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読書感想:「怖いへんないきものの絵」

『怖い絵』シリーズでおなじみの中野京子さんと、『へんないきもの』の早川いくをさんの対談という形で、ちょっと変わった絵画を読み解いていく本です。

「画家はなぜこんな絵を描いたんだろう?」という問いを発せずにはいられない絵 16点。 共通点は絵の中に生き物が描かれていること。

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中野京子さんと早川いくをさんのやり取りが楽しい

出てくる絵がひとつひとつ面白いし、絵を巡っての中野京子さんと早川いくをさんのやり取りがとても楽しい本です。 早川さんの美術素人的視点と、中野さんの玄人解説を中心に進みますが、途中で中野さんがボケたり、早川さんの素人的視点が逆に鋭かったりして、飽きることなく一気に読んでしまいました。

ジョン・シングルトン・コプリーの「ワトソンと鮫」で紹介された、紋章の中の鮫には大笑い。 絵がボケ役となった3人漫才のようです。

ただ笑えるだけでなく、アルノルト・ベックリン「魚に説教する聖アントニウス」では、プレデッラ(裾絵)付きの絵の説明とその見せ方の構成が巧みで、絵の持つメッセージが強く印象に残りました。

ピエトロ・パオリーニ「カニに指を挟まれる少年」から、カラヴァッジョ「トカゲに嚙まれた少年」への流れも、絵画の解説として読み応えがあります。

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肩の力を抜いて楽しめる本

「怖い絵」というより「へんないきもの」寄りの本でした。「怖い絵」シリーズ側を期待して読むと肩透かしを食うかもしれません。

肩の力を抜いて笑いながら楽しむ、「わは!何このカニ!」などという声を発せずにはいられない、そんな本です。


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