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引退・勇退について考えてみた。

当社力道電設の代表に就任して何だかんだ四期目の年度に突入しました。
私今年44なんで、まだまだ引退するのは先の話だとは思ってるんです。ですが、社会人人生の折り返しに差し掛かってるのは間違いないだろうなあとも思うんですよね。
さて。
立場上って訳でもないんですけど、最近はやっぱり企業経営に携わられてる方とお付き合いすることが多いわけです。特に中小。
建設業という決して人気業界ではない業種の仕事をしている方々とお話をしていると、やはり後継者に苦労されている方が本当に多いんですね。
この会社は俺の代で終わりだと思ってるんだよねとおっしゃる諸先輩がかなりいらっしゃるわけです。

さて、我々経営者と呼ばれる人間が引退を図る場合、選択肢はいくつかあります。
1.社内のこれはという人材に代表権を渡し、自分は株主として会社に関わる
2.社内のこれはという人材に株を譲り渡し、自分は完全に手を引く
3.自分の子供に継がせて株は一族で保有する
4.M&Aなどで会社を売却し、従業員の雇用は確保して自分は手を引く
5.会社を清算して終える
こんなところでしょうか。厳密には他にもあるとは思いますが。
ちなみに自分で望んだ引退ではないということで、倒産は選択肢から外します。

で、正直なところ2番は中々ハードルが高かったりするわけです。
特に業績好調だった場合は株価が跳ね上がっており、購入しようにも資金を調達するのに四苦八苦したり。よほどの意欲があれば銀行から融資を受けて購入するという手段もあるでしょうが、しかし創業者一族でもない限りはかなりハードルの高い話だとも思います。
順当に行けば3番な訳ですが、しかし今どき中小企業を好き好んで継ごうとする子供がどれだけいるかが難しかったりもするわけです。これはもはや幼少期からの教育でしょうねえ。
では1番かといえば、これはこれで有りだとは思う反面、中小企業の雇われ社長に果たしてどれほどの面白みを感じてもらえるかはわからないところです。オーナーと後継者の関係性がどれだけ構築できているかが鍵なのではないでしょうか。

結局のところ現代においては4と5が現実的な選択肢になってくるのかもしれません。

はい実はここまで前置き。

話していると経営者の方で「うち買ってくんねえかなあ」とボヤいている方は少なくない数いるんですけど、その大多数が平均年齢60近く、若手不在、自分自身がプレーヤーとしてゴリゴリ働いていることを誇りにさえしている。
まあ案の定成立しないですよね。

最近M&A絡みの話をお聞きすることがたまにあるんですけど、聞けば聞くほどM&Aの理想と現実が見えてくると言うか。
考えてみれば当たり前なんですけど、自分にとっては思い入れの深い大切な会社であっても、買手にとって価値がなければ全く意味のない話な訳で。
私が買い手だったならと考えると、魅力的な事業があるわけでもなく、どこかのお客さんと太いパイプがあるわけでもなく、残っているのはベテランではあるものの新しいことに挑戦する意欲などはほとんどない。社長は売り切って逃げたい。そんな会社好き好んで買わないですよねえ。
お金もらっても引き受けたくはないです。
でも自分にとっては宝物だからとやたらと高い値付けをしてしまったりするわけですね。
自分にとっては思い出深いクラシックカーでも、傍から見たらただの壊れかけの中古車、みたいなもんでしょうか。

実際のところ会社を売るにしてもやはりそれなりに価値を付与しないといけないわけで、そうなると多分売り抜けるには5-10年単位の計画が必要なんじゃないでしょうか。
業績を少なくとも維持はしなくてはいけないし、若手がある程度育っている体を作らないといけないでしょうから採用も頑張らないといけない。当然育成もです。
何なら現役で経営するより多い労力を使わないといけないんじゃないかなと思うんです。
疲れたから売りたい、というのはピカピカの会社を経営している人だけに許されるVIPのゴールと言えるでしょう。
凡百の経営者はそうはいかない。

結論やはり全力で経営をしていかないといけないんでしょうね。
それが嫌なら・・・5.のコツコツと整理して廃業していく、しかないんじゃないですかね。
それにしたって時間はかかりますからね。
もう明日にはやーめた!とはならないのが難しいところなんですねえ・・・。

意外に経営者の引き際って難しいものなんですね。
私も頭の片隅には入れながら働いていこうと思います。

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