
▲同銀 △2二銀 ▲4八銀 △3三銀 ▲7八金
△6二銀 ▲6八玉 △7四歩 ▲5八金 △7三桂
▲6六歩 △4二玉 ▲3六歩 △6四歩 ▲9六歩
△6三銀 ▲3七銀 △5四銀 ▲4六銀(第1図)
実戦心理
振り駒で先手番に。後手番でも大丈夫と踏んでいましたが、万が一横歩取りに進んでしまった場合がほんとに怖かったので先手番をもらって安堵しました。対策通りに桂跳ねも防いで早繰り銀vs腰掛け銀の構図になりました(準備編参照)。第1図まで相手は4分34秒使っていましたが自分は21秒、いきなり時間を削れていけたのは大きかったです。
しかし、振り返ってみると自分の時間の使い方には少しばかり疑問が残ります。▲9六歩はノータイムで指しましたが、相腰掛け銀でもないのにそこまで速く指してしまうと端歩を突き返さないのも頷けます。あえて1分ほど使って打診する…実戦心理ってやつでしょうか?そういったことも必要な気がします(そもそも突く必要がないし突き返す必要もなさそう)。
端歩を突いていなくても仕掛けの上で全く問題ないことは事前準備の段階でわかっていたので、▲9六歩という手はある意味疑問手と言えます。本譜は、その端歩の一手により相手の次の手が間に合うようになりました。そして、そこから自分の破滅ルートが始まってしまいます。
評価値:水匠3 5億ノード 互角(+62)
第1図以下の指し手
△4四歩 ▲5六角打(第2図)
準備の甘さ
次の手、それは△4四歩です。後手の△4四歩+△5四銀の組み合わせは対早繰り銀の常套手段と言える組み合わせですが、これが事前準備の段階でなーーーーぜか頭から抜け落ちていました。これでは事前準備もあまり意味が無いようなものですね。指されてハッとしてしまいましたが、これでハッとしているようでは…
内心焦りながら2分ほど時間を使って指した▲5六角がよろしくない手。普通はこのタイミングで打つような角でないのに、この時の私は「7四の地点狙いながら△4五歩も防げてるし…」と考えていたはず。ここは素直に▲3五歩といかなければなりません。準備段階で考えていた方針はこの時点でめちゃくちゃになっています。
評価値:5億ノード 後手有利(-346)
第2図以下の指し手
△6五歩 ▲3五歩 △同歩 ▲同銀 △4五歩
▲2六飛 △5五角打 ▲3七歩打(第3図)
働かない働き角
△6五歩は当然の一手。これがあるので▲5六角と打った意味はほぼなくなっています。ここでいくよりないと銀を進出させましたが、△4五歩は考えていませんでした。これで角の働きがお亡くなりになりました。このままだと△5五角が厳しすぎるので▲2六飛と浮いてケアしましたが、これもよろしくない手。▲3七歩とした第3図は歩切れで角の働きも大差…これでは非勢も明らかです。
評価値:5億ノード 後手優勢(-946)
第3図以下の指し手
△5二金 ▲2四歩 △同歩 ▲同銀 △同銀
▲同飛 △2三歩打 ▲2六飛 △4三金(第4図)
悩む
▲2六飛まではごく普通の進行。△4三金は厚みを加える手というものでしょうか。△8六歩の突き捨てや△6六歩の取り込みも十分厳しい手ですが、この手に対してはっきりとした手が見当たらないのでこれもある意味厳しい手です。王様のわき腹が少し肌寒そうですが、飛車を渡さない(交換しない)、もしくは飛車を侵入させなければ問題はなさそうです。
△2三歩の時点でお相手は秒読みに突入。時間ではリードしていましたが、なかなか間違いが起こりづらそうな局面に見えます。
まだやりようはありそう…と4分ちょっと悩んで指した次の手がひどい手でした。
評価値:5億ノード 後手優勢(-964)
第4図以下の指し手
▲6七金 △8六歩 ▲同歩 △8五歩打 ▲7五歩
△8六歩 ▲8八歩打 ▲8五桂 ▲8六銀 △4四角
▲2五飛 △6六歩 ▲7六金 △6七銀打 ▲同角
△同歩成 ▲同玉(第5図)
言いなり
▲6七金がひどい手。悲しいことに指した時は何とも思っていなかったのですが、△8五桂までいくとひどく厳しい状況だとわかります。▲7五歩に代えて▲6五歩、▲8六銀に代えて▲7四歩などの対抗する手段はあったみたいですが、言いなりに進んでさらに悪くしてしまいました。
△6七銀の局面では▲同金とする手もありますが、△8八角成とされたらもたないと思い▲同角を選択。しかし、これにも後手には手があります。
評価値:5億ノード 後手勝勢(-3604)
第5図以下の指し手
△3四角打 ▲2八飛 △4六歩 ▲5六歩 △4七歩成
(第6図)
厳しいけど
△3四角があるのは△6七銀の段階で気付いていました。△8八角成とする変化と比べると、駆除しづらいと金ができて角の利きもあるのでこれも厳しいと思っていましたが、私の次の一手に期待しました。
評価値:5億ノード 後手勝勢(-2795)
第6図以下の指し手
▲8五銀 △7五歩打 ▲同金(第7図)
もしかしたら
▲8五銀と桂馬を取れるのでちょっぴり王様が安全になりました。お相手が△7五歩としてきたことで7六の地点への逃げ道もできたため、一時は万事休すだった王様はまだ捕まらなそうです。
