アゴタ・クリストフ『文盲 アゴタ・クリストフ自伝』
『悪童日記』三部作を読み、著者アゴタ・クリストフが、母語ではないフランス語で書くことの意味に触れたくて、『文盲 アゴタ・クリストフ自伝』を手に取る。
新書判の白水Uブックスでも、本文は90ページにも満たない。巻末の解説によれば、『第三の嘘』を上梓した後にチューリッヒの雑誌に連載していたエッセイが土台になっているという。「自伝」とはなっているが、時系列で自らの来し方を綴っているわけではない。幼い頃から、ひたすら読み、ひたすら書く人間だったこと。ハンガリー動乱のあと、生後4か月