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grandma's life recipes

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世界を旅する台所研究家 中村優が瀬戸内のばあちゃんたちのもとへ。ばあちゃんたちから集めた幸せレシピの記録。
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2018年8月の記事一覧

百島のキシ子さんの「ぶどうすすり」grandma's life recipes

「もどりうけ」をつくり終えると、 「ぶどうすすりもつくろうか」と、キシ子さん。 「この季節にぶどう?」 と思ったら、昔から豆の栽培が多かったこの島では緑豆が「ぶどう」という名で呼ばれているらしい。緑豆とサツマイモ、そして白玉粉と上新粉を使ってつくる「ぶどうすすり」は、おぜんざいのようでいて小豆よりも胃に優しいという素朴なおやつだ。 「昔はな、家族が多いから綺麗に丸める時間も無くて、ぎゅっと片手で握ってそのまま入れたんよ」と、白玉粉と上新粉を捏ねたものを片手で適当に掴んで団

百島のキシ子さんの「もどりうけ」grandma's life recipes

 鞆の浦からフェリーでたった10分でたどり着く百島。穏やかな海に囲まれてた家々の庭には美しく花が咲いている。ここは、あちこちにかわいいばあちゃんがいる、フレンドリーなばばパラダイスだ。  島の人口は約500人。じいちゃんばあちゃんはみんな、自分で野菜を育てて料理をして、自分の力で暮らしてきた。超少子高齢化が進み、コンビニどころかスーパーもレストランもない。それでも数年前からは廃校を利用したアートの拠点に外国人アーティストたちがやって来たり、移住者が登場したりしている。  

鞆の浦の睦子さんの「コチの煮付け」grandma's life recipes

「これがコチで、こっちはギギ」。鞆の浦はジブリ映画の舞台となった土地だと聞いていたから、魚の名前を聞く度に、登場人物にいたかなと考えてしまう。おもては、車2台がすれ違うのがやっとな狭い道がくねくねと続く小道ワンダーランド。港からは穏やかな潮風が吹いていて、街並みは江戸時代から続く美しい世界。福山からバスで30分ほどのこの鞆の浦の町には、「旅で会えたら」と旅人たちが思う、のんびりとした地元の空気が流れている。  どうにも狭くて、ちょっと不便そうで、それでも地元の人たちに愛され