評価値:5億ノード 後手勝勢(-2000)
第7図以下の指し手
△6五銀 ▲同金 △8五飛 ▲7六玉 △8一飛
▲7二銀打 △3一飛(第8図)
急接近
△6五銀~△8五飛の流れは▲7六玉と王様自らアタックすることで意外と安全です。▲7二銀と指せたのも大きく、入玉コースも見えてきました。
実際、第8図の局面は評価値が互角へと戻っています。もちろん、対局中はそんなことを知らないのですが、かなり巻き返したという実感はありました。しかし、次に指した手で再び後手に勢いが戻ってしまいます。
評価値:5億ノード 互角(+80)
第8図以下の指し手
▲3六歩 △3八と ▲同飛 △5六角 ▲2八飛
△6四歩打 ▲6六金 △6五銀打 ▲同金 △同角
(第9図)
見逃す
▲3六歩で再び悪くしてしまいました。ここでは▲3六桂も考えていましたが確か△3五角とされるのを怖がっていたはずです。しかし、それには▲4四歩があるので、本譜より明らかに良いです。今局は「次の手にこれ来られるとまずそう…」ですぐに打ち切ってしまう局面が多くてひどかったです。
評価値:5億ノード 後手勝勢(-2341)
第9図以下の指し手
▲8五玉 △7四金打 ▲8六玉 △8五歩打 ▲9七玉
△7五金 ▲8七銀打 △同角成 ▲同金 △8六銀打
▲9八玉 △8七銀成 ▲同玉 △7七歩打(第10図)
入玉は阻止されるけど
▲8五玉と入玉を目指しにいったところで△7四金。これで現時点での入玉は不可能になってしまいましたがそこに金を使うならまだいけると思っていました。歩を絡めて金を前進させられると意外と大変ですが、それほど厳しい手はなさそうです。
△7七歩はかなりいやらしい手ですが、これでも王様はギリギリ捕まっていません。攻め駒も多いわけではないので、もしかしたら再び巻き返している可能性があるのではと考えていました。
評価値:5億ノード 互角(+122)
第10図以下の指し手
▲6七銀打 △7六金打 ▲同銀 △8六歩打 ▲9七玉
△7六金 ▲9五歩 △9四歩(第11図)
入玉なるか
受けるのならこれかな?と考えて指したのが▲6七銀。最善ではなさそうですが、悪くはない手だったみたいです。第11図まで進んだ局面は、入玉ルートができつつありますが、△9四歩が格言の手でまだまだ難しいです。
ここで、入玉を目指そうと指した次の手で一気に後手の勝ちになってしまいました。
評価値:5億ノード 互角(-1)
第11図以下の指し手
▲9六玉 △7五金 ▲9四歩 △同香 ▲9五歩打
△8五銀打 ▲9七玉 △9五香 ▲9六歩打 △同香
(投了図)
まで、122手でたそがれジャムさんの勝ち
急転直下
▲9六玉が大悪手。△7五金があまりにも痛いです。そして▲9四歩としてしまったことで即詰みに。入玉が見えてきそうなところで我慢できずに、最後はあっけない幕切れとなってしまいました。
幻の千日手とただ銀
対局後にソフトさんに尋ねてみたところ、第11図では千日手の筋が発生していたみたいです。それに持ち込める手が▲8五銀打(参考1図)です。以下、△7五金▲7六銀に△9五銀とすれば①▲同銀には△7六金▲8五銀△7五金▲7六銀△9六銀、②▲同玉には△9五歩▲9七玉△9六歩▲同銀△7六金▲9五歩△9四歩▲8五銀△7五金があるようで…
ただ、この場合は先手は千日手歓迎ですが後手としては選べないと思います。あともう一押しというところですし、△9五銀に代えて△8七歩成~△8六銀という手もあります。
しかし、先手には▲8五銀に代えて▲6七銀(参考2図)という手もあるみたいです。
これに対して△同金や△8七歩成、△7五金のどれもどうやら千日手に入る手順があるみたい(もっと深く読ませたら違う手を指摘するかもしれません)ですが…その手順が難しすぎたので省略します!!!!!!!わりと先手も後手も手が広いらしいからわからん!!!!!!!!!!!!
デビュー戦を終えて
序盤:自分の想定局面から外れたところですぐ崩れてしまったのはよろしくないです。先手なのに攻勢が取れずに後手後手の展開になってしまうのは避けたい…今期ずっとまとわりつく課題になってしまいそうです。
中盤:じりじりとした戦いができずにどんどん悪くしてしまいました。読みが読みになっていなかったです。
終盤:攻守入れ替えの局面だったり千日手の筋だったり、そういったところで一切チャンスを掴めませんでしたが、楽しかったです。
ということで、1回戦は負けでした。悔しい、とても悔しい。ほろ苦いデビューにはなってしまいましたが、「レートがなんだ!俺は勝つぞ」の精神で次回以降の対局も臨んでいきたいです。たそがれジャムさん、改めて対局ありがとうございました!
最後に…対局相手のたそがれジャムさん、対局を見てくださった方、この自戦記を読んでくださった方、指す将順位戦の運営さんに圧倒的感謝。
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