見出し画像

私がファントムテイルで「脚本+役者」ではなく「脚本」のみにした理由

タスクがいっぱいになると焦ったりするけど、何もないとそれはそれで不安になるというのが10代だったのですが、今は何もないと力が抜けて至福です。

力を抜くこと大事。矢部亮です。


さて、いよいよ明日に迫りましたC.C.C本公演「ファントムテイル」。池袋で25日までやります。

劇場へは基本毎日受付のお手伝いなどでいる予定です。もちろん感染対策の責任者としても。皆様是非ともお待ちしています。

あ、コロナウイルスが蔓延して1年半近くたちますが、我々民間人ができる対策は「手を洗う」がずっと1番効果が高いです。

これだけ時間が過ぎたんだから、そろそろ普通に過ごしても『これさえすれば大丈夫』みたいな裏技的なの出てきてないの?と聞かれることがあるのですが、マジでないです。あったらみんなやってます。

基本は大事。お芝居もその他でも。


さて、今回の公演「ファントムテイル」では私、脚本のみの参加となりました。

役者生活20年、脚本と演出は10年になりますが、外部提供ではなく所属団体で「脚本のみ」は初めての経験です。「脚本と出演」「脚本と演出」はわりとあるんですけどね。

なぜそうしたか。

これはシンプルな話で

1回やってみたかったんです。


元々「演出+出演」はよほどのことがない限りナシというのがマイルール(やるのは「十和さんと小林くん」シリーズだけ)。

演出しながら出演ををすると稽古が見れないから、責任が取れないのを極力なくすためです。

しかし脚本に関して言えば書き上げた時点で仕事は終わりなのだから、あとは役者に集中する、ということで問題ないと今まで思ってました。

ですが、その考えはここ数年で少し変わってきます。


稽古というのは基本的に演出家が監督で、その指示のもと作品が作り上げていきます。

なので演出の意見を中心に、役者の意見と演出家の意見が重なり、時にぶつかり、新たな道が生まれより面白いものになっていくのです。

でもあるとき役者と演出家が一緒に唸るときがあります。どうしようとみんなで必死にもがき道を探ります。

で、こんな時によくあるのが、

脚本家に話を聞く

です。

話を聞くこと自体は問題ないのです。明確な答えがあり、それをもとに新たな構築ができるからです。

が、問題があるのはそれが稽古場で行われることです。

演劇を作り上げる共演者が様々な意見を言う、これは演出家の意見が大きくあとはみんなイーブンです。

が、脚本家の意見はどうでしょう。

おのずと他の人より「あ、そうなのか」となる比重が大きくなります。

これがまずいのです。


例を挙げてみます。

3人芝居があったとします。全員の考えの比重としては、


演出の考え>役者Aの考え=役者Bの考え=役者Cの考え


これが普通です。

が、役者Cが脚本も書いていたらどうでしょう?

大体ですがこうなります。


演出の考え>役者C(脚本家)の考え>役者Aの考え=役者Bの考え


これがシーンによって、状況によっては演出<役者Cになることがあります。

稽古場はお芝居を面白くすると同時に、お芝居の純度を上げるものだと思っています。

こういったことが続くと、ちょっと曖昧な表現になるのですが、

お芝居の純度が下がります。

私はこれを避けたかった。


企画が動いた段階で鬼丸さんにも相談しましたが、鬼丸さんは

「大衆演劇は脚本のみって普通だし、アリだよね。それぞれがスペシャリストという形で今回やってみようか?」

と快諾してもらいました。参加する人少ないのに。ありがとうございます。


で、演出の足立くん。

彼は演出に関しては前回の配信公演「COLORS2」がデビュー。本公演は初めてです。

自分の作品を初めての演出にさせるのは不安ではないの?と思うかもしれませんが、全くないです。

なぜなら私見ですが、足立くんはCCCの中でも1・2を争うぐらい

お芝居の純度が高いから

その代わり寝坊したりタスク忘れたり、社会人としての純度は低…

お芝居の純度が高いから


彼なら、私の作品を絶対に面白くしてくれる、という自信がありました。

結果、私が稽古場に訪れたのは1度だけ。しかも稽古前に所用で30分程度顔を出しただけで稽古は一切見てないです。

正直稽古はものすごく見たかったし、なんなら出たかったですよ。自分の作品が作りあがっていく過程は見たかったです。

でもそれ以上に、自分が行かないことで芝居の純度が高くなるという方を選びました。

本番前ですが確信してます。脚本のみにしてよかったと。


自分の子供が大きくなって、久々に見る姿は一体どんなものになっているでしょう。

不安0、楽しみとワクワクが100です。

素敵な役者と素敵な演出、素敵なスタッフさんによって出来上がる「ファントムテイル」、皆様、ぜひ劇場で一緒に楽しみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?