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【スポーツアナリティクス】定量分析と定性分析の狭間で...【ポエム】

この記事は Softbank AI部 Advent Calendar 2019の8日目の記事です。また、スポーツアナリティクス Advent Calendar 2019の8日目の記事でもあります。

本記事は、いつも投稿しているような技術的なものではありませんし、内容も私個人の見解ですので、読み始める前にご了承いただければと思います。そして本稿で記述するスポーツアナリティクスは、サッカーにおけるチームの勝利のための分析のみに焦点を当ててお話を進めていきます。(動作解析やファンエンゲージメントなど、スポーツアナリティクスがカバーする領域は広範に渡るため)

私は上記企業でデータエンジニアとして働く傍ら、スポーツアナリティクスに関する技術情報や分析結果を、Twitterやnote等でアウトプットしています。そうした定量的な分析手法の開発を続ける反面、(Twitterのアカウントをフォローをしている方はご存知ですが)海外や日本のサッカーの試合を観て分析した結果は全て定性的なものにとどまっています。また、高校までは現在も欧州リーグやJで闘う仲間たちと切磋琢磨してきた選手時代があります。そんな自分が、「スポーツアナリティクスに対してどういう気持ちで取り組んでいるか」、そして「今後どうなっていくと予想しているか」といった問いに対する現時点での答えを、このnoteでまとめることができればなと思います。

 1. 定量分析の現状と可能性

まずは現状から。収集->集計・分析->可視化という流れを、データの種類とともに整理します。

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試合映像や各種デバイスから収集されるイベントデータや、トラッキングデータを用いて、集計操作のみならず統計モデリングや機械学習的なアプローチを通じて、様々な可視化や分析結果がアウトプットされています。自チームのみならず対戦相手も含めたレポーティングの際に、こうした可視化・分析結果を用いて行えるようになりました。実際に昨年のUEFA Champions Leagueで優勝したリバプール(プレミアリーグ / イングランド)では、研究肌のデータサイエンティストが、選手獲得や戦術分析に貢献しているという話もでてきていますし、我らが日本のJ1でもLIVE SCOUTERというリアルタイムにデータ分析を行うためのソフトウェアが提供されています。こうした流れが、今後もより広がっていくことでしょう。

次に可能性。先日行われた、FCバルセロナのスポーツアナリティクス系のカンファレンスで発表された2つのセッションを紹介します。(技術的な詳細は、別でまとめます)

・試合映像から選手の立ち位置だけでなく、体の向きや視野角を抽出

・トラッキングデータからフォーメーションを自動で推定

冒頭にお話ししたイベントデータやトラッキングデータのみならず、体の向きや視野角といったミクロな情報から、フォーメーションの遷移といったコンテキストなものなど、よりリッチなデータが収集されてく可能性が大きくあります。このようデータから価値を生み出すのが、データサイエンティストの役割になります。

2. 定性分析

次は、定性分析について。ここでいう定性分析とは、ヒト(アナリスト)が試合映像から両チームの戦略・戦術を要約してレポーティングすることを指しており、サッカー界では応援しているクラブや、注目している試合のマッチレポートをnoteや自らのブログに記事として投稿する!というトレンドがあります。Twitter上で議論される内容含め、質の高いレポートが日々飛び交っている状態です。海外ではこのようにプライベートで行っていた分析が評価されて、プロクラブに招聘されるといった動きもあるようです。

上記のトレンドの創始者であるらいかーるとさん、アーセナルと川崎フロンターレの試合のプレビューとレビューを毎節行うせこさん、そしてパスに対する定量分析も行うpolestarさんなどがその代表例でしょう。マジで半端ないです。

また、私自身も主に高校年代のチームに対する定性分析をこのような形で行っていたりします。(育成年代こそ、分析->フィードバックというプロセスが大事だと思うので。最低限でもロジカルにやれない指導者は淘汰される時代へ。なくそうスポ根!)

3. 定量分析と定性分析の狭間で... 

定量分析と定性分析の現状と可能性をつらつらとお話ししてきましたが、ここからが本題です。4月に上京してから、様々な勉強会やイベントでスポーツアナリティクスに関するLT登壇をさせていただきました。そのイントロで話すことはいつも同じで、「データサイエンスでサッカーのやさしい解釈を」という思いでした。サッカーという複雑でカオスなスポーツにおける沸点をわかりやすく伝えるためのツールとして、データサイエンス!は存在すると現時点で考えています。となると、冒頭のスポーツアナリティクスの定義であった「チームの勝利のための分析」とは、異なる文脈でスポーツアナリティクへ取り組んでいることになります。なぜか?と言われると正直しんどい。端的にいうならば、サッカーの勝利のためには、定性分析だけでも正直事足りるな〜と内心思っているからです。(定性で浮かび上がった仮説を検証するための方法としてのデータ分析は価値があると思いますが、その費用対効果っていかがなものかとも。選手の顔をしっかり見る時間のほうが大事かもしれない。)

AI!データサイエンス!言葉は大きいですし、人も食いつきます。電気系の学生だった自分は、ビッグデータ分析の研究室に配属後に、AIという言葉を知った未熟者でしたが、その後はトレンドに乗っかって就活やアウトプットをしてきました。感謝。そして、AIやデータサイエンスで、ビジネス上の事象の最適化がこれからも進んでいくと確信しています。しかしながら、感情を持ったヒトが、カオスなピッチの上で、0コンマ何秒で意思決定を行う、サッカーというスポーツで勝利を掴むためのツールととしてのデータ分析!は、現時点で微力だなと個人的に感じています。アナリストが定性分析でやっている内容をAIが代替!みたいな時代は、サッカーにおいては正直こないと思います。

データより、ヒトの目のほうが強いと思っている派です、意外と。立場や取り組みとの矛盾感は否めないが。もちろん代替される仕事(=カメラ撮影、イベントデータの収集 etc...)は確実にあると思います。

これが、「定量分析と定性分析の狭間で...」という本noteのメインパートになります。これからも、「データサイエンスでサッカーのやさしい解釈を」という思いのもと、最新の技術をキャッチアップしながら実装->可視化のアウトプットは続けていきます。楽しいので。にわかファンをバンバン取り込んでいきたいです。その過程にデータがあったら嬉しいですね。そして、チームの勝利へコミットできるレベルの、データサイエンスとサッカーの両方の知見をより深めていきます。(現場に出ろ)

しかし、もっと多くの人にスポーツを通して、感動や夢を届けたいとも思っています。そのために、、、いや、なんでもないです。

P.S. SB AI部、スポーツアナリティクスのAdvent Calendarとしては、クオリティや書いている内容として相応しくないかもしれませんが、、、

#スポーツアナリティクス #アドベントカレンダー

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